エビとカニで一度で理解する
更新日: 2026-01-01
執筆者: Kani-tu編集部(カニ通販・産地取材300件超/調理実食多数のライター)
目次
エビとカニでまず押さえるべき大きな違い
エビとカニの違いを手早く押さえるなら、腹部(尾)の発達と移動様式に注目すると理解が早いでしょう。エビは長い腹部を活かして体をしならせて素早く泳ぎ、カニは腹部が短く甲羅の下に折り畳まれて横歩き中心で移動する、との整理です。
\お得に旬のカニを手に入れたいあなたへ/
一目で分かる外見の違い
エビは長い腹部(尾)が発達し、くの字に曲げ伸ばしできるのが特徴です。対してカニは腹部が退化して短く、甲羅の裏側に折り畳まれています。
- エビの長い腹部(尾)が発達し、くの字に曲げ伸ばしできるのが特徴。
- カニは腹部が退化して短く、甲羅の裏側に折り畳まれています。
- 全体のシルエットは、エビが細長い円筒形、カニは横に広い円盤・四角形に近い体型が目印です。

泳ぐか歩くか:行動様式の違い
- エビは尾の強いはね返りで後方に瞬発的に泳ぎます。機敏に逃げるときもこの動きを使います。
- 多くのカニは泳ぎが得意ではなく、横歩きで機動性を確保します。ただしガザミ類など一部のカニはパドル状の脚で泳げる例外もあります(「基本的に泳げない」という一般論の補足)。
移動方法の違いを図解で理解する:エビの泳ぎ方とカニの横歩き
エビが尾で泳ぐ仕組み
腹部筋を収縮させて尾扇を一気に畳む→水を後方へ押し出す→反作用で体は後方へ急発進、という推進が基本です。連続的な小刻みの腹肢運動もホバリング的な維持に役立ちます。
カニの体形と関節構造が生む横歩き
幅広の甲羅と外側へ張り出した脚の関節平面により、左右方向への屈伸がスムーズで、結果として横歩きが効率的になります。狭い隙間に素早く身を寄せ、防御にも適した移動様式です。

味と食感の違い:甘み/旨味の成分と調理で変わる風味
甘み・旨味の成分(グリシン・グルタミン酸など)
官能比較では、カニは甘味・旨味の印象が強く、エビは塩味寄与がやや強い傾向が示されています。
甘味はグリシンなどの遊離アミノ酸、旨味はグルタミン酸・イノシン酸等のバランスが関わると考えられます。
筋繊維構造と加熱後の食感(プリプリ vs ほぐれる)
エビは筋繊維が密で弾力が残りやすく、加熱後もプリプリした食感になりやすいです。
カニは繊維が層状に走り、加熱後はほぐれやすく、糸をほぐすように身が解ける食感が出やすいです。
栄養価の傾向(簡易比較)
どちらも高たんぱく・低脂質の海産物で、100gあたりのたんぱく質はおおむね約18〜22g、脂質は少なめという傾向があります。微量栄養素は部位・調理法で変動します。
生態と防御の違い:逃げるエビ、構えるカニの生き方
エビの逃避行動と群れの利点
エビは尾での急速後退を使い、砂に潜る・群れで紛れるなど、捕食回避に特化した行動が多く見られます。群れ行動は個体リスクを分散し、短時間での移動・拡散にも適します。
カニの甲羅・ハサミを使った防御と威嚇
カニは硬い甲羅と大きなハサミで威嚇し、正面からの接触を避けさせる戦略が得意です。巣穴や岩陰を利用した定住的な生活で、テリトリーを構えて暮らす種も多いです。
進化系統から見る関係性:エビ→ヤドカリ→カニの系譜とは
エビもカニも十脚目(デカポーダ)に属し、ヤドカリ類(異尾下目)とカニ類(短尾下目)は姉妹群の関係にあります。進化の過程で、ヤドカリ類の一部やカニ類で「カニ化(Carcinization)」と呼ばれる、横幅が広く腹部が短縮したカニ様の体型が繰り返し独立に現れたことが知られています。
なぜ『エビがそのままカニになる』と誤解されるかについては、収斂進化の結果として同様の形が別経路で何度も現れた現象であると説明されます。
よくある質問(FAQ)
エビとカニの最も大きな違いは何ですか?
腹部(尾)の発達とそれに基づく移動様式です。エビは長い尾で泳ぎ、カニは尾が縮小して横歩き中心です。
エビは泳げるのにカニが泳げない理由は?
推進源が異なるためです。エビは尾扇のはね返りで水を蹴り、カニは横歩きに適した脚関節を持つため泳ぎは不得手です。ただし一部のカニは泳ぐこともあります。
エビとカニの味の違いは何ですか?
官能的には、カニは甘味・旨味の印象が強く、エビは塩味の寄与がやや強い傾向が示されています。食感はエビがプリプリ、カニはほぐれやすい傾向です。
エビが進化するとカニになるのですか?
いいえ。カニ化という収斂進化により似た体型が繰り返し出現した結果で、一本の直線的進化ではありません。
エビとカニはどちらが栄養価が高いですか?
目的によります。いずれも高たんぱく・低脂質で、種・部位・調理により微量栄養素は変動します。用途や味の好みで選ぶのがおすすめです。
家庭でのさばき方と調理法:エビとカニ別の下処理とおすすめ調理
エビの下処理(背ワタの取り方)とおすすめ料理
やり方(背ワタ取り・下処理の手順)
- 殻付き:竹串を第2関節の背側から差し込み、黒い背ワタを引き抜く→流水で洗い、水気を拭く。
- 殻むき:頭と殻を外し、尾先を切って水切り→背に浅く切れ目→背ワタ除去→片栗粉と塩でもみ、軽く洗って臭みを抜く。
おすすめ
- プリプリ食感を活かす炒め物・天ぷら・酒蒸し。短時間加熱で硬化を防ぐのがコツです。
カニの殻の割り方・身の取り出し方とおすすめ料理
やり方(殻割りの手順)
- 甲羅を外す:腹側の三角を起こし、甲羅をゆっくりはがす→内臓を分ける。
- 脚の身:関節ごとにカット→キッチンばさみで殻の片面に切れ目→スプーンで押し出す。
- 甲羅みそ:甲羅の縁の不純物を取り除き、酒少量で伸ばして加熱すると風味が立ちます。
おすすめ
- ほぐれる身は雑炊・カニクリームコロッケ・甲羅焼きに最適。出汁を活かす料理と好相性です。
保存と鮮度チェックの方法
- 鮮度チェック:エビは頭部の黒変・アンモニア臭、カニは甲羅裏のぬめりや酸味臭に注意。
- 保存:ドリップを拭き取り、空気を抜いて冷蔵(当日〜翌日)または急速冷凍。解凍は冷蔵庫内で低温ゆっくり。
- アレルギー:甲殻類アレルギーの可能性がある方は少量から試すか、医師の指示に従ってください。
市場や料理で使える見分け方チェックリストと買うときの注意点
外見チェック(尾・甲羅・ハサミの確認ポイント)
- 尾が長く可動性が高い=エビ/尾が短く甲羅下に格納=カニ。
- 甲羅が横に広く平たい=カニらしい形状。細長い流線形=エビ。
- 最初の脚が大きなハサミ=カニ。小型のハサミまたは歩脚=エビ。
味見や調理後のチェックポイント(食感・風味)
- エビは短時間加熱で透明感から白濁へ、プリっと弾力が出れば適正火入れ。
- カニはほぐれ感が増し、繊維がほどけるように解れる段階が食べ頃の目安。
購入時の注意(鮮度・アレルギー情報)
- 透明感・甲羅の光沢・生臭みの少なさを確認。ドリップの量が多い個体は避けましょう。
- 加工品は原材料表示で産地・添加物・アレルゲンを確認。家庭では十分に冷蔵・冷凍管理を行ってください。
用途別の結論:料理や観察でどちらを選ぶかの指針
料理別のおすすめ(煮物・刺身・焼き物など)
- 風味濃厚・出汁重視の鍋物や雑炊ならカニが活きます。甘味・旨味の重なりがスープに溶け出しやすいからです。
- 食感を主役にした天ぷら・エビチリ・塩焼きはエビのプリプリ感が映えます。
- サラダやカナッペのトッピングには、ほぐれやすいカニ身が使いやすいでしょう。
観察・学習目的での選び方
- 行動観察(泳ぎのメカニズム)を学ぶならエビ、形態観察(甲羅・脚関節)や威嚇行動を見たいならカニが適しています。
- 進化・系統の話題(カニ化)を紹介する教材としては、ヤドカリ類とカニ類を並べると理解が深まります。
参考
- エビとカニはどこが違う?甲殻類の知られざる世界
- カニ・エビ・イカは何類?甲殻類の特徴や分類の違いを丁寧に
- エビとカニの違いは?
- エビが進化したのがカニ!?味の違いを比べてみる
- 日本食品標準成分表2020年版(八訂)
- Wolfe, J.M. et al. (2021). How to become a crab: A recurring body plan in decapods. BioEssays
補足(筆者の知見)
産地での取材・実食経験では、冷凍エビは下処理での臭み抜きの差が食味に直結します。カニは解凍ドリップの管理と加熱時の塩加減で旨味の出方が大きく変わる印象です。用途に応じて「短時間加熱のエビ」「出汁で魅せるカニ」と覚えると失敗が少ないでしょう。








