失敗しないカニの剥き方と下処理を徹底解説

失敗しないカニの剥き方と下処理

更新日:2025-12-27
執筆:kani-tu.com編集部(年間50杯以上を解体・試食、調理講習での実演経験に基づく実践ガイド)

初めてでも安心:カニを剥く前の準備と解凍時の注意点

カニの剥き方は道具と解凍で八割決まると言われるほど下準備が重要で、正しい手順なら身崩れや殻の飛散を大きく減らせます。

  • 必要な道具(キッチンバサミ、包丁、まな板など)
    • キッチンバサミ(先細・ギザ刃だと滑りにくくおすすめです)
    • 小出刃またはペティナイフ(関節の起点出し用)
    • まな板(滑り止めマットや濡れ布巾で固定します)
    • 牡蠣ナイフやバターナイフ(甲羅のこじ開け補助)
    • ピンセット(細い殻片の除去)
    • 使い捨て手袋、キッチンペーパー、ポリ袋(衛生管理)
  • 冷凍カニの安全な解凍方法と避けるべき行為
    • 最優先は冷蔵庫解凍で、受け皿に並べて0〜4℃帯で半日〜一晩かけるのが基本です(ドリップを受けて再付着を防ぎます)。
    • 急ぐ場合は密封して冷水の流水解凍を行い、常温放置や温水解凍は雑菌増殖や身質劣化を招くため避けましょう(米国FSISは冷蔵または冷水での安全な解凍を推奨しています)。
    • 再冷凍は風味低下とドリップ増を招くため推奨されません。
  • 準備の手順(作業スペース・衛生管理)
    • 作業前に手指と道具を洗浄・消毒し、清潔な作業面を確保します。
    • まな板は生食材用と加熱済みで分けるか、使い捨てシートを併用します。
    • 殻は鋭利で指を切りやすいため、支点は殻ではなく関節や平面を持つのが安全です。

なお基本の流れは、脚を関節ごとに切り離し、ふんどしを外して甲羅を開け、エラを除去後にハサミで殻を切って身を押し出すという順序が分かりやすいと紹介されています(ふるなびの解説を参照)。

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カニの部位を理解する:ふんどし・甲羅・えら・かに味噌の見分け方

部位の位置関係を知ると、無駄なく安全に可食部へアクセスでき、カニの剥き方の迷いが大幅に減ります。

  • ふんどし(前かけ)とはどこか
    甲羅の裏側、腹面に三角形の板状に付く部分で、ここを起点に甲羅を開きます。
  • 甲羅の内部にあるかに味噌とエラ・胃袋の位置
    甲羅内中央から前方に胃袋、側面にエラ(鰓)があり、これらは可食ではありません。かに味噌は甲羅内に付着するペースト状の内臓で、風味の要素として楽しまれます。
  • 食べられる部分と食べない部分の見分け方
    可食:脚・爪・太腿(肩肉)・胴体の綿状の身・かに味噌。非可食:エラ・胃袋・腸管の残渣は除去が基本です。ふんどしを外し、甲羅を前方へ剥がし、かに味噌を甲羅に移すという手順が整理されており、エラと胃袋はこのタイミングで取り除きます。

さいほくの解説にも準拠します。

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脚と爪の剥き方を部位別に解説:関節ごとの切り離し方と太腿の取り出し

形状と筋繊維の向きに合わせて切ると、身がきれいに抜けて見栄えも良く、可食歩留まりも上がります。

  • 脚を関節ごとに切り離す手順(どこを切るか)
    まず脚を体から外し、各関節ごとに分割します。殻を切る位置は関節から少し離した直線部が安全で、力が分散して身割れを防げます。実践の目安として、関節から約2cmの位置に横切り込みを入れ、反対側も切って殻をめくると身が抜けやすいとされています。
  • 爪の開け方と太腿部位の剥き方
    爪は関節で外し、爪先側の硬い部分に切り込みを入れてパカっと開くイメージで取り出します。太腿(肩肉)は甘味が強い部位で、甲羅側から観音開きにし、筋に沿ってハサミを入れると塊で外せます。
  • 身を潰さないための持ち方と力のかけ方
    殻を押しつぶすのではなく、殻だけを切る意識で、刃先を殻の内側に沿わせて浅く入れます。抜き出す際は、切り目を上下にして軽くしごくと、筋繊維に沿ってスッと抜けます。

キッチンバサミと包丁で剥く:ふんどしの外し方から胴体の身の取り出しまでの手順

手順全体を通して、切る順と向きを統一すると効率と安全性が高まります。

  • ステップ0:作業準備と衛生確認
    冷蔵庫または冷水で適切に解凍し、ドリップは都度拭き取ります(FSISの安全解凍法に準拠)。
  • ステップ1:ふんどし(前かけ)の外し方
    腹面の三角板を手前に起こして外し、甲羅を前方へはね上げる起点を作ります。
  • ステップ2:甲羅の開け方とエラ・胃袋の除去方法
    甲羅を前方へ開き、かに味噌は甲羅へ集めます。胴側のエラと甲羅前方の胃袋を取り除き、食べない部位を分別します。
  • ステップ3:脚と爪の切り離し、キッチンバサミによる切り込みの入れ方
    脚は関節で切り離し、直線部に縦または横の切り込みを入れて殻を開きます。目安として関節から約2cmの位置に切り込みを入れると殻が割れにくく、身が抜けやすいです。
  • ステップ4:胴体の観音開き(さばき方)と身の掘り出し
    胴体を縦に二つ割りにして観音開きにし、綿状の身をスプーンで丁寧に外します。太腿の関節周りは筋に沿って浅く切り、塊のまま外すと型崩れしにくいです。
  • ステップ5:かに味噌の取り扱い方と盛り付けのコツ
    かに味噌は甲羅に集めて、肩肉や脚身を和えると旨味が全体に行き渡ります。甲羅焼きにする場合は、必ず再加熱して香りを立たせ、過熱しすぎて分離しないよう中火で短時間が目安です。

基本の流れは、脚を関節ごとに切り離し、ふんどしを外して甲羅を開け、エラを除去後にハサミで殻を切って身を押し出す、という順番が初心者にも分かりやすいと紹介されています(ふるなびの手順)。

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よくある質問(FAQ)

  • Q. カニのエラは食べられる?
    A. エラは不快な食感と雑味の原因になりやすく、一般に食べないのが基本です。甲羅前方の胃袋も同様に除去してください(さいほくの基本手順に準拠)。
  • Q. カニを剥くのに必要な道具は?
    A. 先細のキッチンバサミ、小出刃またはペティ、固定したまな板、ピンセット、手袋があると安全で効率的です。ハサミ中心のやり方は身割れが少なく、初心者に向いています(宝屋干物店の解説もハサミ活用を推奨)。
  • Q. ズワイガニとタラバガニの剥き方の違いは?
    A. タラバは殻が厚く棘が強いため、切り込みは浅く多めに入れて殻を「開く」イメージで、ズワイは細長い脚に沿って一直線に切って「抜く」イメージが向いています。タラバはヤドカリの仲間でかに味噌は少なく、甲羅内処理の比重はズワイの方が高めです。
  • Q. 生カニとボイルカニの剥き方は違う?
    A. 生カニは身が柔らかく破れやすいため、切り込みは浅く、抜き出しはスプーン併用が安全です。ボイルは身が締まっているので、切り込みをしっかり入れて「押し出す」動作が有効です。
  • Q. カニの身がつぶれずに剥くコツは?
    A. 関節から少し離れた直線部に切り込みを入れ、殻だけを切って身は押し出す、という順序を守ると崩れにくいです。切り込みは深く入れすぎず、複数回に分けるのも有効です。

内臓の扱いと食べられる部分の見極め:エラ・胃袋と甲羅内のかに味噌

エラや胃袋は衛生と食感の観点から取り除くのが基本です。かに味噌は風味の要素として活用します。

  • エラ・胃袋を除去する理由
    エラは雑味の原因になりやすく、胃袋には砂袋状の硬い部分があるため、食味と安全性を考慮して除去します。
  • かに味噌の取り出し方と美味しい食べ方
    甲羅を開いたら味噌を甲羅側へ集め、殻片をピンセットで取り除きます。甲羅焼き、酢飯と和えた軍艦、ほぐし身と合わせた甲羅盛りなど、加熱か非加熱かはお好みですが、衛生面が気になる場合は再加熱が安心です。保存は冷蔵で当日〜翌日、長期は冷凍で小分けし、再解凍は冷蔵または冷水で行います。
  • 内臓処理で気をつける衛生ポイント
    かに味噌を扱った道具で他の食材に触れない、ドリップはこまめに除去、手袋は工程ごとに替えると交差汚染を防げます。

身がつぶれないコツと後片付け:よくある失敗と復旧方法

  • 身を潰さないための保護ポイント
    切り込みは殻の厚み7〜8割程度までにとどめ、刃先を内膜に沿わせて「開く」操作で殻だけを外します。保持は関節や太い部分を持ち、細い脚先は支えに使わないと破断を避けられます。
  • よくある失敗例と対処法
    身が崩れた場合にはほぐし身にしてサラダや甲羅グラタン等に転用します。殻が飛散した場合は切り込み前にキッチンペーパーで包んでから開くと飛散を抑制できます。
  • 後片付けと道具の消毒方法
    殻や内臓は二重袋で密封し、排水口はネットごと廃棄します。まな板と刃物は洗剤洗浄後に熱湯またはアルコールで消毒し、十分に乾燥させて保管します。

まとめ

正しい解凍と安全な持ち方、そしてキッチンバサミ中心の工程管理が、カニの剥き方で身を美しく保つ三大ポイントです。ふんどしを外して甲羅を開き、非可食部を先に処理してから、関節から少し離した直線部に切り込みを入れるという順序を守れば、初心者でも歩留まりよく剥けるでしょう。迷ったら本記事の手順に立ち戻り、落ち着いて一工程ずつ進めてみてください。

参考