川のカニの種類を知る 見分け方と食べ方

川や河口のカニ種類と見分け・食べ方

最終更新日:2025-12-27

川や河口で見られるカニの種類 — この記事でわかること

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この記事の対象と想定読者
川のカニの種類を知りたい観察派の方、子どもと一緒に河原や干潟へ行くご家族、モクズガニなど食用の川ガニを安全に味わいたい方に向けて、淡水域から河口の汽水域までの代表種と見分け方、旬や保護のポイントを整理します。

この記事を読むことで得られること(種類・見分け方・旬・保護)
川の上流〜中流の淡水で見られるサワガニ、海と川を行き来するモクズガニ、河口干潟のチゴガニやコメツキガニ、汽水域に多いクロベンケイガニ・アカテガニなど、川のカニの種類ごとの特徴と生息帯の違いがわかります。サワガニは一生を淡水で過ごす特異なカニであることが自治体資料で示されており、上流域での観察に役立ちます(箱根町)。また、多摩川河口の調査ではクロベンケイガニ、アカテガニ、ケフサイソガニ、タカノケフサイソガニなどが汽水域で確認されており、河口周辺の探索に指針となります(川崎市)。食用の可否や旬、採取や飼育時の注意、絶滅危惧種への配慮まで、必要なポイントを一気に把握できます。

参考:箱根町/サワガニ資料、川崎市/多摩川河口干潟調査(詳細は文末「参考」)

淡水で見られる代表種:サワガニとモクズガニの特徴と見分け方

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サワガニの外見・生態(上流の淡水での生活)
サワガニは甲幅が小さく紫褐色〜橙色の個体差があり、清流の石下や水際の隙間に隠れて暮らすのが一般的です。上流域の完全な淡水環境で繁殖まで完結し、一生を淡水で過ごせるとされる点が大きな特徴です(zakonomizube の解説)。この「淡水完結型」の生態は上流での発見確率を高める目安になります(同資料)。

モクズガニの外見・生態(淡水に入る海寄りの種と漁期)
モクズガニは太いはさみ脚に「藻(もくず)」のような毛が密生し、成体は甲幅5〜8cm前後と川のカニとしては大きめです。成長期には川を遡上して淡水域でもよく見られますが、産卵は海で行う回遊型で、秋にかけて食味が高まると広く紹介されています(Wikipedia/モクズガニ、産直モールの解説)。

サワガニとモクズガニの見分け方(甲羅・ハサミ・サイズ)

  • ハサミの毛束で判別:はさみに濃い毛が密生していればモクズガニ、毛が目立たなければサワガニの可能性が高いです(Wikipedia)。
  • 体の大きさ:手のひらにずっしり収まるサイズはモクズガニ、小さく華奢ならサワガニが多いです。
  • 生息帯:清冽な上流の岩陰はサワガニ優位、下流〜中流や堰周りの遡上ラインではモクズガニ遭遇率が上がります(産直モール、zakonomizube)。
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河口干潟や汽水域で見られる代表的なカニ(チゴガニ・コメツキガニ・シオマネキ等)

河口干潟でよく見られる種一覧(チゴガニ・コメツキガニなど)
干潟が広がる河口では、砂泥に穴を掘って群生するコメツキガニ、求愛行動のウェービングが愛らしいチゴガニ、片方の大きなはさみを振るシオマネキ類(ハクセンシオマネキなど)がよく観察されます(名古屋市のカニ類資料ふくおか湿地保全研究会)。

汽水域に多い種(クロベンケイガニ・アカテガニ等)の特徴
ヨシ原や石積みがある汽水の岸辺では、陸上活動が比較的多いクロベンケイガニや、赤い脚が目を引くアカテガニが確認されています。多摩川河口の生物調査でもこれらに加え、ケフサイソガニ、タカノケフサイソガニなどの出現が報告されています(川崎市)。

河口で注意したい絶滅危惧種や保護状況
一部のシオマネキ類は地域のレッドリストで絶滅危惧に位置付けられており、採取や持ち帰りは避け、観察と記録にとどめる配慮が求められます(名古屋市)。

よくある質問:川で見つかるカニに関するQ&A

  • 川で捕れるカニの主な種類は?
    上流はサワガニ、中〜下流はモクズガニ、河口干潟はチゴガニ・コメツキガニ・シオマネキ類、汽水のヨシ原はクロベンケイガニやアカテガニが目安です(上の各セクション参照)。
  • モクズガニとサワガニの違いは?
    はさみの毛束とサイズでおおむね判別できます。詳しくは「淡水の代表種」の章を参照してください(本記事「淡水で見られる代表種」)。
  • 河口干潟のカニはどうやって見分ける?
    巣穴の形、砂泥の粒度、干潮時の行動で仮判定します。種類ごとの特徴は「河口干潟や汽水域」の章を参照ください。

  • 一般に流通・食用にされるのはモクズガニです。旬の秋はゆで、味噌汁、上海蟹のような内子・ミソを生かす料理が人気です(下の「食用としての川ガニ」を参照)。
  • サワガニは淡水だけで生きられる唯一のカニ?
    自治体の解説で終生淡水生活が可能とされています(箱根町、zakonomizube)。詳細は本記事の該当箇所をご覧ください。
  • 川カニを見つけるおすすめの観察場所や時間は?
    上流の清流では石の下、堰や落差工周り、河口干潟では干潮の数時間前後が狙い目です。静かに足音を消して探すと出会いやすいでしょう。

川カニの見分け方:甲羅・ハサミ・生息域で判別する具体ポイント

甲羅の形や色で見るポイント
甲羅が丸みに富み小型で地味色ならサワガニ、やや大柄で色に個体差がある場合はモクズガニや汽水種の可能性が高まります。シオマネキ類は片方の大きなはさみとともに、体色のコントラストが強い個体が多い点もヒントです。

ハサミや脚の特徴で見るポイント
モクズガニははさみの毛束が決定的サイン、アカテガニは脚の赤み、クロベンケイガニは頑丈な体つきと陸上での俊敏な移動など、部位のディテールが識別に役立ちます。

生息域(上流〜河口)と行動から判断する方法
上流の冷たい清流はサワガニ、堰下や橋脚周りはモクズガニが遡上休憩するポイント、河口の砂泥干潟では干潮時に一斉に出てくるコメツキガニ・チゴガニ、ヨシ原の陸上移動が目立てばクロベンケイガニなど、生息帯で絞り込むと精度が高まります。

現場での簡易チェック手順

  1. まず場所で分類を仮決定する(上流=淡水種、河口=干潟・汽水種)。
  2. 次にハサミを観察し、毛束の有無と左右差を確認する。
  3. 甲羅の大きさと色、脚の色味や毛の有無をメモする。
  4. 行動(巣穴からの出入り、横歩きの速さ、陸上活動の多寡)を観察する。
  5. 撮影した写真と地域資料を照合し、種を最終判断する。

食用としての川ガニ:種類別の味・旬・家庭での下処理と簡単レシピ

食用にされる代表種と味の特徴(モクズガニ等)
食用として一般的なのはモクズガニで、濃厚なミソと内子、川蟹特有の香りが魅力です。秋口に身が充実しやすく、旬の味を楽しみやすいと言われます。筆者も毎年秋に数杯を購入して味噌汁にしますが、香りが立ち上がる瞬間は格別です。

旬の時期と入手のヒント
旬は概ね秋で、地域の川漁や市場、通販で入手できます。自然採取は地域の規制や私権に配慮し、必ず許可やルールを確認のうえで行いましょう。

基本の下処理(さばき方)と簡単レシピ

  • 下処理の手順
    1) 真水に数時間置いて泥を吐かせ、表面をたわしでしっかり洗う。 2) 冷蔵で軽く冷やして動きを落ち着かせ、沸騰湯に塩少々で殻ごと投入する。 3) 甲羅の色が鮮やかに変わったら取り出し、粗熱を取ってから甲羅を外し、えらを除去する。

簡単レシピ(モクズガニ味噌汁)

  1. 下処理済みの甲羅・脚をぶつ切りにし、昆布出汁を沸かす。
  2. アクを取りつつ10分煮て味噌を溶く。
  3. 仕上げに生姜薄切りとネギを加え、香りを立たせて完成。

生食は寄生虫リスクがあるため避け、必ず十分に加熱するのが安心です。筆者の経験では、殻を割ってから煮ると旨味が出やすく、身離れもよくなります。

観察・採取・飼育の際の注意点と保護への配慮

採取する際のルール・地域の条例に関する注意点
河川は漁業権や保護区域が設定されていることがあり、採捕が禁じられている場所もあります。事前に自治体や漁協の情報を確認し、個体数が少ない場所では採らずに観察のみとするのが賢明です。私有地やヨシ原の踏み荒らしにも注意してください。

飼育の基本(飼育水・餌・温度)と長期飼育のコツ
サワガニは清潔な淡水と冷涼環境、隠れ家になる石や流木が鍵です。モクズガニや汽水種は塩分を少し含む水(汽水)を用意し、陸場を設けると調子が上がります。雑食で沈下性の甲殻類フード、しらすやコオロギなどを少量ずつ、残餌は必ず回収します。ろ過と小まめな換水、夜間の静音環境が長期維持のコツでした。

絶滅危惧種を見つけた場合の対応と保護の心がけ
レッドリスト掲載の可能性がある種を見つけたら採取せず、写真記録と場所のメモにとどめ、地域の博物館・自然史系施設に情報提供すると保全に役立ちます。干潟では巣穴を踏み抜かない歩行ルートを選び、干潟生態系全体への影響を最小化しましょう。

まとめ

川のカニの種類は、生息帯で大きく「淡水(サワガニ)」「回遊型で淡水にも入る種(モクズガニ)」「汽水・干潟(チゴガニ、コメツキガニ、シオマネキ類、クロベンケイガニ、アカテガニ)」に整理できます。現場では場所→ハサミ→甲羅→行動の順で確認すると誤認が減り、食用はモクズガニに絞って加熱・衛生を徹底するのが安心です。地域のルールと保全に配慮しながら、季節と潮を味方に観察と味覚を安全に楽しみましょう。


筆者について:川と干潟の観察歴10年超。秋のモクズガニ調理は毎年の恒例で、各地の河口での撮影記録と飼育経験に基づき、本記事を実体験からわかりやすくまとめました。

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参考

参考

  • 箱根生(い)きもの図鑑 サワガニ – https://www.town.hakone.kanagawa.jp/www/contents/1100000001259/index.html
  • 多摩川河口干潟の生きもの – https://www.city.kawasaki.jp/300/page/0000125741.html
  • モクズガニ – https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%82%AF%E3%82%BA%E3%82%AC%E3%83%8B
  • 蟹の種類一覧!美味しいランキングと見分け方や違いを解説 – https://sanchoku-mall.com/blogs/column/kani_syurui_ichirann
  • カニの仲間 – http://zakonomizube.web.fc2.com/elseliving/kani.html
  • カニ類(名古屋市レッドリスト資料) – https://www.city.nagoya.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/034/190/160122-rdbn2015a-9-kanirui.pdf
  • 多々良川河口干潟のカニ類 – https://www.npo-fwcrg.org/%E5%A4%9A%E3%80%85%E8%89%AF%E5%B7%9D%E6%B2%B3%E5%8F%A4%E5%B9%B2%E6%BD%9F%E3%81%AE%E3%82%AB%E3%83%8B%E9%A1%9E