蟹で食べてはいけない部分と安全処理
最終更新日:2025-12-30
筆者について:カニ通販の取材・試食を継続し、加工場の下処理現場や飲食店の仕込みに同席して学んだ知見、家庭での解体・調理経験にもとづき解説します。
目次
なぜカニの一部は食べてはいけないのか(食中毒リスクの概要)
カニは可食部が多い一方で、雑菌が集まりやすい部位や、消化器官にあたる部分があります。とくにエラ(通称ガニ)は海水の不純物や雑菌が溜まりやすく、腐敗も進みやすいとされ、食中毒リスクの観点から除去が基本です。加えて、腸や胃袋などの内臓は老廃物を含むため、食用には向きません。
カニの内臓に雑菌が溜まりやすい仕組み
カニは外鰓で海水を濾し取りながら呼吸しており、エラ周辺に海水由来の雑菌や砂、汚れが付着しやすい構造です。放置すると腐敗臭の原因にもなり、可食部の風味も損ねます。
生食や不十分な加熱が危険な理由
海産物では腸炎ビブリオなどの細菌が問題となり、十分な加熱が予防に有効とされています。中心温度75℃で1分以上を目安にしっかり加熱することが推奨され、死後時間が経った個体の生食や不十分な火入れは避けるべきです。一般向け情報でも「生食や死後調理のカニは厳禁、しっかり加熱」との注意が見られます。

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食べてはいけない4つの部位と見分け方:エラ・腸(黒い線)・胃袋・心臓
食べてはいけない部位は、見た目の特徴と位置を知れば必ず見分けられます。下処理の前に位置を把握しておきましょう。
エラ(ガニ)の形状と見つけ方
甲羅の内側左右に並ぶ、薄い三日月形のひだ状の部位がエラです。ビラビラした灰白色〜やや茶褐色の見た目で、触ると柔らかく水分を含みます。ここは必ず取り除きます。
腸(黒い線)はどこにあるか
脚や肩肉の身から味噌側へ伸びる、細い黒い糸状の線が腸です。砂や老廃物を含むことがあるため、身をほぐす際に目視で探し、摘み取るのが基本です。
胃袋の位置と見た目
口器の奥、甲羅の内側前方中央にある硬い袋状の器官が胃袋(砂嚢)です。半透明〜白濁色の硬い袋で、内部に砂粒状の内容物を含みます。甲羅を外したら、口の裏側から袋ごと除去します。
心臓の場所と確認方法
甲羅の内側中央やや後方の小さな塊が心臓です。灰白色〜薄いピンク色の小片で、可食に適しません。甲羅側の内臓を掃除する際に、味噌と区別しながら取り除きます。

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エラ(ガニ)はどうして食べてはいけないのか・具体的な取り除き方
エラは海水を濾過する過程で雑菌や不純物が付着しやすく、腐敗も早い部位です。うま味はほぼなく、衛生面と風味の両面で除去が推奨されます。
エラに集まりやすい雑菌・腐敗の解説
呼吸器官に相当するため水通りがよく、表面積も大きいエラは、海水に含まれる微生物や汚れを保持しやすい構造です。加熱で殺菌できても、腐敗が進んだ個体では異臭や苦味が身に移ることがあり、品質面でもリスクが高いと考えられます。
エラの取り外し手順(手順とコツ)
- 甲羅を開け、内臓(味噌)を傷つけないよう周囲を観察します。
- エラは左右に複数枚あります。根元をつまみ、外側へ折り返すように引くとまとまって外れます。
- 取り残しを防ぐため、付け根に白い薄膜が残っていないかを指でなぞって確認します。
- 作業後は流水で甲羅内側と肩肉の断面を軽く洗い、汚れを落とします。
取り除いた後の廃棄・洗浄方法
取り外したエラは密閉して可燃ごみに捨てます。作業器具と作業台は洗剤で洗い、熱湯やアルコールで二次汚染を防ぎます。生食材と加熱済みの可食部は調理器具を分けると安心です。
腸(黒い線)・胃袋・心臓の安全な取り除き方(実践手順)
見落としがちな黒い線(腸)と、甲羅側の胃袋・心臓を確実に外す手順を示します。
腸(黒い線)の見つけ方と抜き方
- 肩肉や脚の身を割ったら、身の間に黒〜濃茶の細い線が無いかを確認します。
- 先端をつまむとスッと抜けます。身に絡む場合は竹串でほぐし、紙タオルで回収します。
- 腸を抜いた痕は軽く流水で洗い、しっかり水気を切ります(出し汁に使う場合は風味を逃さぬ程度に)。
胃袋の外し方(口の内側からの処理)
甲羅前方の口器の裏にある硬い袋を指先でつまみ、根元から外します。途中で破れたら、残りをスプーンで優しく掻き取り、砂粒や硬片を残さないようにします。甲羅内面をさっと洗い、味噌と水っぽい水分を分けると臭みを抑えられます。
心臓の確認と安全な除去方法
甲羅中央やや後方の小さな塊を視認し、味噌と色や質感で区別します。指かピンセットで摘除し、甲羅側の溝に残片が無いかを確認します。取り除いた後はキッチンペーパーで水分を拭い、風味の劣化を防ぎます。
カニの洗浄と加熱方法:安全に食べるための具体的手順
下処理と加熱の精度が、食中毒予防とおいしさの決め手です。「生は避け、しっかり加熱」が基本方針です。
流水での洗い方とブラッシングのポイント
甲羅表面や脚の関節、爪の溝をたわしでこすり、砂や汚れを落とします。甲羅内側は強い流水で流し、細かな欠片や血合いを除去します。洗った後はよく水を切り、余分な水分を拭き取ってから加熱に移ります。
茹で時間・蒸し時間の目安(種類別)
- ズワイガニ(中型・生):沸騰湯で12〜15分、蒸し15〜18分が目安。
- タラバガニ(大型・生):沸騰湯で15〜20分、蒸し20分前後が目安。
- ボイル冷凍:再加熱は過加熱を避け、沸騰湯で3〜5分、蒸し5〜7分。
いずれも中心温度75℃・1分以上を目安に、加熱後は余熱を活かして旨味を保ちます。
生食や中途半端な加熱がもたらす危険性
腸炎ビブリオなどの細菌は低温で増えやすく、表面が熱くても中心が生だと不活化が不十分なことがあります。低温解凍の長時間放置を避け、室温放置せず、加熱は短時間で一気に仕上げるのが安全です。
柿やお茶など、カニと避けるべき食べ合わせとその理由
伝承的に「カニと柿」「カニと濃いお茶」は良くないと言われます。科学的に一律の禁止とは言い切れませんが、消化という観点から注意点があります。
柿とカニを一緒に食べると何が起きるか(リスクの解説)
渋柿に多いタンニンは収斂作用があり、冷たいカニ料理と合わせると、胃腸が敏感な方では胃もたれや下痢を誘発することがあります。体質や食べる量により個人差があるため、満腹時の大量摂取は控えるのが無難です。
お茶やその他の組み合わせで注意する点
濃い緑茶のタンニンは一部の栄養吸収を妨げることがあり、食後すぐ大量に飲むと消化不良感につながる場合があります。温かい白湯や薄めのお茶を適量にし、アルコールは過剰摂取を避けると胃腸への負担が軽減できます。
カニの安全に関するよくある疑問と簡潔な回答(FAQ)
よくある疑問の一覧
- カニのエラは本当に食べられないの?
- カニの胃袋はどうやって取る?
- カニを食べた後に柿はダメ?
- カニの生食はなぜ危険?
- カニのどの部分が一番汚い?
それぞれの根拠と注意点
- エラは本当に食べないの?
はい。雑菌や汚れが溜まりやすく、風味を損ねるため除去が推奨されます。 - 胃袋の外し方は?
甲羅前方の口器の裏にある硬い袋をつまみ、根元から外します。破れた場合はスプーンで残りを掻き出します。 - 食後の柿はダメ?
一律にダメとは断定できませんが、渋柿や大量摂取は胃腸負担になり得ます。体調に合わせて控えめにしましょう。 - 生食が危険な理由は?
海産物由来の細菌リスクがあり、中心までの十分加熱が推奨されるためです。 - いちばん汚れやすい部分は?
エラ(ガニ)です。三日月形のひだで必ず取り除きます。
家庭でできる安全チェックリスト:カニを安心して食べ切るために
購入時の確認ポイント
- 原料表示(生/ボイル)、原産地、加工日や賞味期限を確認します。
- 異臭や黒変がないか、殻の破損が大きくないかをチェックします。
- 冷凍品は温度帯管理が適切な店舗を選びます。
調理前の必須チェック(内臓の除去・洗浄)
- 甲羅を外し、エラを左右とも全量除去する。
- 甲羅前方の胃袋、中央後方の心臓を取り除く。
- 身に残る黒い線(腸)を見つけて抜く。
- 甲羅内と関節周りを流水とブラシで洗う。
加熱後の確認と保存のコツ
- 中心までしっかり加熱され、濁ったドリップが出ていないか確認。
- 室温放置は避け、余った分は急冷して冷蔵2日以内、長期なら再冷凍は避けて身を外し急速冷凍。
- 加熱済みと生の調理器具は分け、作業後は洗剤洗浄と熱湯消毒で二次汚染を防ぐ。
まとめ
– 蟹で食べてはいけない部分は、エラ(ガニ)、腸(黒い線)、胃袋、心臓の4点です。見た目と位置を覚えれば確実に外せます。
– 食中毒予防の基本は「生を避け、中心まで十分加熱」と「下処理と衛生管理」です。
– 柿や濃いお茶は体質や量により胃腸負担となる場合があるため、食べ合わせは控えめを意識すると安心でしょう。
– 今日のポイントをチェックリスト化して、家庭でも再現性高く安全においしいカニを楽しみましょう。








