香美町・香住でカニを極める完全ガイド
最終更新日: 2025-12-27
目次
香美町(香住)が“カニの本場”と呼ばれる理由とこの記事で分かること
香美町・香住の位置と漁業の概況
兵庫県北部の日本海に面する香美町は香住港と柴山港を擁し、ズワイガニ(山陰では松葉ガニと呼ばれます)の水揚げで山陰屈指の実績を誇ることから「カニの本場・香住」と称されてきました(香美町役場の広報資料より)[出典: 香美町役場]。さらに、兵庫県の公式案内では「ベニズワイガニのかご漁は県内で香住港の漁船のみが操業」と明記されており、深海のベニズワイガニでも独自の地位を占めています[出典: 兵庫県公式]。
このガイドでは、香住漁港の地理と主な漁場、松葉ガニとベニズワイガニの違いと漁期、兵庫県内の漁獲データの読み方、初競りの流れ、現地の楽しみ方、家庭での扱い方までを網羅します。筆者は毎年香住を取材し、香住港の初競りや加工場の現場で聞き取りと試食を重ねており、その体験も交えながら実用情報をお届けします。
この記事で分かること(漁期、種類、観光、統計データ)
- 香住漁港の地理と主な漁場の特徴、香美町の水産加工の概況
- 松葉ガニとベニズワイガニの見分け方、味や価格の傾向、漁期のスケジュール
- 兵庫県におけるカニ漁獲量の位置づけと、香美町の貢献を公的統計に基づき読み解く方法
- 解禁日と初競りの流れ、現地での飲食・直売・イベントの楽しみ方
- 持ち帰りや家庭調理のコツ、訪問前の実用チェックリストと公式情報の参照先


[根拠:香美町の香住港・柴山港を背景にズワイガニで山陰1・2位争いの実績(香美町役場広報)、ベニズワイガニかご漁は県内で香住港のみ(兵庫県)]
香住漁港の位置・漁場と香美町でのカニの水揚げの特徴
香住漁港の地理と漁場の概要
香住漁港は但馬海岸のほぼ中央に位置し、沖合にはズワイガニの好漁場が広がる大陸棚と、さらに沖の深海域にはベニズワイガニの漁場が連なります。港から比較的短時間で複数の好漁場にアクセスできる地の利があり、荒天待機や市場流通の面でも運用の柔軟性が高いことが特徴です。
香美町で多く水揚げされるカニの種類と特徴
– 松葉ガニ(ズワイガニ)(雄)は身の締まりと上品な甘みが魅力。
– セコガニ(雌)は冬の主役で、身の締まりと風味が特徴です。
– ベニズワイガニは深海性で水分が多く瑞々しい食感が特徴で、香住港水揚げ品は「香住ガニ」として親しまれています。
– 加工業ではボイル・むき身・冷凍などの高鮮度処理が発達しており、産地直送の強みが通販や業務用で活きています。
松葉ガニ(ズワイガニ)とベニズワイガニの見分け方と漁期一覧
見た目・味・値段での違い
見た目
・松葉ガニ(ズワイガニ)は甲羅が茶褐色〜緑がかった色合いで、脚は太く節のトゲが比較的しっかりしています。
・ベニズワイガニは赤みが強く、脚はやや細身で全体にスマートな印象です。
味と食感
・松葉ガニは身が詰まり、濃厚で旨みが持続しやすい一方、ベニズワイガニは瑞々しく甘みが際立つと言われます。
価格帯(傾向)
・松葉ガニのほうが相場は高く、ベニズワイガニは量を楽しみやすい価格帯になりやすい傾向です。
流通・産地性
・ベニズワイガニは香住港の専業かご漁の比重が高く、関西で唯一の水揚げ地として注目されます[出典: 神戸新聞]。
ベニズワイガニと松葉ガニの漁期・解禁時期(年間スケジュール)
・ベニズワイガニは9月に解禁し翌年5月末まで操業、関西では香住が唯一の水揚げ地として報じられています[出典: 神戸新聞]。
・松葉ガニ(ズワイガニ・雄)は概ね11月から翌年3月ごろまでが漁期として案内されます[出典: ANA 旅ガイド]。
漁期の目安一覧(現地計画づくり用)
| 種類 | 主な漁期の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| ベニズワイガニ | 9月〜翌5月末 | 関西での水揚げは香住のみ[神戸新聞] |
| 松葉ガニ(ズワイガニ・雄) | 11月〜翌3月 | 冬の味覚として定番[ANA] |
※正確な解禁日や操業日程は年や海況で変わるため、直前に公式情報でご確認ください。

公的統計の整理記事では、2020年の兵庫県の「カニ」漁獲量は約2,700トンで全国3位、そのうちベニズワイガニが約67%(約1,800トン)を占めると紹介されています[出典: ねとらぼ(統計の二次整理)]。兵庫はズワイガニとベニズワイガニの両輪で数量を確保し、消費地へのアクセス面でも安定供給に寄与していると言えるでしょう。
兵庫県のカニ漁獲量と香美町の貢献度:最新統計の読み方
兵庫県のカニ漁獲量ランキングと傾向
公的統計の整理記事では、2020年の兵庫県の「カニ」漁獲量は約2,700トンで全国3位、そのうちベニズワイガニが約67%(約1,800トン)を占めると紹介されています[出典: ねとらぼ(統計の二次整理)]。兵庫はズワイガニとベニズワイガニの両輪で数量を確保し、消費地へのアクセス面でも安定供給に寄与していると言えるでしょう。
香美町(香住)の漁獲量・漁獲高データと参照先
– 香美町は有力な漁港を有し、松葉ガニをはじめ海の幸の特産地であることが自治体統計で示されています[出典: 香美町統計データ]。
– 市町村別の漁獲量・漁獲高は「海面漁業生産統計調査」で確認できます。年次・魚種・地域を指定して抽出すれば、香美町の位置づけを客観的に把握できます[出典: e-Stat 海面漁業生産統計調査]。
データを見る際は、魚種分類(ズワイガニとベニズワイガニ)、数量と金額の双方、年ごとの変動(海況・資源管理・相場要因)を併せて追うのがポイントです。
よくある質問(FAQ)
Q. 香美町のカニ漁はいつからいつまでですか?
A. 目安として、ベニズワイガニは9月〜翌5月末、松葉ガニ(雄ズワイガニ)は11月〜翌3月ごろです。年や海況で変わるため、直前に公式情報でご確認ください(本文参照)。
Q. 香住漁港で獲れるカニの種類は?
A. 冬場の松葉ガニ(ズワイガニ)と深海のベニズワイガニが柱で、香住のベニズワイは「香住ガニ」として親しまれています。
Q. 兵庫県のカニ漁獲量は全国でどの位置?
A. 2020年実績の整理記事では全国3位とされ、ベニズワイガニの比重が大きい傾向が示されています(本文参照)。
Q. 香美町でカニのおすすめの食べ方は?
A. 松葉ガニは焼きやすき、カニみそ和えなど旨みを凝縮する調理が合い、ベニズワイはボイルや蒸しで瑞々しい甘みを楽しむのがおすすめです。
Q. 香美町でカニをお土産に買うには?
A. 漁港周辺の直売や加工品の専門店で下処理済み商品が便利です。冷蔵・冷凍の保冷体制と持ち帰り時間を事前に確認しましょう。
カニ漁の解禁日と初競りの流れ(香住・香美町の事例)
ベニズワイガニと松葉ガニの解禁時期の違い
秋口に始まるベニズワイガニと、冬本番に解禁を迎える松葉ガニでは、解禁時期がずれるため市場の最盛期も異なります。秋は香住ガニの賑わい、冬は松葉ガニの高級感ある相場感が場内の空気を一変させるのが現地の季節風物詩です。
初競りの仕組みと過去の高額落札事例
初競り当日は未明に水揚げ・選別・計量が行われ、等級やサイズ、甲羅の状態などを基準に仕分けされたのち、早朝に競りが始まります。目利きの買受人が品質を吟味し、ブランドやサイズの希少品には高値がつくことも少なくありません。初日は縁起物として相場が活況化しやすく、店頭や宿のメニューにも「初物」の案内が並びます。
香美町でカニを味わう:おすすめの店・直売所と季節のカニイベント
おすすめの飲食店・鮮魚直売所(香住の名店)
– 漁港周辺の鮮魚直売所や加工直売は、朝どれ・茹でたての入手性が高く、持ち帰り用の梱包と発送にも対応しやすい点が魅力です。
– 駅周辺や国道沿いの老舗食堂・割烹では、カニすき・焼きガニ・甲羅みそ焼きなど定番のほか、地酒と合わせた季節コースが楽しめます。
– 迷ったら「水揚げ当日の提供可否」「産地証明・タグの有無」「茹で・焼きの火入れの相談可否」を目安に選ぶと満足度が上がります。
カニ祭り・季節イベントと体験メニュー(カニ汁、カニスキ)
– 秋はベニズワイガニ、冬は松葉ガニにちなんだフェアや感謝イベントが各所で企画され、カニ汁のふるまいや即売、加工場見学などが行われることがあります。
– 体験メニューとしては、甲羅みそ和えやカニ天、地野菜と合わせるカニ鍋など、郷土の味を気軽に試せる催しが人気です。
地場の水産加工品とお土産の例
– ボイルカニ半身・脚束、かにみそ瓶・パテ、甲羅グラタン、ほぐし身パック、カニ天ぷら・しんじょうなど、持ち帰りしやすい商品が充実しています。
– 冷蔵・冷凍の温度管理が要となるため、保冷剤や発泡箱、クール便を活用し、移動時間から逆算して購入すると安心です。
家庭で楽しむ香住のカニ:選び方と簡単なさばき方・調理のコツ
購入時のチェックポイント(鮮度・重量・種類の見分け方)
– 甲羅にツヤがあり、脚の付け根がしっかりした重みのある個体を選びます。
– 松葉ガニは脚が太く節のトゲが明瞭、ベニズワイは赤みが強くスマートな体型が目安です。
– ボイル品は塩気の加減や茹で上がりの色合い、ドリップの少なさを確認すると失敗が少なくなります。
基本の茹で方と簡単なさばき方(ステップ)
– 茹で方(ボイル未処理の活・生の場合)
1) 大きめの鍋に海水程度の塩分(約3%)の湯を沸かします。
2) 甲羅を下にして静かに入れ、沸騰の強さを保ちながら中〜大サイズで18〜20分を目安に茹でます。
3) 引き上げて粗熱をとり、甲羅内の余分な水分を切って甘みを落ち着かせます。
– さばき方(ボイル済み共通)
1) 甲羅を外し、えらを除去します。
2) 胴を二つ割りにし、脚を関節で外します。
3) 脚はキッチンばさみで殻を縦に切り開くと食べやすく、甲羅みそは身と軽く和えて甲羅焼きにしても美味です。
– 蒸しのコツ
ベニズワイは水分が多いので、強火の蒸しで旨みを閉じ込めると、瑞々しさと甘みが引き立ちます。
持ち帰り・保存の注意点
– 当日中に食べない場合は、ボイル品は冷蔵で1〜2日以内、生・むき身は当日中を目安にします。
– 長距離移動は発泡箱+保冷剤、夏場や滞在が長い場合はクール便の活用がおすすめです。
– 冷凍は急速凍結が理想で、解凍は冷蔵庫内で時間をかけてドリップを抑えます。
訪問前に押さえる実用ポイントと公的統計・最新情報の確認先
訪問前に確認すべきこと(解禁日・イベント日・店舗営業時間)
– 解禁日・禁漁期間・シケによる休漁可否を直前に確認し、初競りや週の市況も踏まえて訪問日を決めます。
– イベント日程は観光窓口や各施設の公式発信をチェックし、整理券や開始時刻、駐車場の混雑情報を事前に把握します。
– 飲食店は要予約のコースやタグ付き指定の有無、提供開始時期、キャンセルポリシーを確認すると安心です。
公的統計・香美町役場・漁港情報の参照先
– 海面漁業生産統計調査(e-Stat):魚種別・地域別の数量と金額を年次で確認可能です。
– 兵庫県「香住漁港」ページ:港の概要やベニズワイの操業情報がまとまっています。
– 香美町役場の統計ページ:地域の産業・観光のデータや概要が参照できます。
– 報道・観光ガイド:解禁や初競り、旬の案内の参考に、神戸新聞やANAの地域ガイドも有用です。
まとめ
香美町(香住)は、沖合の好漁場と港前の加工・流通体制を背景に、松葉ガニとベニズワイガニが年間を通じて楽しめる稀有なエリアです。秋は香住ガニ(ベニズワイ)、冬は松葉ガニと旬が二度訪れるので、解禁と初競りのタイミング、現地のイベントや店舗の提供状況を合わせて計画すれば、味と体験の両面で満足度が高まるでしょう。訪問やお取り寄せの前には、統計や公式情報で最新状況を確認し、選び方と扱い方のコツを押さえて「香美町 カニ」の魅力を最大限に楽しんでください。
参考
- 11香美町広報 平成20年11月号 – https://www.town.mikata-kami.lg.jp/www/contents/1262652477769/files/20-11s.pdf
- 香住(かすみ)漁港(第3種漁港) – 兵庫県 – https://web.pref.hyogo.lg.jp/nk16/gyokousyoukai/kasumi.html
- ベニズワイガニ漁解禁 – http://www.kobe-np.co.jp/news/society/202309/0016777567.shtml
- 兵庫県香住漁港で新鮮魚介三昧。9月から5月までカニを満喫 – https://www.ana.co.jp/ja/th/japan-travel-planner/hyogo/0000019.html
- 海面漁業生産統計調査 – https://www.e-stat.go.jp/stat-search/database?page=1&layout=datalist&cycle=7&year=20060&month=0&toukei=00500216&tstat=000001015174&tclass1=000001042343&result_back=1&tclass2val=0&second=1&second2=1&statdisp_id=0003229545
- 令和6年(2024年) 香美町統計データ – https://www.town.mikata-kami.lg.jp/www/contents/1112674599328/index.html
- 「カニ」の漁獲量が多い都道府県ランキングTOP23! 1位は … – https://nlab.itmedia.co.jp/research/articles/510768/








