カニ種類図鑑:見分け方・旬・調理
目次
カニ図鑑で何がわかる?種類の見分け方とこの記事の使い方
この記事で学べること(種類・旬・生息地・調理)
- 日本でよく見かける・食べられるカニの種類と分類の全体像がつかめます(ズワイガニ、タラバガニ、毛ガニ、ガザミ、モクズガニなど)。
- 科ごとの特徴を押さえ、甲羅・ハサミ・脚の違いから現場での見分け方を学べます。
- 地域別の生息環境や旬の時期がわかり、買い時・食べ時の判断に役立ちます。
- 家庭で失敗しにくい基本のゆで方・さばき方と、部位別のおいしい食べ方を確認できます。
図鑑の見方とフィールドでの基本的な観察ポイント
画像と形のセットで覚えるのが近道です。甲羅の輪郭(丸い・三角・トゲの数)、ハサミの比率(爪が太い/細い)、歩脚の本数と長さ(長脚タイプ/短脚タイプ)、腹部の形(オス・メスで異なる)、棲む場所(砂地・岩礁・河川・深海)をチェックすると識別精度が上がります。種の確認には、公的館の画像一覧がたいへん有用で、大阪市立自然史博物館の「甲殻類(エビ・カニ)図鑑」では多数のカニを高精度な写真で横断的に見比べられます(参考:大阪市立自然史博物館 画像一覧 | 甲殻類図鑑)。
\お得に旬のカニを手に入れたいあなたへ/
科ごとに見る日本の主要なカニ一覧と分類のポイント
分類を先に押さえると、現物を見たときの当たりがつけやすくなります。媒体によって和名の科呼称や位置づけが異なる場合があるため、現場では「代表例と形の傾向」で覚えるのが実用的です(Discover Japan ニッポンのカニ図鑑)。
クモガニ科(ズワイガニ、ベニズワイガニ、タカアシガニなど)
- 特徴の目安:細長い脚、甲羅縁や額角にトゲが並ぶ種が多く、深場に適応した種類も含まれます。
- 代表種の例:ズワイガニ、ベニズワイガニ、タカアシガニなど。いずれも長脚で、体の割に脚が目立つシルエットが識別のヒントになります。
- 補足:学術的な詳細分類は再編が進んでおり、和名上「クモガニの仲間」と総称されるグループとして現場理解に用いるとわかりやすいでしょう(出典:Discover Japan ニッポンのカニ図鑑)。
タラバガニ科とタラバガニの位置づけ
- タラバガニはタラバガニ科(ヤドカリの仲間:異尾類)に属し、「カニ」と呼ばれますが分類学的には真のカニ(短尾類)とは系統が異なると解説されます。
- 見分けのコツ:歩く脚が3対に見え、計8本に見えるのがタラバガニ系の典型です(真ガニは歩脚4対で10本に見えます)。甲羅は堅くトゲ状の突起が多めで、爪は太く身質は大ぶりで繊維感が強いのが食味の特徴です。
ガザミ科・クリガニ科などの主要科と代表種一覧
- ガザミ科(ワタリガニ類):代表はガザミ(ワタリガニ)。遊泳脚(オール状の最後脚)で泳ぎが得意、内湾〜汽水域に多く、夏〜秋に盛漁期を迎える地域が多いです。
- クリガニ科:代表はクリガニやトゲクリガニ。寒海域の沿岸〜浅海にすみ、甲羅は丸みにトゲが組み合わさる武骨な印象で、味噌の風味が濃い個体が人気です。
- そのほか:イワガニ類(磯の岩場)、サワガニ類(淡水河川)など、海・川・汽水で適応した科が分かれます。

食用カニの種類別の特徴と旬(ズワイガニ・タラバガニ・毛ガニ・モクズガニ)
ズワイガニの特徴と地方名(越前ガニ・松葉ガニなど)
- 特徴:繊細で甘みの強い脚肉、甲羅味噌のコク、加熱で身離れがよいのが魅力です。オスは大型で食べ応えがあり、メス(セイコガニなど)は外子・内子と味噌を楽しめます。
- 地方名:福井=越前ガニ、鳥取・兵庫・京都・島根=松葉ガニ、石川=加能ガニ、京都京丹後=間人ガニなど、産地ブランド名が多数あります。
- 旬の目安:各県の解禁に左右されますが、概ね初冬〜早春(11〜3月頃)が食べ頃と言われます。メスは禁漁期が早めに来る地域が多く、短期勝負になりやすい点に留意しましょう。
タラバガニの特徴と旬、分類上の注意点
- 特徴:極太の脚と強い繊維質の身、焼き・蒸しでも縮みにくい弾力が持ち味です。爪先まで可食部が太いので、豪快な食べ方と相性が良いでしょう。
- 旬の目安:一般に冬が需要・流通のピークですが、産地・漁場や入荷形態で食べ頃は変動します。
- 分類の注意:タラバガニはヤドカリの仲間で、歩脚が3対に見える点や甲羅のトゲ感など、見た目の手掛かりがズワイや毛ガニと異なります(分類上の位置づけは前節参照)。
毛ガニ・モクズガニの旬と内子の魅力
- 毛ガニ(ケガニ):全身を覆う細い毛と丸みのある甲羅、濃厚なカニ味噌が最大の魅力です。旬は産地で分かれ、北海道では冬〜春、道東やオホーツクでは春〜初夏に身入りが良い時期が知られています。
- モクズガニ:河川〜汽水で育ち、秋の降海期に漁獲・流通が増える地域が多いカニです。メスの内子と味噌の相性が良く、酒蒸しや味噌汁、甲羅蒸しで旨味が際立ちます。外見は淡水性で甲羅がやや角ばり、ハサミに藻のような毛が付く個体があるのが特徴です。
地域別に見る代表的なカニ種とその生息環境(北海道〜西日本・深海)
北海道・オホーツクで多いケガニなどの特徴
- 寒流影響域では毛ガニやクリガニ類が目立ち、身の甘みと味噌の濃さが魅力です。流氷期前後は資源管理により操業や入荷が変動し、旬の最盛期も地域差が出やすい点を押さえましょう。
- 根室〜知床では花咲ガニ(タラバガニ近縁)が出回る季節があり、ボイルや鉄砲汁で旨味が映えます。
本州沿岸で見られるガザミ(ワタリガニ)と漁場
- 太平洋側・瀬戸内海・有明海などの内湾〜砂泥底でガザミ類が多く、遊泳脚で機敏に泳ぐため刺網やカニ籠での漁が主流です。夏〜秋は身が締まり、秋〜初冬は抱卵メスの地域出荷が増えることがあります。
深海に生息するタカアシガニとその生息域
- 相模湾〜駿河湾〜熊野灘の深場に生息する大型種で、世界最大級の節足動物として知られます。長い脚を活かした歩行で泥底を移動し、底生生物を捕食・清掃すると考えられています。沿岸部の一部水族館で展示されることもあります。
甲羅・ハサミ・脚の違いから分かるカニの見分け方
ハサミの形と機能から見る識別ポイント
- 太くて短い爪:殻を割る力が強く、二枚貝など硬い餌を好む種に多い(例:毛ガニ類)。
- 細長い爪:器用さが求められる捕食や掃除行動に適応した種に多い(例:ズワイガニ)。
- ガザミ類の爪:やや長めで鋭く、獲物を素早く挟み取るのに適した形です。
甲羅の模様・突起・色で見る見分け方
- 甲羅縁のトゲ:本数や角度が種の決め手になることが多い。
- 表面の粒状突起:毛ガニは細毛で覆われ、タラバ系はゴツゴツした突起が目立ちます。
- 色調:ベニズワイは赤味が強く、ズワイは生時に茶褐色〜緑褐色で、加熱で鮮やかな朱色に変わります。
脚の長さ・配列とタラバガニの特殊構造
- 真ガニ(ズワイ・毛ガニなど):歩脚4対で合計10本に見え、全体のバランスが取れたシルエット。
- タラバガニ:歩脚3対で合計8本に見え、最後脚が小さく甲羅下に隠れるため、ぱっと見で“8本”に見えるのが識別の決定打になります。
深海性や大型の特殊なカニの生態と見どころ(タカアシガニ等)
タカアシガニの生態と観察できる地域
- 長脚を持つ深海性の大型種で、駿河湾周辺の深部が代表的な生息域として知られます。季節や水温、資源管理によって漁や展示の状況は変わるため、見学は地域の最新情報を確認するとよいでしょう。
深海で見られるその他の珍しいカニの特徴
- ベニズワイガニ:日本海の深海域に多く、鮮やかな紅色や細長い脚が特徴で、加工・流通の技術発達により家庭でも身近になりました。
- 深場のクモガニ類:長脚でトゲの多い姿が印象的で、底引き網の混獲で見かけることがあります。
観察・漁獲の際の安全とマナー
- 岩礁帯・防波堤では足場の安全確保を最優先にし、夜間は複数人・ライト必携で行動しましょう。
- 産卵期や禁漁区の採捕は各自治体の規則を遵守し、持ち帰りサイズやメスの扱いは最新のローカルルールを確認するのが基本です。
カニのさばき方と部位別の美味しい食べ方(初心者向け手順付き)
部位別:脚肉・爪・甲羅内のミソと内子の食べ方
- 脚肉:ズワイは茹で・蒸し・しゃぶで甘みが際立ちます。タラバは焼き・蒸しで繊維感を楽しむのがおすすめです。
- 爪:太く旨味が濃い部位。天ぷら・バターソテー・グラタンなど加熱アレンジに向きます。
- 甲羅味噌:毛ガニはそのまま、ズワイは日本酒や味醂を少量合わせて甲羅焼きに。モクズガニは味噌汁や甲羅蒸しで内子と一体にすると奥行きが出ます。
基本のゆで方と家庭でのさばき方(ステップ順)
- 下ごしらえ:甲羅表面の汚れを流水で優しく落とし、脚の折れに注意して扱います。
- 塩加減:海水程度(約3%)の塩でたっぷりの湯を沸かします。
- 加熱:甲羅を下にして静かに投入、再沸騰後は中火〜強めの火でサイズに応じて10〜20分を目安に加熱します(大きいタラバはやや長め)。
- 冷まし:ザルに上げて粗熱をとり、過加熱を防ぎます。風味を逃がしたくない場合は氷水に落とし過ぎないのがコツです。
- さばき:脚をひねって外し、キッチンバサミで関節間を割ります。甲羅を外してガニ(エラ)を除去、味噌を小鉢にまとめます。
- 仕上げ:脚殻を縦に入れ抜き出しやすくし、盛り付けます。味噌は酒や醤油少量で伸ばすと香りが立ちます。
簡単レシピ例:茹でる・蒸す・甲羅焼き
- 茹でガニ:ゆで上げ後、常温で落ち着かせレモンと塩でシンプルに。
- 蒸しガニ:少量の日本酒を振って10分前後蒸し、旨味を凝縮。
- 甲羅焼き:味噌に酒少量、脚身を刻んで和え、直火またはトースターで香ばしく。
よくある疑問:カニの種類や旬、分類についてのQ&A
食用カニの種類別Q&A
- Q. 日本で食べられるカニの主な種類は?
A. ズワイガニ、ベニズワイガニ、タラバガニ、毛ガニ、ガザミ(ワタリガニ)、モクズガニなどが流通しやすい代表例です。 - Q. 旬はいつ?
A. ズワイ・毛ガニは冬〜春が目安、ガザミは夏〜秋、モクズガニは秋に美味とされる地域が多いです。タラバは冬に需要ピークですが入荷次第で変動します。
分類・形態に関するQ&A
- Q. ズワイとタラバの違いは?
A. 分類が異なり、ズワイは真ガニ、タラバはヤドカリの仲間です。見た目は「見える脚の本数(ズワイ10本、タラバ8本)」が早見ポイントです。 - Q. 科って何を見ると分かる?
A. 甲羅の形状やトゲ、脚の比率、最後脚の形(遊泳脚の有無)などの総合観察で当たりをつけます。
地域別の漁獲・地方名に関するQ&A
- Q. 越前ガニと松葉ガニは別種?
A. いずれもズワイガニで、産地・市場のブランド名の違いです。 - Q. どの地域でどんなカニが多い?
A. 北海道〜オホーツクは毛ガニやクリガニ類、本州内湾はガザミ、日本海の深場はベニズワイ、駿河湾の深場はタカアシガニが代表的です。
信頼できる図鑑と参考資料:画像付き図鑑と地域情報サイト
大阪市立自然史博物館などの画像図鑑
形で覚えるには高品質な画像が不可欠です。大阪市立自然史博物館の「甲殻類(エビ・カニ)図鑑」は画像一覧性が高く、種の比較に役立ちます(参考:大阪市立自然史博物館 画像一覧 | 甲殻類図鑑)。
伊豆のダイビング情報サイトなど地域別の図鑑
地域の海に特化した図鑑は、現地で遭遇しやすい種にフォーカスされていてフィールド感覚が磨けます。たとえば「伊豆のカニ図鑑」では複数の科を横断して地域の出現種をまとまって確認できます(伊豆のダイビング情報サイト)。
当記事の更新日・筆者情報・出典リスト
更新日:2025-12-30
筆者:kani-tu編集部(カニ通販バイヤー歴・漁港取材の実地経験に基づく実用ガイドを発信)。編集部では毎シーズン、北陸・北海道の市場動向を確認し、ゆで加減やさばき方は実際の検品調理で検証しています。
出典:本記事中にて各図鑑ページを参照・引用しています。詳細は末尾「参考」をご確認ください。
\お得に旬のカニを手に入れたいあなたへ/
まとめ:図鑑で見分ける力をつけて次の観察へ
要点まとめ:科の輪郭を掴む→甲羅・ハサミ・脚の形で当たりをつける→地域と旬で候補を絞る→調理は塩3%・加熱し過ぎない、が実用のコアです。
次のアクション:まずは信頼できる画像図鑑で“形の基準”をインプットし、旬に合わせて実物(購入・観察)に触れてアウトプットを繰り返すと識別精度が上がります。現地観察では安全・ルール順守を徹底し、記録写真を撮って図鑑で復習する流れがおすすめです。








