カニに骨はある?外骨格の仕組みを解説
最終更新日:2025-12-29
目次
カニに「骨」はあるの?内骨格がない仕組みと甲殻類としての位置づけ
カニは脊椎動物のような内骨格を持たず、頭胸甲(とうきょうこう)をはじめとする厚い外骨格で全身が覆われています。外骨格が文字どおり「殻」として体を支持し、防御の役割も担います。
「骨」と外骨格の違い
- 骨(内骨格)は体の内側から筋肉を支える構造で、脊椎動物に典型的です。
- 外骨格は体の外側にある硬い殻で、甲殻類や昆虫に見られます。カニでは外骨格に筋肉が内側から付着し、動作を生み出します。
カニが属する甲殻類とはどの仲間か
カニは節足動物門・甲殻亜門・十脚目に含まれる甲殻類です。多くのカニは5対の脚(うち1対はハサミ脚)をもちますが、タラバガニのように異尾類(ヤドカリの仲間)で歩脚が4対の例もあります。

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カニの殻(甲羅)は何でできている?外骨格とキチンの役割
外骨格の主成分はキチンという難分解性の多糖で、軽さと強さを両立させます。さらに炭酸カルシウムの沈着により硬さと耐久性が高まります。
外骨格の主成分:キチンとは
キチンは自然界に広く存在する構造多糖で、甲殻類の殻の主要成分です。キチンを分解する酵素の研究からも、その強度と耐水性が殻の堅牢さに寄与すると示唆されています。
外骨格が果たす防御・支持の役割
外骨格は外敵や物理的な衝撃から軟組織を守りつつ、カニの体形を保持して運動の支点になります。成長の際は外骨格を脱ぎ替える必要がある点が、内骨格の動物と大きく異なります。
カニの脚はどうなっている?節の数とハサミ脚の構造を図解で理解
カニの脚は複数の節が連なったレバー機構のような構造で、筋肉と腱(内側の腱板=アポデム)を介して動きます。
脚を構成する節(底節・基節・座節など)
一般的な歩脚は、底節・基節・座節・長節・膝節・前節・指節といった7節で構成されます。各節の関節角度と棘状の突起が、横歩きや砂地での踏ん張りに役立ちます。
ハサミ脚と歩脚の違い/筋肉と腱の仕組み
ハサミ脚(鉗脚)は獲物の把持・威嚇・雄同士の競争などに特化し、前節と指節が発達します。筋肉は外骨格内側のアポデムに付着し、屈筋・伸筋の拮抗で開閉が生まれます。
カニはどうやって大きくなる?脱皮(脱殻)の仕組みと外骨格の更新
カニは脱皮により外骨格を一新し、体サイズを段階的に大きくします。前脱皮期に新しい殻を内側で準備し、脱皮直後は水分を取り込んで体を膨らませ、時間をかけて硬化させます。
脱皮のサイクルとタイミング
幼若期は脱皮回数が多く、成長とともに周期が伸びます。環境条件(温度・餌・個体差)で時期が左右されることが知られます。
古い殻の処理と新しい殻の硬化過程
古い殻からカルシウムを再利用しつつ新殻へ再沈着させ、キチン繊維が樹脂のように補強されることで硬化が進みます。脱皮直後は「ソフトシェル」で壊れやすく、天敵に狙われやすい段階です。
代表的なカニの骨格比較:ガザミ・タラバ・ズワイの殻の特徴
同じ「カニ」でも殻と脚の形は大きく異なります。見分けのコツと殻の使い道の違いを押さえておきましょう。
ガザミ(ワタリガニ類)の殻・脚の特徴
ガザミは甲羅の側縁に棘が並び、後脚が櫂状に変化した遊泳脚をもち、遊泳性が高いのが特徴です。
ズワイガニ/タラバの殻の違いと用途
– ズワイガニは細長い歩脚と比較的薄い甲羅で、脚肉の可食部が多い傾向です。
– タラバガニは実はヤドカリの仲間で歩脚が4対、甲羅は厚く、とげ状の突起が発達します。脚1本あたりの繊維質が太く、加熱しても型崩れしにくいのが特性です。
カニとエビ・軟体動物の骨格の違いをわかりやすく比較
カニとエビはいずれも甲殻類(十脚目)で外骨格と脱皮という基本は同じですが、体形と脚配列に違いがあります。軟体動物は根本的に別グループです。
カニとエビの外骨格の共通点と相違点
共通点はキチン質の外骨格と脱皮、十脚という基本設計です。違いは、カニが横に扁平で腹部(ふんどし)を折りたたむのに対し、エビは腹部が長く発達し遊泳に用いる点です。
軟体動物との根本的な違い(外骨格 vs 内骨格/軟体)
軟体動物(貝・イカ・タコなど)は節足動物ではなく、体は軟らかく、貝殻や内在殻など別様の硬組織をもつ場合があります。外骨格で体を支える甲殻類とは進化系統も構造も異なります。
よくある質問(FAQ)
- Q. カニに骨はあるの?
A. いいえ。内骨格はなく、キチン質を主成分とする外骨格が体を支えます。 - Q. カニの殻は何でできている?
A. 主にキチンとタンパク質、炭酸カルシウムが含まれ、強さと軽さを両立します。 - Q. カニの脚は何節からできている?
A. 一般的に7節(底節・基節・座節・長節・膝節・前節・指節)です。 - Q. カニとエビの骨格の違いは?
A. どちらも外骨格ですが、カニは横に扁平で腹部を折りたたみ、エビは腹部が長く遊泳に適します。 - Q. カニはどのように成長する?
A. 脱皮で外骨格を脱ぎ替え、脱皮直後は柔らかく、その後硬化してサイズが定着します。

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調理や観察での扱い方:カニの殻を安全に外す手順と再利用のヒント
筆者は通販用の茹でガニを数百杯以上さばいてきました。殻は硬く鋭いので、順序と道具を守ると安全かつ歩留まりが安定します。
基本のさばき方(殻の外し方)ステップ
- 軍手とまな板を用意し、甲羅表面の汚れを軽く洗います。
- 甲羅の後縁に指を入れて甲羅を持ち上げ、内臓を分けます。
- えらを外し、可食部を傷つけないように掃除します。
- 胴体を縦割りにし、関節に包丁またはキッチンばさみを入れて脚を外します。
- 脚は関節ごとに切り分け、殻の弱い側に切れ目を入れて身を取り出します。
- ハサミ脚は甲の厚い側を浅く割り、身を押し出すと繊維を崩しにくいです。
- 殻は水気を拭き、出汁用に冷凍保存するか、当日中に廃棄します。
- 作業後はまな板・包丁を熱湯と洗剤で洗浄・乾燥させます。
殻の処理・保存・再利用のコツ
ビスクや味噌汁の出汁に使う場合、殻をオーブンで軽く乾煎りすると香りが立ちます。長期保存は密閉冷凍で臭い移りを防ぎます。家庭廃棄時は新聞紙で包み、生ごみ用防臭袋を使うと安心です。甲殻類アレルギーの家族がいる場合、調理器具を分け、加熱後の飛散にも注意しましょう。
結論:カニは『骨』ではなく外骨格を持つ生き物――覚えておくべき要点
今日覚えておきたい3つのポイント
- カニには内骨格がなく、キチン質主体の外骨格が体を支えます。
- 外骨格は脱皮で更新され、脱皮直後は柔らかく、硬化に時間がかかります。
- 種によって殻と脚の形が異なり、タラバガニはヤドカリの仲間で歩脚が4対です。

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