カニのエラとは何か正しい取り方を解説

カニのエラはどこ?取る理由と安全な方法

最終更新日:2025-12-28

家庭でカニをさばくと、灰色でヒラヒラした部分が現れて戸惑う方が多いですが、これは一般に「ガニ」と呼ばれるカニのエラで、基本的に食べるのを避ける部位です。この記事では、カニのエラの見分け方と位置、食用に向かない理由、正しい取り方と衛生ポイントまでを順序立てて解説し、安心して美味しくカニを楽しめるよう具体的にご案内します。

カニのエラ(ガニ)の外見と甲羅内での位置の見分け方

カニのエラは、甲羅を外した直後に左右対称に現れる灰色〜薄褐色のヒラヒラした板状組織で、見た目が海綿のように薄く重なっているのが特徴です(「灰色のヒラヒラ」=ガニとして紹介されることが多いです)。

  • 甲羅を外したときに見える灰色のヒラヒラの特徴

    エラは薄い葉片が重なった扇状の構造で、水通しのための微細な隙間が多く、指で触れると崩れやすく繊維っぽい質感があります。業者解説でも、食べられない部位として明確に紹介されており、取り除くのが一般的とされています(丸津水産の部位解説参照:丸津水産の部位解説)。

  • 脚の付け根や頭胸部周辺での位置の探し方

    エラは頭胸部の内側、脚の付け根周辺に沿って左右に並びます。甲羅を外して正面から見たとき、味噌や内臓の外側に沿うように左右に6〜8枚程度ずつの「ヒラヒラ」が見つかり、ここがエラです(丸津水産の説明に一致)。

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エラが食べられない理由:衛生・味・安全面からの解説

エラは水中から酸素を取り込むフィルターの役割を持ち、泥や微細な不純物、匂いの元になる成分が溜まりやすいと考えられるため、一般に食用に向かないとされています。

  • エラが食べられないとされる主な理由(味・食感・衛生)

    旨味が少なく繊維質でザラつく食感になりやすく、カニ本来の風味を損ねる可能性が高い点がまず挙げられます。構造的にも、カニは頭胸部と折りたたまれた腹部からなり、呼吸器官は頭胸部の腹面側に関連して配置されますが、ここは生理的に水と接し続けるため、衛生面の観点からも避けるのが無難とされています(Wikipediaのカニ)。

  • 調理・保存時のリスクと避けるべき理由

    未冷蔵時間が長い個体や解凍後の長時間放置では、エラ周辺で生臭さや劣化が進みやすいとされます。風味面のデメリットに加え、衛生管理の観点からも、調理前に確実に除去するのが安全と言えるでしょう(Wikipediaの解剖学的説明を踏まえた一般的調理指針)。

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家庭でのカニのさばき方:エラの安全な取り方と廃棄方法の手順

家庭でのさばき方は難しくありませんが、エラの取り残しを防ぐために、手順を丁寧に進めるのがおすすめです。富山県の公式情報や現地流儀の紹介でも、脚の付け根の「ビロビロ」がエラで、取り除くことが案内されています(富山県情報サイト:富山県情報サイト、鳥の物のガイド:鳥の物のガイド)。

  1. 必要な道具と下ごしらえ(注意点)

    1) まな板・キッチンバサミ・軍手または厚手手袋・スプーン・ボウル、2) 個体はよく冷やして作業し、可動部が暴れないよう安定させる、3) 真空パック解凍品はドリップを拭き取り、常温放置を避けてください。

  2. 甲羅の外し方〜エラ(ビロビロ部分)の取り出し方(ステップ)

    1) 腹側のフンドシ(腹節)を起こす。
    2) 腹側から指を入れて甲羅を手前にゆっくり外す。
    3) 甲羅内部の味噌の外側に沿って左右に見える灰色のヒラヒラがエラなので、根元からつまみ取り、反対側も同様に外す。
    4) 取り外した後、可食部に付いた細片をスプーンで優しくそぎ、軽く流水で洗い流す。
    5) 脚付け根周りを目視し、白身や味噌にエラ片が残っていないか最終チェックする。

  3. 取り除いたエラの処理・洗い方と衛生上のポイント

    取り外したエラはキッチンペーパーで包み、密封して可燃ゴミへ、流しに流さないのが衛生的です。作業後は包丁・まな板・シンクを洗剤で洗い、次の調理に移るまで熱湯またはアルコールで消毒し、二次汚染を避けましょう。なお、業者の部位解説でもエラは食べない部位として明示されているため、迷ったら必ず除去してください(丸津水産)。

  4. 筆者のひとこと(体験談)

    筆者は毎冬ズワイガニを自宅で複数杯さばいており、エラは先に「まとめて外す」と取り残しが起きにくいと感じています。エラ除去後にカットすると、身に細片が散りにくく、後処理が簡単になります。

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よくある質問(FAQ)

  • カニのエラは食べられる?
    風味・食感・衛生面の理由から一般的には食用にせず、取り除くのが推奨されています(丸津水産や各自治体ガイドの実務的案内に一致)。
  • カニのエラはどうやって取る?
    甲羅を外し、味噌の外縁から脚の付け根に沿って並ぶ灰色のヒラヒラを左右とも根元からつまみ取ります(富山県情報サイト鳥の物の手順参照)。
  • カニのエラは何色?
    多くは灰色〜薄褐色で、薄い葉片が重なった「ヒラヒラ」に見えます(丸津水産の部位写真・記述に一致)。
  • カニはエラで呼吸する?
    はい、甲羅内部のエラ室で水流を作りガス交換を行います。一部の種では第5脚でエラ室を掃除する行動も知られています(鈴乃木塾の解説)。
  • タラバガニのエラの特徴は?
    タラバガニはヤドカリの仲間で、解剖学的特徴もズワイガニと異なる点がありますが、呼吸のための鰓系組織が甲羅内に備わる点は共通し、食用にはされません(NOAA Fisheries/解剖動画参照)。
  • ズワイ・モクズガニなどの違いと食べ方への影響
    ズワイガニはエラが脚付け根に沿って扇状に整列します。モクズガニのような淡水性に近い種では風味差が出ることもありますが、いずれの場合もエラは可食部から除去するのが基本です。

種類による違い:タラバガニやズワイのエラの特徴と注意点

  • タラバガニ(red king crab)の分類とエラの特徴
    タラバガニは分類学的には異尾類(ヤドカリの仲間)で、解剖学的特徴もズワイガニと異なる点がありますが、呼吸のための鰓系組織が甲羅内に備わる点は共通し、食用にはされません(NOAA Fisheries/解剖動画参照)。
  • ズワイ・モクズガニなどの違いと食べ方への影響
    ズワイガニはエラは脚付け根に沿って扇状に整列します。モクズガニのような淡水性に近い種では環境由来の風味差が出ることもありますが、いずれの場合もエラは可食部から除去するのが基本です。

調理前に知っておきたいエラ関連の注意点と衛生ポイント

  • 調理前の点検:エラの有無と取り残しチェック

    甲羅を外した直後と、切り分け後の2回チェックを習慣化すると、エラ片の混入を予防できます。特に肩肉や味噌の縁に細片が残りやすいため、スプーンで軽くぬぐい、流水で短時間だけ洗い流すのがコツです。

  • よくある失敗例と避けるためのコツ

    1) 先に切り分けてからエラを外すと細片が散るため、必ず「外す→洗う→切る」の順にします。
    2) 長時間の水晒しは旨味流出につながるので、洗いは短く素早く行います。
    3) 解凍は冷蔵庫内で行い、室温放置を避けてドリップは都度拭き取り、二次汚染を防ぎましょう。
    4) 使い捨て手袋やまな板シートを併用し、道具は作業後に洗剤と熱湯でしっかり洗浄します。

まとめ
カニのエラは、甲羅内の脚付け根に沿って並ぶ灰色のヒラヒラで、風味・食感・衛生面の観点から食べないのが基本です。甲羅を外したら最初に左右のエラを根元から外し、短時間の洗いで細片を除去してから切り分けると、取り残しや風味低下を防げます。種類によって見た目に差はありますが、判断基準と除去の手順は共通なので、落ち着いて丁寧に進めるのがおすすめです。

参考

執筆者:kani-tu.com 編集部(家庭でのカニ調理経験多数/水産系公的情報を随時参照)