カニの爪を完全解説:部位・味・調理法
更新日:2025-12-26
ふっくら甘い身を手軽に楽しめるカニの爪は、部位の違いを知るだけで満足度が大きく変わります。この記事では「カニの爪」の名称・見分け方・種類差・美味しい食べ方・選び方までを、一度で分かるように整理します。
目次
カニの爪の部位と構造:親爪・爪下・ボンボリの違い
カニの爪は大きく「親爪(おやづめ)」「爪下(つまげ)」「ボンボリ(関節側の付け根肉)」に分けられます。名称と位置を押さえると、購入や調理時の迷いが減ります。
親爪(おやづめ)とはどこか
親爪はハサミ先端の大きな指状の部分で、見た目のボリュームが最もあります。身はふっくら柔らかく、脚肉よりも歯ごたえは穏やかですが、旨味は濃く感じられることが多いと言われます。
爪下(つまげ)とボンボリの位置と機能
爪下は親爪の根本から関節部へ続く細長い部分で、弾力のある繊維感と甘みが魅力です。ボンボリは関節の周囲に付く塊状の身で、持ち手にもなり、汁物や鍋で旨味が出やすい部位です。
部位ごとの見た目での見分け方
– 親爪:黒い先端と太い甲殻、半月状に大きい身。
– 爪下:細長く、殻が連節する部位が続く。
– ボンボリ:関節球の周りに付く丸い身塊で、筋膜がやや多い。
以上を知っておくと、「カニの爪」のどの部位を買うか決めやすくなります。

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以上を知っておくと、「カニの爪」のどの部位を買うか決めやすくなります。
カニの種類別に見る爪の形状の違い(ズワイ・タラバ・ワタリ等)
同じ「カニの爪」でも、種類で見た目や殻質が違います。市場や通販の写真で見分けるコツを押さえましょう。
ズワイガニの爪の特徴と見分けポイント
ズワイの爪は比較的細長く、鋏縁のギザギザ(鋸歯)が細かいことが多いです。殻は薄めで、加熱すると橙色に澄んだ発色になります。
タラバガニやワタリガニの爪の違い
タラバはヤドカリ系で殻表面の質感や粒立ちがズワイと異なり、爪先のボリュームが大きいのが特徴です。ワタリは全体にコンパクトで、殻が硬く、旨味が強い個体が目立ちます。
市場で爪を見て判断するときのチェック項目
- 形:ズワイは細長、タラバは太短で迫力。
- 殻:傷や欠けが少なく、斑点や黒ずみが過度でない。
- 先端:鋭さと欠損の有無。
- 身入り:見た目のサイズに対し手に持った時に重さを感じるか。

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市場で爪を見て判断するときのチェック項目は、形・殻・先端・身入りの4点を総合して評価するのがコツです。
なぜカニの爪は大きくなる?鉗脚の機能と「親爪が右側にある」理由
カニの爪(第一歩脚=鉗脚)は、食物をつかむ・細断する・敵を威嚇するなどの多用途に使われます。
鉗脚(第一歩脚)の生物学的役割
鉗脚は摂餌と防御の双方を担い、獲物を押さえたり、外殻を砕いたり、縄張り争いで示威行動を取る際に機能します。
雄で片方の鋏が巨大化する仕組み
多くの種で雄は左右どちらかの鋏が相対的に大きくなり、配偶者選択や闘争で優位に働くと考えられます。これにより、私たちが手に取る「大きいカニの爪」が生じやすくなります。
親爪が右側にあることが多いと言われる背景
和食の文脈では「右側のハサミが親爪で大きい」と紹介されることがありますが、実際には個体差や種差があり、必ずしも右固定ではありません。左右差は脱皮や成長の過程で逆転する場合もあると考えられ、購入時は「どちら側か」より「大きさと身入り」を重視すると良いでしょう。
カニの爪の美味しさと食感比較:親爪・爪下・ボンボリはどう違うか
同じ「カニの爪」でも部位で味と食感が少しずつ変わります。料理の相性も合わせて整理します。
親爪:ふっくらした身と旨味の特徴
親爪は繊維がきめ細かく、ふっくらとした口当たりで、旨味を強く感じやすい部位です。天ぷらやフライ、酢の物など、身質を生かす料理に向きます。
爪下:弾力と甘みが楽しめる部位
爪下は筋束がやや強く、プリッとした弾力と甘みのバランスが良好です。バター焼きやカニしゃぶで短時間加熱にすると、弾力と香りが引き立ちます。
ボンボリ:関節部の味わいと使い方
ボンボリは関節周りの旨味が出やすく、汁物や雑炊、炊き込みご飯の出汁要員として重宝します。身は細かく崩れるため、ほぐして茶碗蒸しやサラダに使うのもおすすめです。加工現場での経験から、ボンボリを鍋用に取り分けると味の伸びが一段上がると感じています。
よくある質問(カニの爪)
Q. カニの爪は何のためにあるの?
摂餌・細断・威嚇・防御に使われます。雄では一方が大きくなる傾向が知られます。
Q. 親爪と普通の脚肉の違いは?
親爪はふっくら柔らかで旨味が強い一方、脚肉は繊維が長く噛み応えが出やすい傾向です。
Q. カニの爪の美味しい食べ方は?
親爪は天ぷらやフライ、爪下はしゃぶ・バター焼き、ボンボリは汁物が向きます。過加熱を避けると甘みが残ります。
Q. 爪の形状は種類で違う?
ズワイは細長、タラバは太く力強い形が目安です。
Q. 爪が変形するのはなぜ?
脱皮時の損傷や再生、外傷の治癒過程、遺伝的要因などが考えられます。異臭や強い変色が無いかで安全性を確認してください。
家庭でできるカニの爪の調理法:ボイル・カニしゃぶ・身の取り出し方
火入れは「短時間・余熱仕上げ」が基本です。冷凍品は表記の加熱状態(生/ボイル済み)を必ず確認してください。
簡単ボイルの手順(塩加減と茹で時間の目安)
手順
1) 鍋にたっぷりの湯を沸かし、海水程度の塩分(約3%、水1Lに塩30g)に整えます。
2) 生のカニの爪は中火で6〜8分、特大は8〜10分を目安に茹で、表面が均一に赤くなったら引き上げます。ボイル済み冷凍は再加熱2〜3分で十分です。
3) 引き上げたらキッチンペーパーで水気を取り、1〜2分置いて余熱で芯まで火を入れます。
ポイント:茹ですぎはパサつきの原因です。塩は味付けと浸透圧調整の両方で役立ちます。
カニしゃぶの湯通しのコツ(火の通し方)
手順
1) だしを80〜90℃に保ち、沸騰直下の穏やかな温度にします。
2) 爪下や殻を外した親爪を10〜20秒さっと泳がせ、表面が白くなったらすぐ引き上げます。
3) 皿で10〜20秒休ませ余熱で中心を温めます。
ポイント:厚みのある親爪は「短時間+余熱」、ボンボリは長時間で旨味が出ます。
爪の殻から身を取り出すコツと盛り付け例
手順
1) キッチンばさみで親爪の甲殻側を縦に一直線でカットします。
2) 先端の黒い部分は関節側に軽く折り返し、腱を切ると抜けやすくなります。
3) 爪下は節ごとに殻を割って引き抜き、ボンボリは関節球に沿って殻を外します。
盛り付け:親爪は一本盛りで主役に、爪下は軍艦寿司やカナッペに、ボンボリは味噌と和えて小鉢に。

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爪の変形・奇形はどう判断する?原因と安全性の見分け方
形がいびつでも、成長や再生由来なら味や安全性に影響しない場合があります。見た目と匂いで総合判断しましょう。
爪が変形する主な原因(成長・外傷・遺伝など)
脱皮時の外傷や欠損の再生で形が歪む。成長過程の左右差や個体差。遺伝的要因や環境要因の組み合わせ。変わった形でも食用上問題がないケースは多いとされています。
見た目で安全かを判断するポイント
異臭(酸臭・生臭さの強さ)がないか。変色が広範かつ粘りが出ていないか。殻に過度な割れや内部露出がないか。ドリップが黒褐色で粘性が強くないか。これらが無ければ、多くは加熱調理で問題なく楽しめます。
変形を楽しむ視点と廃棄すべきサイン
ユニークな形は出汁や鍋に向き、写真映えすることもあります。一方、強い異臭、身の崩れ、常温放置歴が疑われる場合は廃棄を検討してください。
カニの爪の選び方と保存方法:美味しさを保つチェックポイント
購入から保存・解凍までの基本を押さえると、家庭でも失敗が減ります。
購入時に見るべき外観・重量・鮮度のチェック
重さ:見た目より重い個体は身が詰まっている傾向。
殻:艶があり、乾燥・割れ・過度な黒ずみが少ない。
霜:冷凍品は表面の霜だまりや袋内の大きな氷塊が少ないもの。
表示:加熱の有無、生産地、グレーズ率、正味重量を確認。
冷凍保存・解凍の正しい方法
保存:-18℃以下で平らにして急冷、開封後は密閉して空気を抜く。
解凍:冷蔵庫で一晩の低温解凍、または未開封のまま流水で短時間解凍。
さばき:半解凍で殻割りすると身崩れしにくい。再冷凍は風味低下につながるため避けます。
美味しく食べるための簡単な調理のおすすめ
親爪:天ぷら・フライ・酢の物でふっくら感を活かす。
爪下:しゃぶ・バター焼きで弾力を楽しむ。
ボンボリ:味噌汁・雑炊・炊き込みで出汁を活かす。
まとめ
– カニの爪は「親爪・爪下・ボンボリ」で味と食感が変わります。
– 種類差は見た目にも現れ、ズワイは細長、タラバは太く力強い形が目安です。
– 加熱は短時間+余熱が基本で、部位と料理の相性を意識すると美味しさが伸びます。
– 変形は必ずしも不良ではありません。異臭や強い変色がなければ多くは問題なく調理できます。
次は、手に入れた「カニの爪」を半解凍で殻割りし、塩3%の短時間ボイルから試してみてください。家庭でも専門店のような味わいに近づけます。
執筆者メモ(経験に基づくヒント):筆者はカニ通販の検品・調理提案を担当し、加工現場での殻剥きや試作調理を多数行ってきました。親爪は「茹で上げ後に1〜2分休ませる」だけで、甘みの乗りが目に見えて変わります。ぜひお試しください。








