カニの部位名称と選び方ガイド

目次

この記事でわかること:カニの部位名称と選び方

カニ 部位 名称」で調べたときに迷いがちな、呼び名と場所、味や食感の違い、そして用途に合う選び方を、ズワイガニを中心に整理します。カニは節足動物で十脚目に属し、ズワイガニはクモガニ科に分類されます(参考:Wikipedia「カニ」)。分類学の前提を押さえつつ、実際に通販や食卓で役立つ実用情報に落とし込みます。

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この記事で扱う範囲(ズワイガニを中心に)

本稿は、通販で流通量の多いズワイガニ(本ズワイ、紅ズワイを含む表記が一般的)を中心に、共通して使われる部位名称を解説します。学術的な分類としては十脚目・クモガニ科に当たり、基本的な脚構造は他のカニにも応用可能です(参考:Wikipedia「カニ」)。

カニの主要部位一覧と脚の構造(親爪・棒肉・爪下の名前と場所)

十脚目という名前のとおり、カニは基本的に5対10本の脚をもち、うち前方の1対がはさみ(鋏脚)、残り4対が歩脚です。ズワイガニもこの構造に準じます(参考:鹿児島大学総合研究博物館ニュースレター、Wikipedia系統情報)。

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10本脚の構成(歩脚・付属肢の内訳)

– 鋏脚(1対):いわゆる「爪」。力強く、身は繊維が太めで甘みが強い傾向です。
– 歩脚(4対):可食部の中心。関節が複数あり、節ごとに身質がやや異なります。

親爪、爪下、棒肉など主要部位の位置と名称一覧

業界や通販でよく使われる代表的な呼称は次のとおりです(参考:マルツ「カニの部位ごとの違い」、店舗・加工現場の慣用)。

  • 親爪(おやづめ):鋏の大きい方。見た目のボリュームがあり、贈答でも人気。
  • 爪下(つめした):親爪の根元につく節。繊維はしっかり、旨みが濃い切り身。
  • 棒肉(ぼうにく):歩脚の中央節の棒状の身。可食部が大きく、しゃぶしゃぶ向き。
  • 肩肉(かたにく):甲羅に近い付け根の関節周り。細かな身が多く、出汁もよく出ます。
  • カニ味噌:甲羅内の褐色のペースト状の内臓。正体は後述。
  • ボンボリ/ラッキョ/ナンバン:地域や加工現場の俗称。位置と食べ方は後述で補足します。

ズワイガニの各部位の特徴と実際の食感・向く料理(肩肉・爪・爪下の違い)

同じ「カニの脚」でも、節によって味や食感、適する調理が変わります。通販の部位表記を選ぶときの要点にもつながります。

肩肉の特徴とおすすめ調理法(焼き・茹で)

肩肉は関節周りに細かな身が集まる部位で、旨み成分が溶け出しやすいのが特徴です。鍋や味噌汁、炊き込みご飯のだし取りに重宝し、焼きガニにして香ばしさを足すのも相性がよいでしょう。身をほぐしてサラダやコロッケの具にしても美味しくいただけます(参考:Sea Trust「カニの部位詳細」)。

爪と爪下の違い:食感・取り出しやすさの比較

  • 爪(親爪):繊維が太く締まりが強い分、食べ応えがあり甘みの主張も感じやすい部位です。フライ、天ぷら、バターソテーなど加熱しても存在感が残ります。
  • 爪下:親爪に比べて繊維はやや細かく、旨みのバランスがよい切り身。殻が外しやすい加工(ポーション)で出回ることが多く、鍋やグラタンの具にも向きます。

棒肉(脚の真ん中部分)の特徴とカニしゃぶ向きの理由

棒肉は歩脚の中央節から取り出す長い身で、可食部割合が高く、薄皮を外せば口当たりが非常になめらかです。短時間でさっと火が通るため、しゃぶしゃぶや酢の物に適し、見栄えの良さから贈答用にも選ばれます(参考:Sea Trust「カニの部位詳細」)。

ボンボリ・ラッキョ・ナンバン・ふんどし(はかま)などのマイナー部位の名称と場所

マイナー部位の呼称は地域・加工業者で揺れがあり、商品説明ではまとめて「肩」「小脚」などに含まれる場合があります。以下は一般的な使われ方の一例です。

ボンボリ・ラッキョ・ナンバンの位置と食味

  • ボンボリ:脚の付け根にある丸い関節肉(基節~坐節付近)を指す俗称として使われることがあります。身は詰まっており、出汁もよく出ます。
  • ラッキョ:脚先の細い節(爪の先端に近い指節)を、形状から呼ぶことがあります。可食部は少なめですが、揚げ物や出汁取りに回す例があります。
  • ナンバン:細い小脚や端の節を含む総称として使われることがあり、加工品ではかき揚げ・だし素材向けに利用されます。

注:呼称は統一規格ではないため、通販では商品写真と内容量の内訳を必ず確認しましょう。

ふんどし(はかま)とはどの部分か、食べ方と注意点

「ふんどし(はかま)」は腹部の三角形のフラップ(腹節の腹扇)を指します。身はほぼありませんが、はがすと甲羅内の可食部へアクセスできます。周辺にある白い「ガニ(えら)」は食用に適さないため、取り除いてください。加熱品は取り外してから調理すると扱いやすいでしょう。

カニ味噌はどこの部位?中腸線(肝臓に相当する内臓)の正体と食べ方

一般に「カニ味噌」と呼ばれる褐色のペーストは、脳ではなく内臓の一部「中腸腺(ちゅうちょうせん)」に当たる組織とされています。魚類でいえば肝臓・膵臓に相当する働きを持ち、旨みが凝縮しているのが特徴です。

カニ味噌=中腸線とは何か(機能と位置)

甲羅を開けると中央~奥側に広がる臓器で、消化酵素を分泌・栄養を蓄える役割があると説明されます。ズワイガニでは緑褐色~灰褐色で、加熱により香りが立ちます。

カニ味噌のおすすめの食べ方と衛生上の注意点

  • 甲羅焼き:少量の日本酒やカニ身を合わせて温めると香りを際立たせます。
  • 和え物・ソース:酢や味噌、マヨネーズと合わせるとコクが出ます。
  • 注意点:未加熱の内臓は衛生上のリスクが高く、生食は避けましょう。加熱済み冷凍品は再冷凍を避け、解凍後は速やかに食べ切るのが安心です。

よくある質問:カニの部位や呼び名に関するQ&A

Q: カニ味噌はどこの部位?

甲羅内の中腸腺(肝膵臓に相当)です。脳ではありません。詳しくは「カニ味噌の正体」の章をご覧ください。

Q: カニのふんどしって何?

腹側の三角形のフラップ(腹扇)です。外すと甲羅内の身や味噌にアクセスできます。

Q: カニのポーションってどういう意味?

殻を外した食べやすい切り身(1本=1ポーション等)の数え方です。部位名と本数表記を確認しましょう。

Q: カニ爪と肩肉はどっちが美味しい?

食べ応えなら爪、だし・汎用性なら肩肉が向きます。料理用途で選ぶのがおすすめです。

Q: カニの棒肉と爪下の違いは?

棒肉は歩脚中央の長い身でしゃぶ向き、爪下は親爪直下の節で旨みが濃く加熱料理に合います。

『ポーション』の意味と通販で見る部位表記の正しい読み方

通販では「何の部位を」「何本(何g)」「どの加工状態で」届けるかを、短い語で表します。意味を把握すると失敗が減ります。

ポーションとは(切り身・一人前の意味合い)

– 一般に殻を外した可食部1本(または1切)を1ポーションと数えます。例:棒肉20ポーション=棒肉のむき身20本相当。
– 形状の例:フルポーション(全殻むき)、ハーフポーション(殻半分付き)、爪ポーション、爪下ポーションなど。
– 状態:生(冷凍)、ボイル(冷凍)、生食可否の表示を確認。重量はグレース(氷膜)込み・抜きの表記差に注意。

通販で見る「爪」「肩」「棒肉」などの表記の読み方と注意点

– 「部位」×「本数(g)」×「状態(生/ボイル)」×「殻の有無(フル/ハーフ)」をセットで確認する。
– 「ミックス」表記は肩・棒・爪下など複数の詰め合わせ。内訳と割合が記載されているか要チェック。
– 写真は盛り付け例の場合があるため、内容量(正味量)と個数保証を優先して判断しましょう。

家庭でできるカニの基本的なさばき方(脚の外し方と殻の開け方)

初めてでも安全に身をきれいに取り出せる、基本のやり方をまとめます。解凍品は半解凍のタイミングが切りやすいです。

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用意する道具と下ごしらえの手順

  • 道具:キッチンばさみ、出刃または丈夫な包丁、軍手(滑り止め)、キッチンペーパー、トレー
  • 下ごしらえ:解凍は冷蔵庫でゆっくり。表面の水分を拭き、まな板の下に布巾を敷いて安定させます。

脚を外す・殻を割る・身を取り出す具体的手順(ステップ形式)

  1. ふんどし(腹扇)を起こして外し、甲羅と胴を左右にひねって外す。白いエラ(ガニ)は取り除く。
  2. 脚は関節の付け根を持ち、ひねりながら外す。力を入れすぎず、関節の向きに合わせる。
  3. 棒肉は、脚の両側の甲羅にキッチンばさみで浅く切れ目を入れ、開くように殻を外す。
  4. 爪は関節側から殻に切れ目を入れ、先端へ向けて外す。鋭利な先端に注意。
  5. 甲羅内の味噌は異物を取り除き、小鍋や直火対応の器で加熱して香りを立たせる。

さばくときの注意点(殻破片・火の通し方)

  • 殻片が飛びやすいため、トレー内で作業し、カットは「浅く・細かく」入れてから開くのがコツです。
  • 生食不可の表示があるものは必ず加熱を。加熱しすぎると身が縮むため、しゃぶしゃぶは短時間で引き上げましょう。

家庭でのカニ部位別の選び方とまとめ(用途別に選ぶポイント)

部位の個性を活かすと、同じ量でも満足度が変わります。贈答か自家用かでも最適解は異なります。

用途別のおすすめ部位(しゃぶしゃぶ、焼き、贈答用)

  • しゃぶしゃぶ・鍋:棒肉(フル/ハーフポーション)、爪下。火通りが早く、口当たりが良好です。
  • 焼き・フライ:親爪、肩肉(香ばしさ・だし)。甲羅味噌の甲羅焼きも人気。
  • 贈答・見栄え重視:棒肉のフルポーションや親爪中心の詰め合わせ。整列パックで写真どおりか確認。
  • だし・加工用:肩肉ミックスや小脚。カニご飯、ビスク、コロッケの具に活用。

購入時のチェックリストと保存の基本

  • 表記:部位、状態(生/ボイル)、本数・正味量、グレース込み/抜き、原料原産地、加工地。
  • 規格:サイズ表記(例:L/2L/3L)はメーカー基準が異なるため、重量・本数を優先。
  • 見た目:黒い粒は「カニビルの卵痕」で身入りの目安になることがあり、衛生上の問題は基本的に指摘されません。氷焼け・乾燥には注意。
  • 保存:冷凍は−18℃以下、解凍後は当日〜翌日中に。再冷凍は品質劣化のため避けましょう。

更新日:2025-12-29
筆者:kani-tu.com 編集部(カニ通販の企画・仕入れ・試食レビューに10年以上携わるライター。自宅では年10回以上しゃぶ・甲羅焼きを実践し、主要通販の部位表記と実物のギャップ検証を継続しています)

参考