ヤドカリとカニの違い|見分け方早わかり
目次
ヤドカリとカニ、見分けられますか?この記事で得られること
海辺で見かけた小さな甲殻類が「ヤドカリかカニか分からない」、通販で「タラバガニは本当にカニなの?」と迷った経験はありませんか。ヤドカリとカニの違いは分類学から外見・動き・食用の扱いまで幅広く、要点を知れば数秒で見分けられるようになります。なお、生物学的にはカニは真正カニ(短尾下目:Brachyura)、ヤドカリは異尾下目(Anomura)に属し、同じ十脚目でも別グループです(出典:千葉県立中央博物館「ヤドカリの世界」)https://www.chiba-muse.or.jp/umihaku/kikaku/14marisai/yadokarida.htm)。本記事では、分類の違いと実地で役立つチェック手順、そしてタラバガニやハナサキガニといった“カニに見えるヤドカリ類”の扱いまで、迷いどころを一気に整理します。
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よくある疑問とこの記事の回答イメージ
- 見た目だけでヤドカリとカニを素早く見分けたい → 甲羅・腹部・脚の見え方・動きで数秒判定
- 分類学上の違いを知りたい → 真正カニ(短尾下目)と異尾下目の違いを基礎から整理
- タラバガニはカニなのか → ヤドカリの仲間(異尾下目)だが、食用として“カニ”と呼ばれて流通
- 海辺で確実に見分けたい → 写真の撮り方とチェック順序を解説
この記事の使い方(海辺でのチェックリスト)
- 甲羅は硬く平たく、腹部は隠れているか(カニ)/柔らかくねじれて殻に入っていないか(ヤドカリ)
- 見える脚は何本か(カニは10本がはっきり、ヤドカリは外から8本に見えがち)
- 歩き方は横歩き主体(カニ)/前進主体で殻を引きずる・宿替え行動(ヤドカリ)
- タラバガニ系は“カニに見えるヤドカリ類”という前提で脚や腹面も確認

生物学的に見る:ヤドカリとカニはどのように分類が違うのか
ヤドカリとカニの「違い」を最も確実に説明するのは分類学上の位置づけです。両者とも甲殻綱・十脚目ですが、下位分類が異なり、進化の系統も分かれています。
真正カニ(Brachyura)の特徴
- 短尾下目(通称“真正カニ”)に属し、腹部(いわゆる尻尾)は短く折りたたまれて胸部の下に隠れます。
- 甲羅(背甲)が横に広く堅牢で、第一脚が大きなはさみ、残りの歩脚がよく発達します。
- 多くの種が横歩きに適した関節構造を持ち、砂泥底や岩礁など多様な環境に適応しています。
ヤドカリ類(異尾下目)の特徴
- 異尾下目(Anomura)に属し、腹部が柔らかく非対称にねじれている種が多く、貝殻などを“宿”として利用します。
- 後方の脚が小型化し、外から見えにくい(殻の内側で貝殻をつかむなど)機能分化が起きています。
- 歩き方は前進主体で、宿替え(より適した貝殻への乗り換え)など独特の生活史を示します。
タラバガニなど“カニに見える”種の系統的な位置づけ
タラバガニやハナサキガニはヤドカリ類(異尾下目)のタラバガニ科に属する仲間です。外見がカニに収斂しているため“カニ”と呼ばれますが、系統的には真正カニではありません。末端の脚の一部が縮小して体の下に隠れ、外見上は長い脚が8本に見えやすいことなど、異尾下目の特徴が残ります。
(分類上の基本線は千葉県立中央博物館の説明と整合的です)
外見で比較する:甲羅、腹部、はさみ、脚の違いを写真で把握する
甲羅の形状と硬さの見分け方
- 真正カニは横幅が広い堅い甲羅を持ち、前縁のトゲや額の形が種類ごとの違いとして現れます。
- ヤドカリ類は前半身の甲(頭胸部)は硬いものの、後半の腹部は柔らかく、殻から出すと露わになります。
腹部の構造(ねじれ・柔らかさ)の確認ポイント
- 真正カニの腹部は折りたたまれて腹面に密着し、外からはほとんど目立ちません。
- ヤドカリは腹部が柔らかくねじれており、貝殻に沿う形で収まります。宿から半分出ている個体だと一目瞭然です。
脚の本数と見え方(隠れて見えにくい第五脚)
- どちらも十脚目なので脚は“5対=10本”ですが、ヤドカリ類では後方の脚が退化し殻の内側で働くため、外からは8本に見えることが多いです。
- 真正カニは第一脚のはさみ+4対の歩脚がよく発達し、外から10本が確認しやすいです。
はさみの形状と左右差、機能の違い
- 真正カニは左右で大きさや形が異なる場合があり、捕食・防御など機能分化が見られます。
- ヤドカリ類も左右差が顕著な種が多く、特に片方が大きく発達して貝殻の入口をフタのように塞ぐ役目を持つ場合があります。
体節と胸脚の役割の違い
- 真正カニはすべての歩脚が移動や掘削に活躍します。
- ヤドカリ類は後方の小型脚が貝殻固定に特化し、移動は前方の発達した脚が担います。
動きや行動で判断する:横歩きのカニ、殻を使うヤドカリの生活習慣
歩き方の違い(横に歩くカニ、殻に隠れるヤドカリ)
- 真正カニは横歩き主体で、素早く左右へ逃げる動きが得意です。
- ヤドカリは前進主体で、危険を感じると貝殻に引っ込みます。殻を引きずる姿は決定的な手がかりです。
殻利用や宿替え行動からわかるヤドカリの特徴
- 空き貝を選び、合わなければ“宿替え”をします。複数個体が集まって一斉に宿替えする行動が見られることもあります。
- 殻口を大きなはさみで塞いで防御する姿勢はヤドカリ類の典型です。
行動観察で誤認しやすいケース
- 岩陰で一瞬だけ姿を見せると、カニもヤドカリも似て見えます。殻の有無、腹面、脚の見え方を合わせて確認しましょう。
- タラバガニ類は横歩き風に見えることもありますが、腹面の構造や後方脚の退化など総合判定が有効です。
— 筆者メモ —
北海道の産地や市場取材で、タラバガニ・ハナサキガニと真正カニ(ズワイガニ・毛ガニ)を並べて観察すると、腹面の構造差と脚の“見え方”の違いが判定の近道だと実感しました。写真で腹面を押さえておくと後日の見直しがとても楽になります。
まとめ
- 分類の違いは「真正カニ(短尾下目)」と「ヤドカリ類(異尾下目)」で、タラバガニやハナサキガニは“ヤドカリの仲間”です(出典:千葉県立中央博物館)
- 外見は「腹部の硬さと折り畳み」「脚の外からの見え方(10本 vs 8本)」「殻の有無」「歩き方(横歩き vs 前進)」の4点で数秒判定が可能です。
- 食用としてはタラバガニ・ハナサキガニなど一部のヤドカリ類が“カニ”として広く流通しており、購入は信頼できる流通から選ぶのがおすすめです。
- 海辺では写真の真上・側面・腹面の3カットを意識すれば、後からでも確実に見分けられます。
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参考
- ヤドカリの世界(千葉県立中央博物館) – https://www.chiba-muse.or.jp/umihaku/kikaku/14marisai/yadokarida.htm








