カニの脚の本数と部位別の味・食べ方を徹底解説






カニの脚は何本?部位と役割・食べ方

更新日:2025-12-29

カニの脚は何本?種類別の本数と見た目の違い

カニの脚はいくつあって、どの部分が食べやすく美味しいのか、さらにタラバガニの脚数が「8本に見える」理由まで、ひとつに整理して理解したい方に向けた解説です。構造と役割をおさえると、購入やさばき方の判断もぶれにくくなり、部位ごとの味わいをより楽しめるようになります。

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一般的なカニは5対10本(胸脚)

多くの「真のカニ(短尾下目)」は胸脚が5対、合計10本です。第1脚が鉗脚(ハサミ)で、残り4対が歩脚として働き、各脚は7つの節が連なる構造をもちます。神奈川県立 生命の星・地球博物館の解説では、こうした基本構造(第1脚=鉗脚、他は歩脚、脚は7節)が明快に説明されています(カニの脚PDF/神奈川県立 生命の星・地球博物館)。この全体像は百科事典(カニ/Wikipedia)でも同様に整理されています。

タラバガニは見た目はカニでも分類上はヤドカリ類に近く、胸脚の第5脚が小さく甲の下に折りたたまれるため、外見上は8本に見えます。実際には10本脚ですが、2本は隠れているという理解が実態に近いでしょう。解剖動画での丁寧な解説が参考になります(Why red king crab is not a “crab” [Dissection of red king crab][フィッシーサイエンス])。なお、特殊な例として「イバラガニモドキ」は鋏脚2本+歩脚6本の計8本で、ムツアシガニ科など歩脚が3対のグループも知られています。えのすいトリーター日誌が、隠れた脚の位置と見え方の違いを写真付きで紹介しています。

補足として、泳ぎに適応した「遊泳脚」や、砂にもぐるのに適した「へら状の歩脚」など、形状の違いが見た目や動き方の差として現れることも覚えておくと理解が深まります(詳細は後述)。

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鉗脚(ハサミ)の構造と役割:捕食・防御・コミュニケーションでの使われ方

鉗脚の基本的な構造と差異

第1脚である鉗脚は、固定指と可動指で物を挟む構造をつくり、他の脚と同様に複数の節から成ります。同じ種でも個体や性別でサイズ差や形の左右差が見られる場合があり、硬い殻を砕きやすい太く短いタイプや、素早くつまむのに向く細長いタイプなど、機能に応じたバリエーションが見られます。基本構造は、前掲の博物館資料が示す「多関節・7節構造」に準じます(神奈川県立 生命の星・地球博物館)

鉗脚は獲物を捕らえる、敵から身を守る、甲殻の掃除など実用的な役割を果たします。さらに、縄張りや求愛のディスプレイとして掲げたり振ったりする視覚的な合図にも使われ、単なる「道具」以上にコミュニケーション器官としても重要だと言えるでしょう。

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歩脚の節構造と横歩きの仕組み:7節の名称と関節の役割

歩脚を構成する7つの節(名称と役割)

歩脚は一般に7つの節が連なり、基部から順に「基節・坐節・腿節・腕節(長節)・前節・掌節・指節」といった名称で呼ばれます。近位の節は体側への出し入れや上下動を司り、中位の節がストローク(蹴り出し)を担い、遠位の掌節・指節が接地やグリップの調整を行います。多節の組み合わせにより、強い推進と繊細な接地を両立させるのが特徴です。脚が7節という大枠は、博物館資料の記述と一致します(神奈川県立 生命の星・地球博物館)。

関節配置が横歩きに適している理由は、カニの脚が体の左右に張り出す配置で、主な関節面が前後に折れ曲がるため、脚を外側へ振り出す横方向のストロークが効率的になる点です。甲羅の形状も前後より左右に広い種が多く、敵に対して正面投影面積を小さく保ちながら素早く移動しやすいことが、横歩きを基本戦略にしている理由と言えるでしょう。

遊泳脚やへら状の脚など特殊な形態:種ごとの適応例と生態的意味

遊泳脚を持つカニ(例)と泳ぎ方の違い

ワタリガニ類(ガザミ科)の第5歩脚はパドル状に扁平化した「遊泳脚」で、水を強くかき出すのに適します。短いストロークで推力を得やすく、底生生活と遊泳を状況により切り替えられるのが特徴です。こうした形態は、逃避や能動的な捕食に有利に働きます。

へら状の脚で砂に潜る種の例(アサヒガニ科、キンセンガニ科)

アサヒガニ科やキンセンガニ科では、前方の歩脚がへら状に発達し、砂底へ素早く潜るのに適しています。前方の押し込みと後方のかき出しを連携させ、砂中に身を隠して外敵から逃れたり待ち伏せを行ったりします。なお、脚数が外見上で異なるように見える特殊例として、イバラガニモドキは鋏脚2本+歩脚6本の計8本であることが飼育現場の観察から報告されています(えのすいトリーター日誌)

よくある質問(カニの脚)

  • Q. カニの脚は何本ですか?
    A. 一般的なカニは胸脚5対の計10本で、第1脚が鉗脚、残り4対が歩脚です(神奈川県立 生命の星・地球博物館/Wikipedia)。
  • Q. タラバガニの脚は何本でカニとどう違う?
    A. 10本ありますが第5脚が小さく隠れるため8本に見えます。分類学的にはヤドカリ類に近いグループです(Why red king crab is not a “crab” [Dissection of red king crab])。
  • Q. カニのハサミ脚の役割は?
    A. 捕食や防御に加え、求愛・威嚇などのディスプレイにも使われます。形や大きさの差は機能適応の表れです。
  • Q. カニの脚の構造はどうなっている?
    A. 多くは7つの節が連なり、基部が姿勢制御、中位が推進、末端が接地・把持を担います(PDF
  • Q. カニの脚の食用部位の名前は?
    A. 爪肉、爪下(爪の付け根)、棒肉(脚の中央部)、肩肉(付け根側)などに分けて流通・表記されます(カニ爪と肩肉はどっちが美味しい?カニの部位ごとの違いを …)。

脚の自切(自切機構)と再生の仕組み:危険回避と回復のプロセス

自切が起きる状況と物理的なメカニズム

天敵に捕まれた、脚が岩に挟まったなどの危機に、カニは自分の意志で特定の関節面で脚を切り離す「自切」を行います。多くの種では基部付近に自切線があり、筋の収縮で弱い面を開放して損傷を最小化し、出血も最小限に抑えます。

切断後の再生(再生速度や段階)の概要

失った脚は次回以降の脱皮で「芽肢」と呼ばれる小さな新生部位として現れ、複数回の脱皮を経て元のサイズに近づきます。成長段階や栄養状態により速度は変わるため、完全再生までの期間には幅があると考えられます。

食べる視点で見るカニの脚の部位名と味・食感の違い(爪・爪下・棒肉)

爪肉と爪下(爪の付け根)の特徴と食感

爪肉は筋繊維が太く締まりがあり、噛むほど旨味が広がるのが特徴です。爪のすぐ付け根にある「爪下」は弾力があり、棒肉とは食感がはっきり異なります(丸水の部位解説)。爪・爪下は天ぷらやフライ、バターソテーなど、食感を活かす加熱に向きます。

棒肉(脚の棒状部分)と肩肉の違い、調理での扱い方

棒肉は脚の中央の長い部位で、繊維がきめ細かく、しゃぶしゃぶやカニすき、棒寿司など“ほどける食感”を楽しむ料理に向きます。肩肉(付け根側)は旨味が濃く、ほぐしてカニクリームコロッケやグラタン、カニ飯の出汁取りなどに重宝します。

【殻を外して美しく取り出す手順(棒肉・爪・爪下)】
棒肉のやり方:関節の節目に沿って軽くひねり、関節を外してから、キッチンばさみで殻の両側面に縦の切れ込みを入れ、甲羅側へ開いて身をスライドさせます。
爪のやり方:爪先の先端を折り、可動側の小指(可動指)を外して隙間を作り、殻割り器で殻を軽く割ってから引き抜きます。
爪下のやり方:関節を外してから、外側の殻に縦の切れ込みを入れ、左右に開いて身を傷つけないよう指で押し出します。

筆者の実食メモ:通販の生冷凍ズワイの脚を食べ比べると、棒肉は低温の短時間加熱で甘みが際立ち、爪下はやや強めに火を入れても弾力と旨味が保たれやすいと感じます。爪は天ぷらにすると香りが立ち、塩だけで満足度が高いでしょう。

まとめ

  • 一般的なカニの脚は5対10本で、第1脚が鉗脚、他は歩脚という構成が基本です(脚は7節構造)。
  • タラバガニはヤドカリ類で、第5脚が隠れて8本に見えますが本来は10本です。
  • 遊泳脚やへら状の脚など、生活様式に応じた形態進化が見た目と動きの違いを生みます。
  • 食べる視点では、爪・爪下・棒肉・肩肉で食感と用途が異なり、部位に合ったさばき方と加熱で満足度が上がります。

カニの脚の構造と部位の特徴を知ることは、購入時の選び分けや最適な調理の選択に直結します。次にカニを選ぶ際は、食べたい料理に合わせて「脚のどの部位を中心にするか」を意識してみるのがおすすめです。

参考