2021年カニ不漁はなぜ起きたのか
最終更新: 2025-12-31
執筆: kani-tu.com編集部(沿岸漁業・流通取材)
筆者の所感: 筆者は毎年ズワイガニ解禁日の初競りを現地取材していますが、2021年は序盤からサイズ・数量とも伸び悩み、仲買価格だけが先行して上がる「品薄高」の様相が強かったと感じました。現場の肌感と公的データの両面から、2021年のカニ不漁の実像を検証します。
目次
問題提起:2021年のカニ不漁は本当?何が起きた?
「カニ 不漁 2021」と検索される背景には、実際に市場や産地で品薄が続き、相場高や品揃えの不安が顕在化した事実があります。単なる一過性の不漁なのか、資源の世代構造に起きた変化なのか、そして漁獲管理や海洋環境の何が影響したのかを、実績データと資源評価をもとに整理します。
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2021年にズワイガニの漁獲量が急減した実績データと要点
全国・主産地の漁獲量推移(2019〜2021年)
主産地である日本海系群の指標を見ると、カタガニ(雄の若齢群)の漁獲量は2019年の1,410トンから2011年には908トンへと大きく減少し、若齢層の落ち込みが顕著でした[1]。この「2021年ズワイガニ漁獲量の減少実績」は、量の不足だけでなくサイズ構成の変化としても現場に影響し、成長段階の偏りが市場の品薄感を強めたと言えるでしょう。
公式な漁獲枠と実績(消化率)
日本の2021年のズワイガニ漁獲枠は4,573トンに対し、実績は2,090トンで消化率は約46%にとどまったと報告されています[3]。枠を使い切れないという事実は、資源そのものの不足や、漁期中の気象・海況など操業条件の悪化が重なった可能性を示唆します。国際的に見ても、枠下で推移する年は資源の弱さを反映しやすく、2021年は「漁獲枠消化率と国際比較」の観点でも低水準と言えるでしょう。
日本海系群A・B海域の資源評価で指摘された世代構造の変化
A海域の評価ポイント(雌11齢の不足など)
資源評価では、ズワイガニ日本海系群A海域で2021年漁期に漁獲対象となる雌の11齢が2020年に続き少なかったことが指摘されています[2]。雌の高齢群が薄いと産卵量が低下しやすく、次世代の加入量にも陰りが出るため、資源の世代交代にとって重要な警戒サインと受け止められます。

B海域の状況とA海域との比較
B海域でも若齢群の手応えが弱い年には漁獲効率が下がりやすいと現場から聞かれますが、公開情報はA海域の詳細評価が中心で、B海域の年次変動は地域ごとの差も大きいのが実情です。いずれにせよ、A海域で見られた雌高齢群の不足は、日本海系群全体の世代構造に注意を促す重要なシグナルと言えるでしょう[2]。
カタガニと雌ガニの漁獲量変動が示す世代交代の問題
若齢群と成獲群の比率変化
カタガニ(雄若齢群)の漁獲量が2019年比で大きく落ち込んだこと[1]、そして雌の11齢に不足が見られたこと[2]は、若齢から高齢まで一部の年齢層が薄く、群れ全体の「世代の継ぎ目」に空白が生じている可能性を示します。比率の歪みは一時的に大型個体の出現率を押し上げる局面もありますが、総量としての供給力は弱まりやすく、不漁感につながります。
漁期の序盤はカタガニの動向が水揚げ全体を左右しやすく、雌ガニは地域の禁漁・解禁設定や保護規則の影響も受けます。2021年は若齢雄の落ち込み[1]と雌高齢群の不足[2]が重なったため、型・数の両面で市場の選択肢が狭まり、価格面の上振れが生じやすい環境だったと考えられます。
漁業データから見るカタガニと雌ガニの違い
・漁期の序盤はカタガニの動向が全体を左右しやすい。雌ガニは地域の禁漁・解禁設定や保護規則の影響を受けやすい。2021年は若齢雄の落ち込み[1]と雌高齢群の不足[2]が重なり、型・数の両面で市場の選択肢が狭まり、価格上昇を招く環境だった。
暖水渦の変化と幼生流出がもたらした不漁メカニズム
暖水渦の勢力変化とは何か
近年、日本海における暖水渦の勢力変化が話題となり、渦の位置・強度が弱い年には幼生の滞留・輸送に影響し得ると指摘されています。暖水渦は時に幼生の生存に好影響を与える「踏み台」ともなりますが、勢力が弱いと輸送ルートが変わり、適地に届きにくくなる可能性があります[4]。
幼生の流出経路と生存率低下の関連については、近年は暖水渦の勢力が弱く、幼生が本来の生息域に到達せず北上して死滅した可能性が示唆されています[4]。幼生輸送と初期生活段階での生存が弱かった世代は、数年後の加入量不足として顕在化しやすく、2021年の「カニ 不漁 2021」を資源生態の側面から説明する仮説の一つになっています。
よくある質問(FAQ)
- Q. 2021年にカニが不漁だった原因は?
A. 若齢雄(カタガニ)の漁獲量減[1]と雌の高齢群不足[2]という世代構造の歪みが背景にあり、加えて暖水渦の勢力低下など海況要因が幼生生存や輸送に不利に働いた可能性が指摘されています[4]。枠はあっても実入りが伴わず、消化率が低下しました[3]。 - Q. 日本海ズワイガニの資源は今後回復する?
A. 雑駁には回復と低迷を繰り返す資源ですが、弱いコホートが複数年続くと回復まで時間がかかります。禁漁・サイズ規制など管理と海況の好転が重なれば回復は期待できますが、数年スパンでの見守りが必要でしょう。 - Q. ズワイガニの漁獲枠消化率はどのくらい?
A. 2021年の日本の枠4,573トンに対し実績2,090トン、消化率は約46%との報告があります[3]。年や海域でばらつきがあるため、単年の数値だけで判断せず推移を見るのがおすすめです。 - Q. 資源保護策として漁業者や消費者が今できることは?
A. 漁業者はサイズ・性別規制の順守と禁漁期間の徹底、未成長個体の放流、自主的な操業日数の抑制が有効です。消費者は漁期・産地表示を確認し、過度な大型志向を避けて適正サイズを選ぶこと、信頼できる流通のトレーサビリティ商品を選ぶことがポイントです。
漁獲管理の実態:2021年の漁獲枠消化率と海外事例との違い
2021年の漁獲枠と消化率の内訳
2021年の日本のズワイガニ漁獲枠は4,573トン、実績は2,090トンで消化率46%にとどまったとされ、枠設定の段階で想定した加入量より実勢が弱かったことを示します[3]。枠下での推移は資源状態の慎重評価と操業条件の厳しさが重なった結果とみられ、現場ではコスト高の一因にもなりました。
ノルウェー・アラスカ等の管理との違い(概観)
海外の主要産地では、雌の完全保護や甲幅(サイズ)制限、禁漁期間、TACの厳格運用と観察員・監視体制など多重のガードを組み合わせるのが一般的です。日本も地域ごとの禁漁・解禁やサイズ規制が機能していますが、海況急変や世代交代の“谷”が来た年には、TACの消化が著しく鈍ることがある点は共通しており、データに敏感に連動する機動的な見直しが重要と言えるでしょう。
今後の予測:2026年以降に想定される資源低迷のシナリオ
主要機関の予測まとめ(2024〜2028年以降)
ズワイガニは加入から漁獲対象サイズになるまでに年単位の時間がかかるため、幼生期・若齢期の不利な環境は数年遅れて漁獲量に反映されます。2020〜2021年に示唆された弱いコホートが複数残る場合、2024〜2028年のどこかで供給力の弱さが尾を引くシナリオが想定されます。
悪化シナリオと回復までの時間軸のイメージ
– 悪化シナリオ: 海況不利と弱コホートが重なると、漁獲枠消化率の低迷が継続しやすい。
– 改善シナリオ: 1〜2世代で加入が戻り、保護強化と好海況が重なれば段階的に回復。
いずれも単年での急回復は期待しにくく、2〜4年の視野で見るのが現実的でしょう。
資源回復に向けた取り組みと漁業者の自主規制の実例
漁業者による自主規制の事例
– 甲幅基準の上乗せ(法定より厳しい独自サイズ基準)
– 脱皮直後個体・抱卵個体の徹底リリース
– 漁具の目合い拡大や操業日数の自主抑制
– 早期終漁やミスマッチ海域の操業回避
これらは即効性と副作用のバランスを取りやすく、地域ブランドの維持にも資する取り組みです。
行政レベルの管理強化や科学的評価の役割
行政は資源評価の高頻度化、TAC・サイズ・期間規制の機動的な見直し、観察員や電子監視の導入支援などで現場を下支えすることが重要です。科学的評価は、A海域で示された雌高齢群不足[2]などのサインを早期に捉え、翌期の管理に迅速に反映させる要となります。
カニ不漁が漁村・地域経済に及ぼす影響と今できる対策
水揚げ減少がもたらす雇用・加工業への影響
水揚げの減少は競りの回転率低下、選別・加工ラインの稼働率悪化、パート雇用や輸送の稼働調整など、波及的に負担を生みます。観光地では「カニ会席」等のメニュー構成や価格改定の柔軟性が問われ、予約時期の前倒しや代替コースの提案が不可欠になります。
地域が取りうる短期的・中長期的な対応策
– 短期: 入札・直販の分散化で調達リスクを低減、冷凍在庫の計画活用、適正サイズの訴求で需要平準化
– 中期: トレーサビリティ強化、ブランド規格の再設計、禁漁・サイズ規制の上乗せ、加工の高付加価値化
– 横断: データ共有基盤の整備と、海況・資源情報の見える化による発注・販促の同期
結論
結論として、2021年のカニ不漁は、若齢雄(カタガニ)の落ち込み[1]と雌高齢群の不足[2]という世代構造の歪みに、暖水渦弱化と幼生輸送の不利といった海況要因[4]が重なり、結果として漁獲枠の消化率を押し下げた年だったと整理できます[3]。管理の巧拙だけでは説明できない複合要因型であり、資源評価と海洋環境の両輪で向き合うことが重要です。
まとめ
– 2021年は「量の不足」と「サイズ構成の偏り」が同時進行し、市場の品薄感と相場高を招きました[1][2]。
– 漁獲枠の消化率は約46%にとどまり、枠下推移の年でした[3]。
– 暖水渦や幼生流出など環境要因が資源の“谷”を深めた可能性が示されています[4]。
– 回復は数年スパンで進むため、機動的な管理と現場の自主規制、消費側の適正消費が鍵になります。
旬のピークに確実に味わうには、信頼できる産地・規格を見極め、早めの予約や適正サイズの選択がおすすめです。

参考
- 令和 7(2025)年度ズワイガニ日本海系群 A 海域の資源評価 – https://www.fra.go.jp/shigen/fisheries_resources/meeting/stock_assessment_meeting/2025/files/sa2025-sc03/fra-sa2025-sc03-01.pdf
- 令和 3(2021)年度ズワイガニ日本海系群 A 海域の資源評価 – https://www.fra.affrc.go.jp/shigen_hyoka/SCmeeting/2019-1/detail_zuwai_japanseaA_2021.pdf
- ズワイガニの未来 誰も言わない重要なこと – https://suisanshigen.com/2022/11/20/article57/
- 衝撃予測!日本海のズワイガニが10年消える?「少子化」 … – https://jo-epco.co.jp/japan-sea-snow-crab-resource-crisis/








