カニの食べられない部分と安全な外し方
目次
カニに「食べられない部分」がある理由と安全性の概観
カニをさばく際に「どこが食べられない部分なのか」「なぜ取り除くのか」という疑問は自然ですが、結論としては味や衛生面の理由が中心で、一般的な食用ガニでは強い毒があるからではないと理解しておくと安心です。水産会の解説でも、エラなどは毒ではなく不純物を含みやすいため取り除く、と整理されています(出典:水産会 https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/7638)。本記事では、ズワイガニ、毛ガニ、タラバガニ(ヤドカリの仲間ですが実用上の処理はほぼ同じ)を主対象に、食べられない部位の見分け方と外し方を、失敗しない手順でまとめます。
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食べられない部分ができる理由(生態と役割)
カニのエラは海水を通して呼吸しつつ微細な汚れを捕らえるフィルターの役割を担い、甲羅内の胃袋や背ワタは消化と排泄に関わるため、風味や衛生の点で食用には向きません。これらは「蟹 食べ られない 部分」として、最初に分けておくのが賢明です。
取り除く目的:味・衛生・安全性
エラや胃袋、背ワタを残すとえぐみや生臭みの原因となり、砂や不純物が混ざることがあります。水産会は「毒や害はないが、不純物を含むため取り除く」と解説しており、おいしさと衛生の両面で外すのが基本と言えるでしょう(出典:水産会 https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/7638)。
この記事で扱うカニの種類と対象範囲(ズワイ・タラバ・毛ガニなど)
ズワイガニ、毛ガニ、タラバガニ、花咲ガニを前提に説明します。タラバはヤドカリの仲間で構造差はあるものの、エラ・胃袋・背ワタ・ふんどし(腹扇)を分ける考え方や実際のさばき方はほぼ共通です。
食べられない部分の一覧と見分け方(エラ・胃袋・背ワタ・ふんどし等)
「蟹で食べられない部分」をひと目で識別できるよう、見た目と触感の特徴を整理します。
エラ(ガニ)の特徴と見た目
エラは灰色〜薄茶のビラビラした板状組織で、甲羅の内側に左右対称に並んでいます。海水中の汚れをこし取る部位のため食べません、とする解説が通例で、見た目の特徴として「灰色のビラビラ」は覚えておくと役立ちます(出典:Geocities 解説 https://shopping.geocities.jp/washoku2/hal/lp/pages/kani_cooking.html)。
胃袋の位置と見た目(歯や袋状の特徴)
胃袋は甲羅の内側、口に近い前側中央にある袋状の硬い部位で、触ると硬い粒や板のような感触があり、砂嚢にあたるため取り除きます。色は白〜淡褐色で、味噌と混ぜないよう最初に分離するとよいでしょう。
背ワタ・ふんどし(腹部)の位置と見分け方
背ワタは甲羅と胴の境目や脚付け根付近にある黒〜茶色の細い管状の糸のような部分で、見つけたらつまんで抜きます。ふんどし(腹扇)は腹側中央の三角〜扇形のフタ状の殻で、ここを外すと甲羅が開けやすくなります。
甲羅の内部(味噌)の見立て方と食べられる部分
いわゆるカニ味噌(中腸腺)は緑〜褐色のペースト状で、加熱済みの個体なら食べられます。雌の内子(卵巣)や外子(受精卵)は種類や時期で差があり、いずれも加熱を前提に扱うのが安全です。
エラ(ガニ)の安全性と具体的な取り外し方法
エラ周りは「残すと生臭い」最大の要因になりやすいので、最初に確実に外しておきます。
エラの生理的役割と見た目の特徴(灰色のビラビラ)
エラは呼吸と濾過に関与する器官で、灰色のビラビラが連なって見えます。汚れをため込みやすいため、可食部に混ざらないよう丁寧に分離します(出典:Geocities 解説 https://shopping.geocities.jp/washoku2/hal/lp/pages/kani_cooking.html)。
エラは食べられるか・毒性の有無
一般的な食用ガニでは強い毒性があるから捨てるのではなく、不純物や臭みが出るため除く、と理解して問題ありません。水産会も「毒や害はないが、不純物を含むため取り除く」と明記しています(出典:水産会 https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/7638)。
エラの取り除き方(甲羅を外して引き抜く手順)
- ふんどし(腹扇)を外し、甲羅と胴を開く。
- 甲羅内側と胴側のエラを指でつまみ、根元から引き抜く。
- 外した部位は料理に使わず廃棄し、可食部に触れた手やまな板を軽く洗う。
蒸し蟹・茹で蟹での扱いの違いと衛生上の注意
茹で済みなら上記の手順でそのまま除去、蒸しの場合は蒸気で内側の水分が回りやすいので、甲羅を開けた直後に速やかにエラを外し、身と味噌を分けると臭み移りを抑えやすいでしょう。
甲羅の内部にある胃袋と背ワタの見分け方と除去手順
風味を損ねる最大要因のひとつが胃袋と背ワタの混入です。甲羅を開けたら最初に分離する癖をつけます。
甲羅を外して内部を確認する方法
ふんどしを外したら、甲羅の後方を持って手前に倒すように開きます。甲羅側に味噌と胃袋、胴側にエラと可食部が見える配置をイメージしておくと迷いません。
胃袋(歯が見える袋)の取り方:引き出し方と注意点
甲羅の前方中央にある袋状の硬い部位が胃袋です。指か小さじで根元から持ち上げ、味噌をこぼさないようにゆっくり外します。硬い粒や板状の部分が触れたらそれが目印で、味噌とは必ず分けましょう。
背ワタの位置・見た目と簡単な除去法
背ワタは細い管状で黒〜茶色、脚の付け根や胴体の溝に沿って見つかります。ピンセットや指でつまみ、切らずにスッと引き抜くと残りにくいです。
取り除いた部位の廃棄・洗浄方法
取り除いた胃袋・背ワタはそのままビニール袋に集め、可燃ゴミへ。作業後は流水で器具と手指を洗い、必要に応じてアルコールで拭き上げると安心です。
ふんどし(腹部)の切り取り方と甲羅を開いて味噌を扱う方法
安全な「入口作業」はふんどし外しから始まります。ここが確実だと、その後の工程が格段に楽になります。
ふんどしとはどの部分か(位置の確認)
腹側中央にある三角〜扇形のフタがふんどしです。オスは細く長め、メスは幅広で、ここを外すと甲羅が開けやすくなります。
ふんどしの切り取り手順(包丁・はさみの使い方)
- ふんどしの先端を指で起こし、付け根を確認する。
- キッチンはさみで付け根を一回切り、上へめくって外す。
- 包丁を使う場合は刃先を差し入れ、テコの要領で外すと安全です。
甲羅の外し方と味噌の取り出し方
ふんどしを外したら、甲羅の後方を持って開きます。味噌はスプーンで清潔な器に移し、胃袋や甲羅縁の薄皮が混じらないよう丁寧に分けます。
味噌(内子)の食べ方と注意点(加熱・保存の目安)
味噌や内子は加熱済み個体ならそのまま、未加熱なら必ず火を通してから味わいましょう。保存は冷蔵で当日〜翌日までが目安、風味保持の点でも早めの消費がおすすめです。
脚の関節ごとの割り方と肩肉(抱き身)の外し方・美味しい食べ方
身を無駄なく取り出すには、関節の割り方と肩肉の外し方が肝心です。
脚の節ごとの折り方・割り方(包丁・手でのコツ)
関節ごとに曲げ、可動の向きに合わせてパキッと折る。はさみで殻の内側の薄い方から長手方向に切り開く。太い脚は甲羅側から1本スリットを入れると身離れが良くなります。
関節から身を取り出すテクニック(はさみ・スプーン活用)
細身は両端から軽く押し出し、太身は殻を舟形に開いてスプーンで一気にすくうと崩れにくいです。関節の腱を切っておくとスルッと抜けます。
肩肉(抱き身)の外し方と食べやすくする下処理
胴と脚の付け根のブロックが肩肉です。付け根側から水平に割り、筋の走行に沿って薄くはがすと大きな片が取れます。薄皮や小骨様の殻片を指で感じながら除くと食感が良くなります。
肩肉を美味しく食べる調理法・味付けのヒント
肩肉は繊維が細かく甘みが強いので、ポン酢や酢橘、さっとバターで温めるだけでも十分です。卸の実演でも「腹側に近い肩肉は節が少なく食べやすい」といったコツが紹介されています(出典:YouTube 卸解説 https://www.youtube.com/watch?v=7y8OyTNUSiM)。
よくある質問(FAQ)
カニのガニ(エラ)は食べられる?毒は入っている?
一般的な食用ガニのエラは強い毒があるから捨てるのではなく、不純物や臭みの原因になるため除く、という整理が妥当です(出典:水産会 https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/7638)。見た目が灰色のビラビラで、外して廃棄しましょう(出典:Geocities https://shopping.geocities.jp/washoku2/hal/lp/pages/kani_cooking.html)。
カニの胃袋の見分け方と除去方法は?
甲羅の前方中央にある硬い袋状の部位が胃袋で、味噌と混ざらないよう根元から持ち上げて外します。硬い粒や板状の感触が目印です。
肩肉は食べにくい?おいしく食べるコツは?
肩肉は節が少なく腹側は特に食べやすいと紹介されており、殻を大きく割って繊維に沿ってはがすと歩留まりが上がります(出典:YouTube 卸解説 https://www.youtube.com/watch?v=7y8OyTNUSiM)。
カニの背ワタとは何?どうやって取る?
背ワタは消化・排泄に関わる黒〜茶の細い管状の部分で、脚付け根の溝沿いに見つかります。ピンセットでつまみ、切らずに引き抜くと残りにくいです。
食べられない部位は出汁に使える?
エラ・胃袋・背ワタは不純物や臭みの原因になりやすく、出汁には不向きです。殻や脚先は香りが出るので推奨、取り除いた部位は廃棄を基本にしましょう(出典:水産会 https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/7638)。
食べられない部位は出汁に使える?毒や不純物の扱い方と再利用案
取り除いた部位の再利用可否を整理します。
エラ・胃袋・背ワタは出汁に使えるかの検討
エラ・胃袋・背ワタは不純物やえぐみを持ち込みやすいため、出汁には使わないのが無難です。香りづけは甲羅や脚先、殻片に限定するのがおすすめです(出典:水産会 https://osakana.suisankai.or.jp/s-other/7638)。
不純物や臭みを取り除く下処理(洗浄や下茹で)
殻で出汁を引く前に、流水でこすり洗いし、さっと湯通ししてから弱火で煮出すと濁りと臭みを抑えられます。長時間の強火は雑味が出るため避けましょう。
安全に使うための手順と避けるべき部位
- 使う:殻、脚先、甲羅(胃袋を外したもの)。
- 使わない:エラ、胃袋、背ワタ。
- 手順:洗浄→湯通し→弱火で短時間抽出→目の細かい網で濾す。
廃棄する場合の衛生上の注意
開封日当日に密閉して廃棄し、におい漏れと虫害を防止します。作業後は器具・手指を洗い、台所の拭き上げまで行うと安心です。
家庭でよくある失敗と安全に処理するためのチェックリスト
仕上がりの差は「最初の分け方」で決まります。次のポイントを確認しましょう。
よくある失敗例(エラを残す、胃袋を混ぜるなど)
– エラを外し忘れて味噌に臭みが移る。
– 胃袋を破って砂嚢の粒が味噌に混入する。
– 背ワタを切って身に散らす。
– ふんどしを外さずに無理に甲羅をこじ開けて身崩れする。
調理前の確認チェックリスト
– ふんどしを先に外したか。
– 甲羅を開けた直後に胃袋とエラを分けたか。
– 背ワタを管の根元から抜いたか。
– 作業台と器具をこまめに拭き分けたか。
道具別の使い方と安全対策(はさみ・包丁)
はさみは「薄い方の殻」から入れて切り開き、包丁は刃先だけ差し入れてテコで外すと安全です。手は食材用手袋や指ガードを使うとケガ予防になります。
最後に:安全に取り除いて蟹を美味しく味わうためのまとめ
重要なチェックポイントの再確認(取り除くべき部位)
- 必ず外す:エラ(ガニ)、胃袋、背ワタ、ふんどし。
- 食べられる:身、味噌(中腸腺)、内子・外子(加熱前提)。
最短で覚える処理の順番
ふんどしを外す→甲羅を開く→エラと胃袋を分ける→背ワタを抜く→脚と肩肉を割る→身と味噌を盛り付ける、の順で迷いにくくなります。
参考にした信頼できる資料と筆者の実体験・更新日
筆者はカニ通販の取材と自宅での実食検証を繰り返しており、特に「最初にふんどし→甲羅→エラ・胃袋の順で分ける」だけで失敗が激減する実感があります。出典として水産会の基礎解説と実演系の資料を参照し、現場でのコツを加えました。最終更新日:2025-12-29。








