カニの呼吸の仕組みを図解で学ぶ陸上適応と酸欠サインの見分け方

図解でわかるカニの呼吸の仕方

最終更新日: 2025-12-30
執筆: kani-tu.com編集部(活ガニの取り扱い・飼育経験に基づく観察を含みます)

カニ 呼吸 の 仕方」で調べている方へ。カニは魚と同じエラ呼吸を基本としつつ、陸上では体内の水を再利用して酸素を取り込むなど、種類や環境で呼吸戦略が少しずつ異なります。本稿では、エラの位置や水の流れ(吸水→ガス交換→出水孔)をわかりやすく整理し、酸欠サインの見分けと対処まで実践的に解説します。

カニはどうやって呼吸するのか?エラ呼吸の基本仕組みを図解で理解

エラ呼吸とは何か(基本の仕組み)

カニは魚と同様に「エラ呼吸」を行い、水中に溶けた酸素を取り込みます。エラの薄い膜で水と血液が接し、酸素は血液へ、二酸化炭素は水側へ拡散します。漁業協同組合の解説でも、魚と同じく水中の溶存酸素を利用して呼吸すると紹介されています(参考:漁業協同組合のコラム、2020/06/26)。アクアリウム分野の解説でも同旨が述べられており、基本原理は共通と考えられます(参考:アクアリウム情報サイト)。

水中の酸素取り込みの流れ

  • 口や脚の付け根付近から水を取り入れる
  • 甲羅の内側にあるエラ室で水がエラ葉に触れる
  • エラでガス交換(酸素取り込み・二酸化炭素放出)
  • 口器の近くにある出水孔(排水口)から水を押し出す

この一連の流れが連続して起きることで、カニは安定して酸素を得ています。

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エラはどこにある?脚付け根の『ガニ』と呼吸器の位置関係

ガニとは何か(エラの呼称と場所)

カニのエラは甲羅の内側、左右の歩脚(脚)の付け根の上方に広がる「エラ室」に収まっています。市場や産地では、この白くスポンジ状に見える鰓束を「ガニ」と呼ぶ地域があり、下処理では食べない部位として取り除かれます。つまり、外見上は見えにくいものの、「脚付け根の内側=ガニ(鰓)」という位置関係で覚えると把握しやすいでしょう。

見た目で分かるエラのサイン

  • 甲羅の側面から軽く覗くと、白いひだ状の組織(ガニ)が見えることがあります
  • 調理時に甲羅を外すと、両側にうちわのような鰓束が並んでいます
  • 生体観察では、口元や側面のわずかな水流(出水)が確認できることがあります
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脚から出水孔へ:水中の呼吸経路と体内での水の循環の仕組み

水の取り込みから出水までの流れ(ステップ)

  • 取り込み:鋏脚(はさみ脚)や歩脚の付け根付近から水を取り入れる
  • ポンピング:口器近くの扇状の器官が連続的に水を送る
  • ガス交換:エラ室の鰓で酸素を取り込み、二酸化炭素を放出
  • 排出:口器の脇にある出水孔から処理済みの水を押し出す

この経路は、スナガニを対象にした教育研究の報告で確認されており(参考:静岡県教育委員会の学習資料)、クロベンケイガニの陸上循環戦略を解説した教材でも同様の流れが記されています(参考:教育・研究サイト)。

鰓周辺の補助器官とその役割

  • 口器の一部(スカフォグナシテ/gill bailerに相当する構造)が水を絶えずかき出し、エラに新鮮な水を供給します
  • 脚の付け根まわりの形状や筋運動が吸入を助け、エラ室内の水流を安定させます
  • この連携により、静水でもエラ表面に新鮮な水が当たり続けるため、低酸素を避けやすくなります(参考:上掲2資料)
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陸上で呼吸する時の『水の再利用』と泡を吹く行動が示す意味

体内に蓄えた水をエラに回す仕組み

干潟や陸上に上がるカニは、エラ室に蓄えた水や湿り気を循環させ、エラ表面を湿った状態に保ちながら空気中の酸素を取り込みます。クロベンケイガニのように、陸上で水を再循環させる戦略を持つ種類があることが報告されています(参考:教育・研究サイト)。

泡を吹くことで起きる現象と酸欠の関係

陸上で口元から泡を吹くのは、エラ室の水分や粘液が撹拌され、粘り気を帯びた液体が細かい泡状になるためと考えられます(参考:中村商店の解説)。一方で、泡を多量に吹き、動きが鈍くなるのは酸素不足(呼吸困難)のサインとされることがあります(参考:アクアリウム情報サイト)。泡それ自体は「水分維持の結果」である場合もありますが、「泡+ぐったり+反応低下」が揃うときは酸欠を疑うのが無難です。

泡を吹く・動きが鈍い…陸上適応の限界と酸欠の見分け方

陸上で長時間過ごせる種類とその限界

  • 砂浜・干潟性:スナガニなどは陸上滞在に適応し、水の再利用で一定時間は活動できます
  • 汽水・沿岸性:クロベンケイガニなどは陸上でも比較的強い一方、乾燥や高温には弱い傾向があります
  • 深場の海産性:松葉ガニ(ズワイガニ)は純海産で、陸上や低湿環境では短時間でストレスを受けやすいです

種類ごとに「乾燥」「高温」「低酸素」への耐性が異なるため、同じ“泡”でも意味合いは違います。環境(湿度・温度・通水性)と行動変化を合わせて評価しましょう。

酸欠を疑う観察ポイントと初期対応

  • こんなサインに注意
  • 泡の増加と粘り気の強い唾液状の液
  • 反応の鈍化(触れても動きが緩慢)
  • 甲羅や脚の付け根の呼吸運動が弱い
  • 初期対応のやり方
  • 体を直接水没させず、まずは湿ったペーパーで甲羅周りを保湿
  • 新鮮な海水(または汽水種は適正塩分)で浅い水場をつくり、エラ室に水が行き渡るよう自発的に浸潤させる
  • 送風やエアレーションで酸素供給を補助(直風で乾燥させない)
  • 温度を適正範囲に下げ、ストレス要因(振動・強光)を排除

当編集部では活ガニ保管の際、直接の水没よりも「浅い水+高湿+通気」を優先し、短時間での回復率が高い傾向を確認しています。

日常管理で気をつけるポイント(換気・水の交換など)

  • 水場は浅く清潔に保ち、塩分・温度を種に合わせて管理
  • こもった空気を避け、適度な換気と安定した湿度を両立
  • 直射日光・高温・急激な乾燥を避ける
  • 泡・反応速度・姿勢(不自然な横倒しなど)を毎日チェック
  • 脱皮期は特にストレスを与えない(扱い最小限)

覚えておきたい要点まとめと次にできる観察アクション

この記事の要点(3つ)

  1. カニの呼吸は「脚付け根から吸水→エラでガス交換→出水孔から排出」の流れが基本
  2. 陸上ではエラ室の水分を再循環し、泡は水分保持の現れだが「泡+鈍化」は酸欠サインの可能性
  3. エラは歩脚付け根の内側(ガニ)にあり、種類ごとに陸上適応の限界が異なる

今すぐできるチェックリスト

  • 口元や側面の微細な水流(出水)があるか
  • 泡の量と粘り気、反応速度はどうか
  • 環境の温度・湿度・換気は適正か
  • 水場は浅く清潔で、塩分・温度は合っているか
  • 異常があれば「保湿→浅水→通気→温度是正」の順で応急対応

当編集部では活ガニ保管の際、直接の水没よりも「浅い水+高湿+通気」を優先し、短時間での回復率が高い傾向を確認しています。

よくある質問(FAQ)

  • Q. カニは陸上でどうやって呼吸するの?
    A. エラ室に保持した水分を再循環し、エラ表面を湿らせた状態で空気中の酸素を取り込みます。
  • 種類によって得意・不得意があり、湿度と温度管理が重要です(参考:教育・研究サイト)。
  • Q. カニが泡を吹くのはなぜ?
    A. エラ室の水分と粘液が撹拌されて泡立つためです。単なる水分保持の結果のこともありますが、泡が多く動きが鈍い場合は酸欠の可能性が高まります(参考:中村商店、アクアリウム情報サイト)。
  • Q. カニのエラはどこにある?
    A. 甲羅の内側、歩脚の付け根の上方にある左右の「エラ室」に並んでいます。調理で除く白いスポンジ状の「ガニ」がそれに当たります。
  • Q. カニは水なしでどれくらい呼吸できる?
    A. 種や環境で大きく異なります。干潟性の種は湿潤なら一定時間活動できますが、海産の松葉ガニは短時間で負荷が高まります。乾燥・高温・停滞空気は避けてください。
  • Q. 魚とカニのエラ呼吸の違いは?
    A. 原理は同じですが、カニは脚付け根からの吸水と口器の出水孔によるポンピング、陸上での水再利用など、甲殻類特有の水流制御を持つ点が異なります(参考:漁業協同組合、学習資料)。

観察・飼育時に実践できる対処法:酸欠を防ぐためのチェックとケア

酸欠を疑った時の応急対応(湿度・水の与え方)

  • ステップ1:環境確認(温度・湿度・水質・換気)を即チェック
  • ステップ2:保湿(濡れペーパーや霧吹き)でエラ周りの乾燥を防止
  • ステップ3:浅い水場を用意し、自発的に脚付け根が浸かる程度にする(溺水防止)
  • ステップ4:エアレーションや微弱な送風で酸素供給を補助
  • ステップ5:回復を観察し、反応が悪ければ環境要因をさらに是正(塩分・温度)

当編集部では活ガニ保管の際、直接の水没よりも「浅い水+高湿+通気」を優先し、短時間での回復率が高い傾向を確認しています。

日常管理で気をつけるポイント(換気・水の交換など)

  • 水場は浅く清潔に保ち、塩分・温度を種に合わせて管理
  • こもった空気を避け、適度な換気と安定した湿度を両立
  • 直射日光・高温・急激な乾燥を避ける
  • 泡・反応速度・姿勢(不自然な横倒しなど)を毎日チェック
  • 脱皮期は特にストレスを与えない(扱い最小限)

覚えておきたい要点まとめと次にできる観察アクション

参考