カニのスジを正しく扱う完全ガイド|腱の役割と取り除き方

カニの筋(スジ)完全ガイド:正体と扱い

最終更新日:2025-12-29

蟹 筋 と検索してたどり着いた方が一番知りたいのは、食べるときの“スジ”の正体と扱い方でしょう。
本記事では、スジの正体(腱)と、外骨格・筋肉の仕組み、横歩きの理由、雌雄の見分け方、家庭での確認方法まで丁寧に解説します。

カニの「スジ」とは何か?食べるときに気になる部分の正体

食材として見る“スジ”の印象

脚肉の中に whiteの白いヒモ状のものがあり、歯に残ると気になります。
これは可食部ではありますが、食感が硬いので取り除きたい方も多いでしょう。

解剖学でのスジ(腱)の定義

脚肉の中の乳白色のヒモ状のものは腱で、一般にカニのスジと呼ばれます。
神奈川県立 生命の星・地球博物館の解説でも、脚の肉内のヒモ状組織を腱と示しています(出典:同館の資料)。

この腱は筋肉と外骨格をつなぎ、筋収縮の力を殻側へ伝える役割を担います。
つまり“スジ”は、動作に不可欠な伝達ケーブルのような存在と言えるでしょう。

(参考:神奈川県立 生命の星・地球博物館「カニの脚」)

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外骨格と内部筋肉の関係:カニの体を支える仕組み

外骨格(甲羅)の特徴と役割

カニは外骨格が骨の役目を果たし、体を守りつつ筋肉の支点にもなります。
硬い殻が崩れないことで、筋が生む力を効率よく動きへ変換できます。

外骨格の内側にある筋肉の配置

筋肉は殻の内側に張り付き、腱を介して内部の突起や付着部に固定します。
鋏脚では、開く筋の付着は小さく、閉じる筋の付着は非常に大きく特化します。
これは「挟む力」を優先する構造であると説明されています(出典:Wikipedia「カニ」)。

脚の関節が動く仕組み:筋肉と腱の連携で関節が曲がる理由

脚の節と関節の構造

歩脚は複数の節で構成され、関節で曲がることで複雑な動きを実現します。
各節は外骨格で覆われ、関節部は可動域を確保する形状になっています。

筋と腱の付着・作用機序(収縮→腱の牽引→関節運動)

筋が収縮すると腱が引かれ、関節の一方向にトルクが生じます。
反対側には拮抗筋があり、交互に働くことで滑らかな屈伸が成立します。
このとき“スジ”=腱が力の伝達路となり、歩行や姿勢保持を支えます。

ハサミ脚の筋はなぜ特化しているか:閉じる筋の構造と力学

開閉に関わる筋と腱の違い

鋏を開く筋は小型で、閉じる筋は大型で腱付着も広いことが知られます。
閉じる動作は獲物を掴み、殻を砕き、防御する要の機能だからです。

閉じる筋が巨大であることの生物学的意義

閉じる筋が大きいほど瞬間的な咬合力を得られ、摂食と防御で優位に立てます。
捕食やテリトリー争いに直結するため、進化的に強化されたと考えられます。
鋏脚の設計は“挟む”に最適化した、高効率レバー機構と言えるでしょう。

(構造の差異については前節のWikipedia記述も参照)

横歩きする理由と脚の形状:カニ特有の歩行様式の解説

脚の配列と可動範囲が横歩きに与える影響

カニの歩脚は体の左右に張り出し、関節の曲がる向きが横方向に有利です。
このため前後よりも横方向の推進効率が高く、素早く動けます。

種類ごとの脚の差(歩行性に関する比較)

種によって脚の長さや関節角度が異なり、移動の得意方向も変わります。
ただし一般的には、横歩きが最も安定しやすい傾向があると言われます。

よくある質問(FAQ)

  • カニのスジとは何ですか?
    脚肉にある白いヒモ状の組織で、解剖学的には腱です。
    筋収縮の力を外骨格へ伝える役割があります。
  • カニの脚の筋肉はどうやって動くのですか?
    筋が縮むと腱が引かれ、関節が曲がります。拮抗筋が戻す役を担います。
    腱は力の伝達路として、歩行や姿勢保持に重要です。
  • カニのハサミはどうやって閉じるのですか?
    閉じる筋が大きく発達し、太い腱で付着して強い力を出します。
    開く筋は小さく、閉じる動作に特化した設計です。
  • カニの雌雄はどうやって見分けるのですか?
    腹側の腹甲の形で判定します。雄は細長い三角、雌は広い半円形が目安です。

雌雄の見分け方:腹部の筋の形と外見で簡単に判定する方法

雄と雌のお腹(腹甲)の形の違い

一般に、雄の腹甲は細い三角形で、雌は半円形で幅広い形を示します。
雌は抱卵のため腹部が広く、甲羅が相対的に小さめな個体も見られます。
この違いは現場での迅速な識別に役立ちます(出典:中村商店の解説)。

現場での判定手順(見方のコツ)

甲羅を下にして腹側を上にし、腹部のフタ状部分の形を確認します。
細長い三角なら雄、幅広い半円なら雌と判断するのが基本です。

家庭でできるカニのスジの確認と取り扱い:さばき方と注意点

観察と取り出しの手順(ステップバイステップ)

1) 脚を関節ごとに外し、太い脚を縦に割ります。
2) 殻を開くと、肉の中央に白いヒモ状の“スジ”が見えます。
3) ピンセットで腱の端をつまみ、肉を崩さないように引き抜きます。
4) 細い脚は先端を軽く引くと、腱がスッと抜けることがあります。
5) 取り出した後に残った筋繊維は、身出し時にほぐして整えます。

調理時にスジが残らないコツと避けるべきミス

  • 茹で後は身が締まるので、温かい間に腱の端を見つけると抜きやすいです。
  • 強く引きすぎると身が崩れるため、軽いテンションで連続的に引きます。
  • 生の個体は衛生管理を徹底し、まな板と道具を都度洗浄しましょう。

カニの筋について押さえておきたい5つの要点

観察ポイントのチェックリスト

  • スジの正体は腱で、筋と外骨格をつなぐ伝達路です。
  • 外骨格は“骨”と“装甲”の役割を兼ね、力を受け止めます。
  • 鋏脚は閉じる筋が巨大で、挟む力に特化しています。
  • 歩脚は横方向の運動に有利な関節配列を持ちます。
  • 雌雄は腹甲形状で見分けやすく、雄は三角・雌は半円が目安です。

学んだことを調理や観察に活かす方法

茹で上げ後に腱の端を探し、身を崩さずに丁寧に抜きましょう。
雌雄判定は腹側確認を習慣化し、購入時の目利きにも役立ててください。

— 執筆者メモ —
kani-tu.com編集部。毎シーズン実食検品を行い、年30杯以上をさばく筆者が手順を検証しました。
現場の体験をベースに、博物館資料と一般的な生物学知見を照合しています。

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参考

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