香箱蟹の茹で方とさばき方 完全ガイド
最終更新日: 2025-12-29
香箱蟹の身と内子・外子・味噌をきれいに引き出すには、茹でからさばき方までの一連の手順に小さなコツがあります。水っぽくならず、香りと食感を最大化する「香箱 蟹 さばき 方」を、プロの現場で実践している工程に沿ってやさしく解説します。
目次
香箱蟹(せこがに)とは?旬と特徴を押さえる
香箱蟹はズワイガニの雌で、地域によって「せこがに」「せいこがに」「親がに」などとも呼ばれます。小ぶりながら、甲羅の味噌と濃厚な内子、プチプチとした外子が大きな魅力です。
香箱蟹の呼び名と特徴(雌の小ぶりなズワイガニ)
- 体は小型で、脚も細く短いため、身はきめ細かく上品な甘みが特徴です。
- 甲羅の内側にオレンジ色の内子(未成熟卵)、腹側の前かけ(ふんどし)に外子(成熟卵)がびっしり付く個体が良品とされます。
- 料理では「甲羅盛り」や丼、軍艦など、内子・外子・味噌を合わせる食べ方が人気です。
旬の時期と入手時の見分け方
- 雌は資源保護のため漁期が短く、一般に晩秋〜真冬(概ね11〜12月中心)に出回ります。締まりがよい時期ほど内子・外子の風味が際立ちます。
- 見分け方の目安は「甲羅にハリがある」「持つと重い(身入り・子の充実)」「外子がぎっしり」「前かけがしっかり閉じている」です。においが弱く、甲羅表面のぬめりや傷が少ないものを選ぶと失敗が少ないでしょう。
正しい茹で方・さばき方は、外子を水っぽくさせず、内子・味噌の香りを生かすために重要です。

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失敗しない香箱蟹の茹で方:塩加減・茹で時間と冷却のコツ
海水程度(約3%)の塩分で、再沸騰のタイミングから時間を計るのが基本です。氷水の使い方次第で、外子の食感が大きく変わります。haneya.jpやtabepro.jpでも、塩を入れた沸騰湯で15〜20分茹で、アクを取り、上がったら氷水で脚を冷やすと外子が水っぽくならないと紹介されています(参考: かにの簡単な剥き方|haneya.jp、石川の冬の味覚|tabepro.jp)。
沸騰させた湯に入れるタイミングと塩の目安
- 大きめの鍋にたっぷりの湯を沸かし、塩は約3%(目安: 水1Lあたり食塩30g)。
- 甲羅を軽く洗い、汚れを落としてから、沸騰がしっかり立ったタイミングで甲羅側を下にしてそっと入れます。
- 一度温度が下がるので、強火で再沸騰させてから時間を計り始めます。
茹で時間(目安)とアク取り、茹で上がり後の氷水での冷却理由
- 茹で時間の目安は15〜20分。小ぶりな香箱蟹は過加熱で身が締まりすぎるため、再沸騰後15分から様子を見て、最大でも20分程度に留めます(参考: haneya.jp/tabepro.jp)。
- 茹でている間は浮いてくるアクを丁寧にすくい、沸騰は常に穏やかなローリングボイルを維持します。
- 上がったら「脚先を中心に氷水でキュッと冷やす」のがコツ。外子の表面が締まって水っぽさが出にくくなります。長時間の浸漬は避け、冷やしたらすぐ水気を切って粗熱を取ってください(参考: haneya.jp/tabepro.jp)。

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茹でた香箱蟹の下処理:前かけ(ふんどし)の安全な外し方と甲羅の開け方
かに本舗の動画解説でも、前かけ→脚→甲羅→内子・味噌→えら除去→胴割り→盛り付けの順が示されています(参考: せこがにのさばき方・香箱盛り|かに本舗)。
前かけ(ふんどし)の掴み方と外す方向
- 蟹を腹側に向け、前かけの先端(尖った縁)に親指をかけます。
- 先端を持ち上げ、甲羅側へ倒すように起こすと、テコの要領で安全に外れます。
- 外子が付いている場合は、ちぎれないよう前かけを受け皿の上で外し、外子は後で盛り付けに使えるよう取っておきます。
甲羅を割らずに開けるコツ(手順・力のかけ方)
- 蟹を甲羅側を上にして持ち、胴と甲羅の隙間に親指を入れ、甲羅を後方へそっと開きます。
- 力を一点にかけず、甲羅の縁全体に均等に力をかけると割れにくく、味噌や内子もこぼれにくいです。
- 甲羅内の味噌・内子は流出しないよう、ボウルやまな板を下に敷いて作業すると安心です。
足の切り方と身のほぐし方:箸・爪楊枝・麺棒を使った取り出し術
銀座渡利の解説でも、細脚は細い側から押し出し、胴は足側から箸を入れてほぐし、麺棒で押し出す方法が有効とされています(参考: 本当は教えたくない香箱蟹の食べ方|ginzawatari.jp)。
足は関節から折って外す手順
- 付け根の関節で脚をひとつずつ外します。無理に引きちぎらず、関節を「折る→ひねる→抜く」の順で行うと殻割れが少なく、身崩れを防げます。
- 脚先は細いほど中身が出にくいので、先端を少し切り落として通り道を作っておくと後工程が楽です。
箸や爪楊枝で身を押し出す方法と麺棒での押し出し方
- 細脚:先端側から爪楊枝や細い箸を差し込み、付け根方向へやさしく押し出します。
- 中脚:殻にハサミで縦に浅く一本切れ目を入れ、麺棒を転がして身をスルッと押し出します。
- 爪:関節で二つ割りにしてから、スプーンでかき出すと歩留まりが上がります。
- 胴:半割にして、脚の付け根側から格子状の筋に沿って箸を入れると、繊維を壊さずにふんわり取れます。
甲羅の内側から内子・外子・味噌を取り出す手順と美味しい食べ方
内子・外子・味噌は「見分ける→順に分ける→用途で合わせる」の三段構えがコツです。
内子と外子の見分け方とそれぞれの魅力
- 内子:甲羅内側にあるオレンジ色〜赤橙の粒〜ペースト状。濃厚でコクが深く、味噌との相性が抜群です。
- 外子:前かけに付くツブツブの卵。茹で上がりは赤橙でプチプチの食感が命。酢の物や軍艦、甲羅盛りのアクセントに最適です。
- 味噌:甲羅内の緑褐色ペースト。内子と合わせて旨味を底上げし、香箱らしい香りを作ります。
甲羅内の取り出し順と盛り付けでの活用例
- 取り出し順の目安
- 甲羅を開ける
- えら・胃袋を外す(詳細は次章)
- 味噌と内子を甲羅にまとめる
- 前かけの外子をそっと外して別皿に待機
- 盛り付け例
- 甲羅盛り:甲羅奥に味噌+内子、手前に外子、上に足身をこんもり。柑橘を添えて香りを締めるのがおすすめです。
- 軍艦/丼:温かい酢飯に身→味噌+内子→外子の順で重ねると、香りと食感が層になって満足度が高まります。
よくある質問(FAQ)
- 香箱蟹の茹で時間はどれくらい?
再沸騰後15〜20分が目安です。小ぶりが多いので長茹では避け、15分で一度色づきと香りを確認し、最大でも20分に留めると水っぽさを防げます(参考: haneya.jp/tabepro.jp)。 - 香箱蟹の足の身はどうやって取る?
先端側から爪楊枝や細い箸で押し出す方法、殻に一本切れ目を入れて麺棒で転がす方法が歩留まり良好です(参考: ginzawatari.jp)。 - 内子と外子の違いは?
内子は甲羅内の卵で濃厚な旨味、外子は前かけ側の卵でプチプチの食感が魅力です。用途に応じて別々に扱うと持ち味が活きます。 - 香箱蟹は何分茹でる?
目安は15〜20分。再沸騰から計り、上がったら脚を氷水で冷やして外子を締めるのがコツです(参考: haneya.jp/tabepro.jp)。 - 香箱蟹のえらは食べられる?
えら(灰色のスポンジ状組織)や胃袋は食べません。苦味や砂を含むため、必ず除去してください。
見栄えよく美味しく見せる盛り付けと水っぽくならない工夫
「色のコントラスト」「高低差」「余白」を意識すると、家庭でも料亭のような一皿になります。外子と身を水っぽくしない小技もポイントです。
甲羅盛りや皿盛りの実例と手順
- 甲羅盛り
- 甲羅奥に味噌+内子を敷く
- 手前に外子を帯状にのせる
- 足身を山高に盛り、柚子皮や木の芽で彩り
- 皿盛り
- 平皿に身、甲羅に味噌+内子、小鉢に外子を分ける三点盛りは、食べ比べができて好評です。
- ポン酢は別添えにし、食べる直前に少量だけ。かけすぎは水分過多の原因になります。
氷水冷却や水分を減らす盛り付けの工夫
- 冷却は「脚を中心に短時間」。全体を長く浸けると水っぽくなるため避けます(参考: haneya.jp/tabepro.jp)。
- 上げた後は金網やバットの上で余熱と水分を飛ばし、盛り付け直前にキッチンペーパーで軽く押さえます。
- 保存は当日中が基本。やむを得ず翌日に持ち越す場合、外子は別容器、身はペーパーを敷いた密閉容器で0〜4℃、味噌は酸化防止にラップ密着で保管すると劣化を抑えられます。
実践まとめ:香箱蟹の茹でからさばき方までの要点と次の一手
香箱蟹を美味しく仕上げる肝は「塩分3%・再沸騰後15〜20分・脚の氷水冷却・確実な下処理・水分コントロール」です。
手順の要点チェックリスト(茹で時間・冷却・甲羅開け・内子の取り出し)
- 塩分は海水程度(約3%)、再沸騰から15〜20分で茹で上げ
- アクはこまめにすくい、茹で上げ後は脚を中心に短時間の氷水で締める
- 前かけを外し、脚を関節で外してから甲羅をやさしく開ける
- えら・胃袋を確実に除去し、味噌+内子→外子→身の順で整える
- 盛り付け前に水気を軽く押さえ、ポン酢は別添えで直前に
おすすめの食べ方と保存・応用レシピへの案内
- まずは甲羅盛りで三位一体の旨味を。次に軍艦や小丼で外子の食感を楽しむのがおすすめです。
- 当日中に食べきるのが理想。翌日へ持ち越す場合は部位ごとに分けて低温保存し、温かい酢飯や茶碗蒸し、味噌汁の追い蟹などへ応用すると風味を保ちやすいでしょう。

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参考
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執筆・監修: kani-tu.com コンテンツチーム
香箱蟹の選別・下処理・甲羅盛り提供を複数シーズン現場で経験。プロの手順を家庭向けに再現しやすい形で検証・解説しています。








