カニの爪の選び方と部位を徹底解説

カニ爪の部位と選び方・調理の完全ガイド

最終更新日:2025-12-26

執筆:kani-tu.com編集部(カニ通販・調理担当)/筆者経験:築地仲卸・通販バイヤー歴10年

目次

カニ爪の部位名とは:親爪・爪先・爪下・ボンボリの見分け方

カニ の名称と形を正しく知ると、購入時の目利きや下処理が驚くほどスムーズになります。

カニ爪(ハサミ部分)の基本構造と名称一覧

カニの脚は基本的に7つの节で構成され、ハサミ脚も同様の構造を持ちますが、先端部の节(前节と指节)が発達して「爪(ハサミ)」になっています(神奈川県立 生命の星・地球博物館の解説に基づく)カニの脚

名称の目安は次のとおりです(一般的用法の整理)。

  • 爪先:ハサミの先端の尖った部分。物を挟む、切る役目の先端です(かにラボの説明を参照)。
  • 親爪:爪先の手前で最も太い「握りの本体」部分。見た目のボリュームが出る部位で、殻の内側に強い筋肉が詰まります(同上)。
  • 爪下:爪(ハサミ)直下の関節から第一関節あたりまで。殻が厚めで、しゃぶ用の下処理では切り込みを入れることが多い部位です。
  • ボンボリ:親爪の根元にある丸く膨らんだ肉塊の俗称。筋肉が集中し、食べごたえがあります。通販の部位名でも見かけます。

筆者経験では、殻の厚さと筋繊維の向きを把握しておくと、殻割り・下処理中の歩留まりが上がります。

親爪とはどちらか?左右差の見分け方

  • 多くのカニで左右のハサミに大小差が見られ、一般に右側が大きい個体が多いと説明されます。この大きい側を「親爪」と呼ぶ用法があります(蟹爪は人気があります)。
  • ただし種や個体差、成長過程、再生の有無で逆になる例もあるため、「大きい側=親爪」と覚えておくと実用的です。
  • 形状で見分ける際は、太く丸みのある側が親爪、尖っている側が爪先という理解で問題ありません(カニの体の構造や名称について)。

種類別に見た爪の形状の違い(ズワイ・タラバ・ワタリガニ等)

  • ズワイガニ:全体に細長く、歯(ギザギザ)の刻みが比較的細かい印象。殻は中厚で、身は繊維がそろい甘みを感じやすい部位です。
  • タラバガニ:殻表面のトゲが発達し、親爪が太く短めでパワフル。筋肉の密度が高く、加熱後の縮みが少ないのが調理上の利点です。
  • ワタリガニ類:扁平な甲羅に対し爪は鋭く、殻が硬め。味は濃く、味噌・内子と合わせて調理されることが多いです。

カニ爪の仕組みと役割:なぜ強く挟めるのか(筋肉と腱の構造)

カニ 爪が強く挟める理由は、開閉を担う腱と筋肉の配置にあります。

開閉を司る腱と発達した閉じる筋肉の構造

– 爪の内部には「閉じる筋」と「開く筋」があり、太い「閉じる筋」が親爪の奥(ボンボリ側)に大きく張り付くように収まります。筋収縮の力は腱を介して指節に伝わり、爪先が噛み合います。
– 「開く筋」は相対的に小さく、エネルギー効率を閉動作に寄せた構造です。獲物を逃さない必要から、閉じる力が強く発達したと考えられます。

ハサミが果たす生態的な役割(獲物捕獲・防御・摂食)

– 獲物を挟む・砕く、殻を剥ぐ、防御や威嚇、巣材の運搬など、多目的ツールとして機能します。
– 爪先の「歯」の形は餌の特性に適応し、硬い貝殻を砕くタイプ、素早い獲物をつまむタイプなどに分かれます。

根元の膨らみに詰まった筋肉と食材としての魅力

– 親爪〜ボンボリに詰まる筋肉は太い束で、加熱後にプリッとした反発を生みます。
– 繊維が太い分、旨みの保持力が高く、しゃぶ・天ぷら・フライいずれでも存在感が出ます。筆者経験では、衣の厚みを抑えるほど「爪の味」が前面に立ちます。

カニ爪の味と食感:脚・肩肉と比べた違いと人気の理由

「どの部位が一番おいしい?」と聞かれたら、カニ爪は常に上位に挙がります。

爪が筋肉質でプリッとする理由と旨みの特徴

爪はプリッと弾む部位で、身が引き締まり、旨みが強いとされています(失敗しないズワイガニ爪の選び方)。

傾向として、よく動かす部位ほど甘み・旨みの指標が高まる傾向があり、爪は人気部位です(カニの美味しい部位を比較)。

脚肉・肩肉との食感・ボリューム比較

  • 脚肉:繊維が整い上品、ほどよい弾力。しゃぶ・寿司に向きます。
  • 肩肉:太い筋が混じりコクが強い。炒め物や味噌和えで真価を発揮。
  • 爪:プリッと弾み、ひと口の満足度が高い。天ぷら・フライ・グリルで映えます。

親爪の食感が異なるケース(ふっくら/引き締まり)

  • 一部通販では「親爪はふっくら柔らかく食べやすい」と案内される場合もあり、種類(ズワイ/タラバ)や冷凍・ボイルの処理条件で印象が変わることがあります。
  • 低温・短時間加熱だと「ふっくら」、高温・長時間だと「引き締まり」が強く出やすいのが筆者の調理経験です。

ズワイガニ爪の選び方とサイズ表記の見方:失敗しない購入ポイント

ズワイのカニ爪は1匹から2本しか取れないため希少で、棒肉ポーションより高価になりやすい傾向があります(水産会社の解説)。希少性を踏まえ、品質で選んで満足度を上げましょう。

サイズ表記(L〜7Lなど)の目安と選び方の基準

  • L〜7Lは「大きさの目安」。7Lに近いほど1本が大きく、衣を付ける料理や贈答に映えます。
  • 同じL表記でも原産地・メーカー規格で差が出るため、重量表示(例:500g、1kg)と「本数(何本入り)」の併記を確認すると実寸イメージが掴めます。
  • 調理目的で選ぶ基準の目安
    • しゃぶ・ボイル:L〜3L(火通りが均一で失敗が少ない)
    • 天ぷら・フライ:2L〜5L(存在感が出る)
    • グリル・バター焼き:3L〜7L(ジューシーさ重視)

身入りの良し悪しの見分け方と冷凍品の注意点

  • 親爪の横幅が太く、殻に対して身がスカスカでないものを選びます。
  • グレーズ(氷の膜)は薄めが理想。厚すぎると重量当たりの可食部が減ります。
  • 乾燥焼け(白く粉をふく)、解凍時のドリップ過多、黒変(メラニン反応)は品質低下のサイン。冷蔵庫解凍で出汁を受け皿に受け、ドリップ再吸収を防ぎます。

価格と希少性の関係(爪の取れ数と価値)

  • 爪は歩脚より取れ数が少ない「希少部位」。同容量のセットでも「爪のみ」は単価が高めになりやすい傾向です(前掲の水産会社の解説を参照)。
  • 贈答やハレの日のメニューでは、見栄えと満足度のバランスを考えて「肩肉ミックス+爪数本」の構成も賢い選択です。

— 補足FAQ(中盤まとめ)

  • Q. カニ爪と脚肉・肩肉はどこが違う?
    A. 爪はプリッと強い旨み、脚肉は上品で繊維が揃い、肩肉はコクとボリュームが出ます。(前掲資料参照)
  • Q. ズワイガニ爪のサイズはどう選ぶ?
    A. 調理目的に合わせて、しゃぶはL〜3L、揚げ物は2L〜5L、焼き物は3L以上が目安です。重量と本数表記の併記も確認しましょう。
  • Q. カニの爪は何のためにある?
    A. 捕獲・防御・殻割りなど多用途で、閉じる筋が強く発達して挟力を生みます。
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カニ爪のおいしい調理法:カニしゃぶ・ボイル・天ぷら・フライ別のコツ

筆者の現場手順を、家庭で再現しやすい形に落とし込みました。

殻の割り方と下処理(冷凍・解凍時の注意)

  • 解凍の基本:冷蔵庫で一晩(目安8〜12時間)。乾燥を防ぐためラップで覆い、受け皿でドリップを受けます。急ぐ場合は袋のまま氷水で短時間。常温・電子レンジ解凍は旨み流出の原因になりやすいです。
  • 殻割り:キッチンばさみで爪先から1〜2本の切り欠きを入れ、親爪側は関節の隙間に刃先を入れて縦方向に割ります。殻に沿って浅く入れると身割れを防げます。
  • においチェック:甘い磯の香りが基準。酸味・アンモニア臭は加熱しても戻らないため調理前に見極めます。

カニしゃぶ・ボイルの温度と時間の目安

  • カニしゃぶ(生・半生仕上げ):80〜90℃の出汁で10〜20秒。白く色が変わったらすぐ引き上げます。余熱で火が入るため入れ過ぎないこと。
  • ボイル(加熱済み冷凍の再加熱):沸騰直前の湯(95℃前後)に入れ、再沸騰してから1〜2分で十分。むき身は短め、殻付きはやや長め。塩分は海水程度(3%)が味を締めます。
  • 蒸し:沸騰蒸気で3〜5分。水っぽさを抑え、旨みを閉じ込めたいときに有効。

天ぷら・フライ・焼き物に向く下味と揚げ方のポイント

  • 下味:軽く塩、酒少々。水分を拭き取ると衣がはがれにくくなります。
  • 天ぷら:薄衣(氷水+薄力粉+卵白少々)。180℃で40〜60秒、色付く前に上げて余熱で仕上げるとプリッと感が残ります。
  • フライ:打ち粉→卵→パン粉は薄く。170℃で1分30秒前後。タルタルは酸味控えめが爪の甘みを引き立てます。
  • 焼き:中火でバター+醤油少量、片面30〜40秒ずつ。仕上げにレモンで香りを立たせます。

爪先が折れている・変形したカニ爪は安全?再生のしくみと味への影響

見た目の不揃い=不良品とは限りません。生態と品質を切り分けて判断しましょう。

折れた爪の再生と脱皮の関係(再生過程の概要)

– 爪先が大きく折れても、その後の脱皮で再生し、結果として先端の形が変わったハサミになることがあります(カニの爪先が変な形になる理由)。

変形爪が味や安全性に与える影響の有無

– 爪先の欠けや軽度の変形は、食用としての味にはほとんど影響しないと説明されます(カニの爪の機能と役割)。

– 重要なのは「鮮度・加熱衛生・保存状態」。形状ではなく、におい・ドリップ・黒変の有無で品質を判断します。

購入時・調理時に注意するポイント(見た目と品質の判断)

  • 形状の不揃いは値ごろ感が出ることも。調理では味・食感で十分満足できます。
  • ただし深い割れや殻の内側まで黒変が進むものは避けます。解凍時のドリップ量が多いものも品質低下のサインです。

選んで安心、すぐ使える:カニ爪の購入と調理チェックリスト

購入から調理まで、ここだけ見れば失敗しにくい要点をまとめます。

  • 購入前チェック
    • 希少部位ゆえ価格は高め。用途と予算で「ミックス+爪」を検討
    • サイズは目的別:しゃぶL〜3L/揚げ物2L〜5L/焼き物3L以上
    • 重量と本数表記をセットで確認(可食部の実感を持つ)
    • 冷凍状態:グレーズ薄め、乾燥焼け・黒変・ドリップ痕なし
  • 調理前チェック
    • 冷蔵庫でじっくり解凍、受け皿でドリップ対策
    • 殻割りは関節の隙間から浅く。身割れ防止を意識
    • におい確認:甘い磯の香りが基準
  • 調理のコツ(リマインド)
    • しゃぶは80〜90℃で10〜20秒、色変わりで上げる
    • ボイル再加熱は95℃前後で短時間、塩分3%目安
    • 天ぷら・フライは薄衣・短時間でプリッと感を残す
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ズワイガニ爪の選び方とサイズ表記の見方:失敗しない購入ポイント

ズワイのカニ爪は1匹から2本しか取れないため希少で、棒肉ポーションより高価になりやすい傾向があります。希少性を踏まえ、品質で選んで満足度を上げましょう。

サイズ表記(L〜7Lなど)の目安と選び方の基準

  • L〜7Lは「大きさの目安」。7Lに近いほど1本が大きく、衣を付ける料理や贈答に映えます。
  • 同じL表記でも原産地・メーカー規格で差が出るため、重量表示(例:500g、1kg)と「本数(何本入り)」の併記を確認すると実寸イメージが掴めます。
  • 調理目的で選ぶ基準の目安
    • しゃぶ・ボイル:L〜3L(火通りが均一で失敗が少ない)
    • 天ぷら・フライ:2L〜5L(存在感が出る)
    • グリル・バター焼き:3L〜7L(ジューシーさ重視)

身入りの良し悪しの見分け方と冷凍品の注意点

  • 親爪の横幅が太く、殻に対して身がスカスカでないものを選びます。
  • グレーズ(氷の膜)は薄めが理想。厚すぎると重量当たりの可食部が減ります。
  • 乾燥焼け(白く粉をふく)、解凍時のドリップ過多、黒変(メラニン反応)は品質低下のサイン。冷蔵庫解凍で出汁を受け、ドリップ再吸収を防ぎます。

価格と希少性の関係(爪の取れ数と価値)

  • 爪は歩脚より取れ数が少ない「希少部位」。同容量のセットでも「爪のみ」は単価が高めになりやすい傾向です。
  • 贈答やハレの日のメニューでは、見栄えと満足度のバランスを考えて「肩肉ミックス+爪数本」の構成も賢い選択です。

— 補足FAQ(中盤まとめ)

  • Q. カニ爪と脚肉・肩肉はどこが違う?
    A. 爪はプリッと強い旨み、脚は上品で繊維が揃い、肩はコクとボリュームが出ます(前掲資料参照)。
  • Q. ズワイガニ爪のサイズはどう選ぶ?
    A. 調理目的に合わせて、しゃぶはL〜3L、揚げ物は2L〜5L、焼き物は3L以上が目安です。重量と本数表記の併記も確認しましょう。
  • Q. カニの爪は何のためにある?
    A. 捕獲・防御・殻割りなど多用途で、閉じる筋が強く発達して挟力を生みます(本記事の構造解説参照)。
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FAQ

Q1. カニ爪と脚肉・肩肉はどこが違う?
A1. 爪はプリッと強い旨み、脚肉は上品で繊維が揃い、肩肉はコクとボリュームが出ます。(前掲資料参照)

Q2. ズワイガニ爪のサイズはどう選ぶ?
A2. 調理目的に合わせて、しゃぶはL〜3L、揚げ物は2L〜5L、焼き物は3L以上が目安です。重量と本数表記の併記も確認しましょう。

Q3. カニの爪は何のためにある?
A3. 捕獲・防御・殻割りなど多用途で、閉じる筋が強く発達して挟力を生みます。

参考