家庭で失敗しない蟹のゆで方完全ガイド
最終更新:2025-12-28
目次
- 家庭で美味しく仕上げるために押さえる「蟹のゆで方」基本のポイント
- 毛ガニ・ズワイ・タラバ・ワタリ別の茹で時間:サイズ別目安表
- 茹でる前の下処理と活蟹の安全な扱い方(洗い方・活け締めのすすめ)
- 塩加減と湯量の計算方法:海水に近い3〜5%を目安にする理由
- 茹でるタイミングと蟹の向き:沸騰後に入れる?水から加熱する?
- 実践ガイド:家庭でできる種類別・サイズ別の茹で方(ステップバイステップ)
- よくある質問(FAQ)
- 茹で上がり後の冷却(氷水締め)と保存・温め直しのベストプラクティス
- 失敗しないための実践テクニック:脚が取れない・しょっぱくならないコツ
- 最後に確認:美味しいゆで蟹にするためのチェックリスト(すぐ使える)
- 参考
家庭で美味しく仕上げるために押さえる「蟹のゆで方」基本のポイント
茹で方で味が変わる理由
蟹は塩分と加熱時間の管理で身質と旨味の出方が大きく変わります。塩分が薄いと旨味が抜け、濃すぎるとしょっぱくなり、時間が長いと身が締まり過ぎてパサつきやすくなります。適切な塩分濃度と「再沸騰後から」の時間管理を徹底することが、甘みやカニ味噌の濃厚さを引き出す近道です。
この記事で分かること(下処理・塩分・時間・仕上げ)
- 下処理の要点(洗い方・活け締めの是非・安全な扱い方)
- 塩分濃度は海水に近い3〜5%が基本。湯量の決め方
- 毛ガニ・ズワイ・タラバ・ワタリ別、サイズ別のゆで時間目安
- 向き・タイミング・再沸騰の考え方と、氷水締めや保存のコツ
参考までに、専門店でも海水(約3.5%)よりやや高めの塩湯で茹でる方法がすすめられています(とれたて本舗の解説)。塩が旨味を引き締め、風味を保ちやすいためです。
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毛ガニ・ズワイ・タラバ・ワタリ別の茹で時間:サイズ別目安表
毛ガニの目安(例:500g・800g)
- 500g前後:再沸騰後 約20分
- 800g前後:再沸騰後 約25分
函館朝市の案内でも上記が目安として示されており、再沸騰後から計測するのがポイントと紹介されています。

ズワイガニの目安(例:800g・1kg)
- 800g前後:再沸騰後 約15分
- 1kg前後:再沸騰後 約20分
一般家庭向けレシピでも、上記レンジが目安として扱われる例が見られます(クラシル掲載のゆで時間感覚を参照)。身入りや個体差で前後しますので、色づきと香りを併せて判断しましょう。
タラバガニの目安(例:1.5kg・2kg)
- 1.5kg前後:再沸騰後 約18〜20分
- 2.0kg前後:再沸騰後 約20〜22分
太い脚は熱が通りにくいので、沸騰を強めず「静かな沸き」をキープし、過加熱で身が縮まないよう注意すると良いでしょう。
ワタリガニの目安(調理法別)
- 丸のままボイル:中火で10〜15分が一般的なレンジ
- 味噌汁・パスタ用の下ゆで:中火で8〜12分を目安に加減
DELISH KITCHENでも、ワタリガニの基本ゆで時間として10〜15分程度が紹介されています。
茹でる前の下処理と活蟹の安全な扱い方(洗い方・活け締めのすすめ)
外見の汚れを落とす洗い方
甲羅や脚の節目には砂やケイ藻が入り込みます。流水下で歯ブラシを使い、関節・口器・甲羅の縁をやさしくこすり、最後に甲羅の隙間に水を通して汚れを流してください。
活蟹の活け締めとは(やり方と理由)
活きた蟹をいきなり熱湯に入れると暴れて脚が折れ、危険なうえ身に湯が回りやすく風味を損ねがちです。真水や氷水で動きが弱まるまで活け締めしてから茹でる方法が推奨されます(マルツ水産の解説)。また、冷たい塩水から徐々に加熱していくと自切を抑えやすいとされ、風味保持にも寄与します(マルヤ水産の案内)。
市場で買った活蟹の持ち帰り・扱い方の注意点
保冷剤や氷で冷やし過ぎると弱る一方、常温放置は劣化を早めます。新聞紙で包み、冷暗所で短時間保管し、帰宅後は速やかに活け締めと下処理へ移行すると安心です。
塩加減と湯量の計算方法:海水に近い3〜5%を目安にする理由
塩分濃度の考え方(海水に近い配合)
海水の平均塩分は約3.5%とされ、これに近い濃度だと浸透圧の差が小さく、旨味の流出を抑えつつ下味もほどよく付きます。専門店の現場でも3〜5%帯がよく使われます。
水1Lあたりの塩量の目安(3%・5%の比較)
- 3%:水1Lに塩30g(大さじ約2) … 甘みを生かしたい時
- 4%:水1Lに塩40g(大さじ約2と1/2) … バランス重視
- 5%:水1Lに塩50g(大さじ約3弱) … 身が太い個体やタラバ向き
まずは4%を基準に、味見して微調整するのがおすすめです。検索が多い「蟹 の ゆがき 方」という表記も、基本はこの塩加減と同じ考え方で進められます。
鍋の湯量の確保と加熱時の注意点
蟹がしっかり沈み、投入後に2〜3分で再沸騰に戻せる湯量を確保します。目安は中型1杯で4〜6L、大型で8L前後です。強火で激しく沸かし続けると身縮みの原因になるため、再沸騰後は静かな沸きへ落としましょう。
茹でるタイミングと蟹の向き:沸騰後に入れる?水から加熱する?
活蟹は水から茹でるべきケースと沸騰後投入の違い
- 活蟹:自切や暴れを防ぐため、冷たい塩水からゆっくり温度を上げる方法が向きます。安全面にも配慮できます。
- 冷凍・ボイル済み:再加熱・温め直しは沸騰した塩湯または蒸しが適しています。加熱し過ぎによるパサつきに注意しましょう。
甲羅を下・腹を上にする理由(カニ味噌の保持)
蟹は甲羅側を下、腹側を上にして沈めると、カニ味噌が流出しにくく、旨味を内部にとどめやすくなります。脚の先を内向きにそろえて入れると均一に火が通ります。
蟹が浮くときの落し蓋や重しの使い方
鍋に合う落し蓋や耐熱皿を重しにして、全体が湯に浸かる状態をキープします。浮いてしまうと上面の温度が上がらず、加熱ムラや生臭さの原因になります。
実践ガイド:家庭でできる種類別・サイズ別の茹で方(ステップバイステップ)
準備:鍋と湯の準備、塩の溶かし方
- 大鍋に十分な湯を張り、塩を溶かして3〜5%に調整します。
- 活蟹は活け締め・洗浄を済ませ、冷たい塩水から開始できるよう準備します。
<補足>蟹の下処理は衛生管理と安全性を第一に行いましょう。
1) 活蟹は活け締め・洗浄を済ませ、冷たい塩水から開始できるよう準備します。
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投入~再沸騰後のタイム計測と火加減
- 活蟹:冷たい塩水へ入れ、中火でじわじわ加熱。沸騰したらそこから計時。
- 生(未加熱)または解凍済み:沸騰した塩湯に投入し、再沸騰後に計時開始。
- 火力は「静かな沸き」を維持。激しい沸騰は不可。
蟹を投入すると鍋の温度が下がるため、再沸騰後の計時が正確さを左右します。

茹で中のチェックポイント(泡・アクの取り方)
- 表面にアクが出たら都度すくいます。
- 香りが澄み、色がしっかり赤くなれば仕上がりサインです。
目安時間は前章の種類別ガイドに準拠し、身の弾力と香りで微調整してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 蟹をゆでるときの塩加減はどれくらい?
A. 海水に近い3〜5%が基準です。まず4%で味見し、蟹のサイズや用途で前後させると安定します。
Q2. 毛ガニ・ズワイ・タラバは何分が目安?
A. 毛ガニ500g20分/800g25分、ズワイ800g15分/1kg20分、タラバ1.5kg18〜20分/2kg20〜22分が目安です。いずれも再沸騰後から計りましょう。
Q3. 生きている蟹をそのまま熱湯に入れて良い?
A. 安全面と品質面から推奨されません。真水や氷水で活け締めし、冷たい塩水から徐々に加熱する方法が安心です(現場でも実践例が多いです)。
Q4. ゆでたあと氷水で締めるべき?
A. はい。5分ほど氷水に落として余熱を止めると、身が締まり過ぎず剥きやすくなります。風味の流出も抑えやすいです。
Q5. ボイル済みや冷凍の蟹をパサつかせず温め直すには?
A. 冷蔵解凍後に「蒸す」方法が適しています。湯は沸騰、蒸し時間は短く、塩水を霧吹きで補って乾きを防ぐと良いでしょう。
Q6. 茹で時間は「再沸騰後から」測るのが良い?
A. 蟹を入れると鍋の温度が大きく下がるため、適正温度域での実質加熱時間を正しくカウントするために、再沸騰後から計時するのが合理的です。
茹で上がり後の冷却(氷水締め)と保存・温め直しのベストプラクティス
茹で上がりの見極めとすぐにすること(粗熱取り)
殻全体が均一に赤くなり、甲羅縁から香ばしい香りが立てば引き上げ時期です。湯切り後すぐに氷水へ移し、表面温度を素早く落とします。
氷水で締める手順と効果(5分程度が目安)
氷水に5分、表面が冷えたら取り出し、水気をよく拭きます。余熱を止めることで身離れが良くなり、過加熱によるパサつきを防げます。
冷蔵・冷凍保存の方法と賞味目安/温め直しの手順(蒸し直し等)
- 冷蔵:ラップ+密閉袋で甲羅ごと。2日程度を目安に早めに消費。
- 冷凍:殻付きのまま急冷し、空気を抜いて密封。1カ月を目安に。
- 温め直し:解凍後は蒸しが無難。時間が経っていなければ、蒸すことで茹でたてに近い食感へ戻しやすいと紹介されています(松竹梅水産)。
失敗しないための実践テクニック:脚が取れない・しょっぱくならないコツ
脚が取れないようにする扱い方と活け締めのポイント
活け締め後に冷たい塩水から加熱し、自切を予防します。鍋に入れる際は脚を内向きに揃え、落し蓋で均等に沈めると破損リスクを下げられます。
塩分過多を避けるための計量と味見の方法
キッチンスケールで塩を計量し、3〜5%内で調整。沸騰前に一度味見し、塩気が「やや強いかな」と感じる程度に整えると身にちょうど良く入ります。
カニ味噌を逃さない向き・氷水で締めるタイミング
甲羅を下・腹を上でセットし、引き上げ後は直ちに氷水へ。味噌の流出と余熱過多をまとめて防げます。
最後に確認:美味しいゆで蟹にするためのチェックリスト(すぐ使える)
- 準備チェック:大鍋・塩・落し蓋・氷水・タイマーは揃っていますか?湯量は蟹が沈む十分量ですか?
- 茹で直前チェック:塩分3〜5%に調整しましたか?活蟹は活け締め済みですか?向きは甲羅下・腹上ですか?
- 時間管理:再沸騰後から計時していますか?火加減は「静かな沸き」を維持できていますか?
- 仕上げチェック:引き上げ後は氷水で5分締めましたか?水気を拭いて冷蔵・冷凍の包みを二重にしましたか?温め直しは蒸しで短時間の予定ですか?
——
筆者について
kani-tu.com 編集部・海産物調理担当。飲食店勤務と通販向けボイル検証で累計100杯超の蟹を調理。家庭用コンロ・IHでの再現性を重視し、塩分・時間の再現テストを継続しています。







