更新日:2025-12-27
目次
導入
「蟹の足は何本?なぜ横に歩く?どの部位が一番おいしい?」——蟹の足に関する素朴な疑問を、構造から動き、食べ方まで一気に解決します。基礎解剖を押さえると、横歩きの理由や、家庭での上手なさばき方・安全な食べ方まで、理解と実践がぐっと楽になります。
\お得に旬のカニを手に入れたいあなたへ/
カニの脚は何本?歩脚と鉗脚の基本構造と名称
蟹の足(脚)は、頭胸部に付く5対、合計10本が基本です。そのうち最前部の1対がハサミ(鉗脚)に変化し、残りの4対が歩行に用いる歩脚になります。神奈川県立 生命の星・地球博物館の解説や一般的な概説(Wikipedia)でも、この「5対の胸脚のうち前端が鉗脚」という構造が示されています(神奈川県立生命の星・地球博物館/Wikipedia)。
頭胸部にある5対(計10本)の脚について
- 蟹の脚は胸脚と呼ばれ、左右対称に5対あります。
- 1対目は鉗脚(ハサミ)、2〜5対目が歩脚で、移動や姿勢保持に使われます。
- 参考:神奈川県立生命の星・地球博物館の公開資料、およびWikipediaの「カニ」の項。
鉗脚(ハサミ脚)の役割と位置
- 鉗脚は捕食、威嚇、防御、餌の操作、巣穴の整備など多用途です。
- 多くの種で左右差(利きハサミのような機能分化)が見られることがあります。
脚の各節の名称(底節〜指節)
- 典型的な節足動物の胸脚は7節で構成されるとされ、外側から順に「底節(コクサ)→基節→坐節→腿節→腕節→掌節→指節」といった名称が用いられます。
- 資料により訳語の揺れはありますが、概ねこの順序で近位(体側)から遠位(先端)へ連なります(神奈川県立生命の星・地球博物館の資料参照)。
出典:神奈川県立 生命の星・地球博物館(カニの脚の解説PDF)/Wikipedia「カニ」

なぜカニは横に歩く?脚の節と関節構造が語る理由
蟹が横向きに移動するのは、脚の節の幅や関節の曲がる向きが影響しているためと説明されています。関節が主に前後ではなく左右方向の動きに適し、横方向の推進が最も効率的になるのです(sakanato.jpの解説)。
脚の節構成と関節の可動方向
- 各節の関節は、折りたたむ・伸ばす方向が限定され、横方向の振り出しで前進・後退が生まれやすい構造です。
- 節が幅広く、外骨格が横運動を支持しやすい形状であることも寄与します。
節の幅と関節可動域が歩行方向に与える影響
- 前後への大きなストライドより、左右への素早い振り出しで地面を捉える方が安定・効率的です。
- 障害物回避や砂地での推進でも横歩行が理にかないます。
実際の観察からわかる横歩きの例
- 岩場や干潟でのフィールド観察でも、左右に素早く移動する行動が頻繁に見られます。
- 一部の種は前進も可能ですが、主運動は横方向だと報告されています。
出典:sakanato.jp「なぜカニは横向きに歩くのか?」

遊泳脚や潜行脚など——生活環境で変わるカニの脚の多様性
蟹の脚は、生息環境に応じて形態が大きく変化します。代表例はワタリガニ類の第5脚が鰭(ヒレ)状に変化した遊泳脚で、砂に潜る生活に適応した扁平な潜行脚も知られます(鹿児島大学総合研究博物館の資料)。
遊泳に特化した第5脚(ワタリガニ類)の鰭状構造
- 第5歩脚の末端がパドル状になり、水中での推進力を効率よく得られます。
- 遊泳・浮上・急旋回に適した形態です。
砂地・岩場での移動に適した平たい脚や特殊化例
- 砂底に潜る種(例:アサヒガニ類)では、広く扁平な脚で砂を掘り、短時間で潜砂できます。
- 岩場の種では先端が鋭く、凹凸に引っ掛けやすい形状が見られます。
形態と生態の関係(事例紹介)
- 遊泳脚は外洋・沿岸の遊泳生活に、潜行脚は砂底での捕食・隠蔽にそれぞれ適応したものです。
- 形は生態の反映であり、脚の形質から生活史の一端が読み取れます。
出典:鹿児島大学総合研究博物館 ニュースレター No.39(脚の特殊化の紹介)

よくある質問(FAQ)
- なぜカニは横に歩くのか?
→ 脚の関節が左右方向の動きに適し、横方向の推進が効率的だからです(解説参照)。 - カニの脚は何本あるのか?
→ 頭胸部に5対(計10本)あり、最前部の1対がハサミ(鉗脚)です(Wikipedia)。 - カニのハサミ脚の役割は?
→ 捕食・威嚇・防御・餌の細断や運搬など多用途です。 - カニの脚の構造はどうなっているか?
→ 一般に7節(底節〜指節)で構成され、外骨格内に筋が走り、腱様構造に付着して動きます。 - カニの脚は食べられる部位か?
→ 爪肉・脚肉・肩肉はいずれも可食部で、風味や食感が異なります。十分な加熱と殻の取り扱いに注意しましょう。
自切(脚を自ら切り離す)機能と関節のしくみ
蟹には敵からの逃避や損傷の拡大防止のため、脚を自ら切り離す「自切(自己切断)」が見られます。節足動物では、特定の関節近傍にあらかじめ「切れやすい面(自切面)」が形成され、強い負荷がかかるとそこから分離します(Wikipedia)。
自切とは何か——防御や再生の意味
- 捕食者に捕まれた脚を切り離し、体幹を守る防衛反応です。
- 多くの甲蟹類で、脱皮を繰り返しながら欠損部が再生・肥大していきます。
自切が起きる部位と関節構造の関係
- 自切は胸脚の付け根近くの関節で起こることが多く、内部の血流遮断機構により出血を最小限に抑える仕組みが知られています。
- 「どの節間で起こるか」は群・種により差があり、共通の自切面が存在するという理解が一般的です。
自切後の再生の概略(短期的影響)
- 失った直後は歩行や摂餌効率が低下しますが、次回以降の脱皮で小さな芽が生え、数回の脱皮で機能回復が進みます。
- 成長段階や栄養状態により再生速度は変わると考えられています。
脚の筋肉と腱はどう働く?歩行やハサミの動きの仕組み
外骨格の内側には、筋肉が「アポデム(腱様の内突起)」に付着して収縮力を伝えます。これにより、節と節の角度が変化し、歩脚や鉗脚が動きます(Wikipedia「外骨格」)。
外骨格内の筋肉配置と腱様構造の役割
- 外骨格は硬く筋肉が直接付けないため、内側の突起(アポデム)が筋付着点として機能します。
- 筋収縮→アポデム牽引→関節回転という力学で、少ないエネルギーで効率的に動かせます。
歩脚を動かす筋群の働き(簡易図解イメージ)
- 各関節に拮抗する屈筋・伸筋があり、交互に働くことで滑らかな屈伸と推進が生まれます。
- 多脚の位相差制御により、横歩行でも重心が安定します。
鉗脚を開閉するメカニズム(筋と関節の協調)
- 鉗脚には「閉じ筋」が大きく発達し、強い噛砕力を発揮します。対して「開き筋」は細く、弾性や水圧の補助も利用して開閉します。
出典:Wikipedia「外骨格」、鉗脚
手順/方法:カニ脚のさばき方の基本
家庭で「蟹の足(脚)」をおいしく安全に食べるための、最小限で失敗の少ないやり方です。
- 下準備
– 冷凍は冷蔵庫でゆっくり解凍(半解凍が作業しやすい)。ドリップは拭き取ります。 - 道具
– 厚手のキッチンばさみ、ペティナイフ、軍手、まな板、ピック類。 - 関節で分ける
– 肩(付け根)→太節→中節→先端の順に関節で折り、節ごとに分解します。 - 殻を開く
– 太い節は、殻の両側の薄い面にハサミで縦の切り込み→パカッと開き身を露出。爪は側面の薄い側からV字に切り、関節側に向かって開きます。 - 身を取り出す
– 露出した身はそのまま引き抜き、奥はピックでやさしく掻き出します。 - 加熱(未加熱品・生冷凍の場合)
– 沸騰湯で4〜6分目安、または蒸し7〜10分。表面が白濁しふっくらしたら目安。生食はリスクが高く推奨されません(厚生労働省の寄生虫リスク情報参照)。 - 提供
– 殻を外した棒肉は、そのまま・レモン・酢じょうゆ・バター焼き・天ぷらなどに。
カニの脚を食べる:部位ごとの特徴と家庭でのさばき方
脚の部位ごとの肉質(爪肉・肩肉など)と味の違い
- 爪肉(鉗脚の先端):繊維が太く締まり、旨味が濃い。フライや天ぷらに好相性。
- 太脚(棒肉):甘みとふわっとした食感のバランスが良く、そのまま食べて主役に。
- 肩肉(関節周り):ほぐしやすい細片が多く、コロッケ・グラタン・雑炊の風味付けに最適。
- 先端細脚:身は少量だが出汁が良い。味噌汁・鍋の旨味アップに重宝。
家庭でのカニ脚のさばき方(道具と手順)
- 道具は厚刃のキッチンばさみが安全で万能です。殻の薄い側面を見極めて、縦にスリットを入れるのがコツです。
- 爪は関節を外してから側面に切り込み、殻を開いて身を押し出すと崩れにくいです。
- 半解凍で作業すると、身崩れとドリップ流出を抑えやすく、歩留まりが上がります。
調理上の注意点(骨片や殻の切り方、衛生)
- 生食は避け、中心部までしっかり加熱を。特に淡水性の蟹や未加熱品は寄生虫リスクが指摘されています。
- 殻片の混入防止に、切断後は身表面を指でなぞって微小片を除去しましょう。
- 解凍後の常温放置は避け、使い切れない分は速やかに冷蔵し当日中に。
出典:厚生労働省(寄生虫・肺吸虫に関する注意喚起)
注意点/ポイント
- 解凍は低温で。急速な温度変化はドリップと風味の損失につながります。
- 再冷凍は食味低下と衛生リスクの観点から避けましょう。
- 調理器具は生鮮扱いで分け、カット後は熱湯や洗剤で十分に洗浄・乾燥を。
- アレルギーのある方は摂取を控え、調理時の交差接触にも注意が必要です。
まとめ
- 蟹の足は基本「5対10本」。最前の1対は多用途の鉗脚、残りは歩脚です(博物館資料/Wikipedia)。
- 横歩きは、節と関節の構造が左右の推進に適しているため効率的だと考えられます(sakanato.jp)。
- 環境適応で遊泳脚・潜行脚など多様化し、形から生態が読み取れます(鹿児島大学資料)。
- 自切は防衛的適応で、付け根近くの自切面で分離し、脱皮を経て再生が進みます(自己切断の概説)。
- 調理は「関節で分ける→薄い側に切り込み→パカっと開く」が基本。生食は避け、十分加熱と殻片除去・衛生管理を徹底しましょう(厚労省)。
蟹の足の仕組みを知ると、観察の楽しさも味わいも一段深まります。道具と手順を整えて、家庭でも安心・上手に楽しんでください。
筆者プロフィール・実体験
kani-tu.com編集部ライター。通販・実食レビューを通じ、浜茹で〜冷凍までの蟹を年間30杯超、累計200杯以上を解体・調理。棒肉を崩さずに取り出すには「半解凍×薄い殻面に縦スリット」が最も失敗が少ないと感じています。生食の問い合わせを受けることも多いですが、衛生と満足度の観点から十分加熱をおすすめしています。
参考
- カニの脚 – 神奈川県立 生命の星・地球博物館(PDF)
- カニ – Wikipedia
- なぜカニは横向きに歩くのか? – sakanato.jp
- 鹿児島大学総合研究博物館 ニュースレター No.39(脚の特殊化の紹介) – PDF
- 自己切断 – Wikipedia
- 外骨格 – Wikipedia
- 鉗脚 – Wikipedia
- 寄生虫(肺吸虫)に関する情報 – 厚生労働省
- 食物アレルギーに関する情報 – 消費者庁








