失敗しないカニ飼育セット完全ガイド
最終更新日:2025-12-28
目次
カニ飼育セットの選び方:淡水カニと海水カニでは何が違うか
淡水カニと海水カニで変わる設備の違い
淡水カニは基本的に淡水環境、海水カニはマリンアクアリウム(人工海水を用いた海水水槽)を用意します。水槽ジャンル自体が異なるため、塩分管理器具や底床、ろ過方式まで変わります(tropica.jpの解説でも、淡水カニと海水カニで水槽セットの選び方が異なると整理されています)。
- 水質管理: 淡水はpH・硬度とアンモニア/亜硝酸の管理が中心、海水はそれに加えて塩分(比重)とアルカリニティの安定が重要です。
- 器具: 海水は比重計/屈折計、人工海水の素、場合によってプロテインスキマーやライブロックが必要になりがちです。淡水はパルダリウム構成にしやすく、流木・石・陸地パーツの設計が要になります。
- 底床: 淡水は砂利や細目ソイル、海水はサンゴ砂・アラゴナイト系が定番です。
この3点を明確にすると、最適な「カニの飼育セット」を過不足なく選びやすくなります。

購入前に確認すべきポイント(飼育種・スペース・予算)
- 飼育種の決定(淡水種か海水種か、完全水棲か半陸棲か)
- 設置スペース(45cm級が置けるか、メンテ作業スペースを確保できるか)
- 予算配分(本体・フィルター・底床・水質測定器・人工海水/調整剤・フタ・流木/石)
- 維持管理の頻度(週1の換水・塩分調整・蒸発補充などに時間を割けるか)
この3点を明確にすると、最適な「カニの飼育セット」を過不足なく選びやすくなります。

淡水カニに適した水槽とサイズの目安:なぜ45cm前後がおすすめか
初心者に向く45cmサイズの利点
水量が安定しやすく、水質の急変を起こしにくいことが最大の利点です。30cm級より余裕があり、陸地と水域をバランス良く作れます。
市販の外掛け/上部/投げ込み式フィルターやフタが豊富で、コストと入手性のバランスが良いサイズです。脱走防止のフタや配線の取り回しもしやすく、掃除やレイアウト変更の作業性にも優れます。
水深・陸地スペースの確保方法
- 半陸棲の淡水カニは「上陸できる面積」と「浅すぎない水域」の両立がポイントです。底上げ用のプレートや流木・岩でスロープを作り、水深は10〜20cm程度からスタートすると管理しやすいでしょう。
- 隠れ家は複数個所に分散し、視線が切れるレイアウトにすると縄張り争いのストレスを軽減できます。
- フタは必須です。ホースや配線の隙間まできちんと塞ぎ、夜間の脱走を防ぎます。
海水カニの飼育に必要なマリン水槽の準備と注意点
マリン水槽で必須の機器と消耗品
- 人工海水の素(海水の塩分・ミネラルを再現)
- 比重計(または屈折計):比重1.023〜1.026前後を安定維持
- 気象庁の塩分知識
- サンゴ砂・アラゴナイト砂、ライブロック
- ろ過フィルター(外部/上部/底面)
- RO/浄水器またはカルキ抜き
水道水は消毒のため残留塩素が含まれるため、除去して使用します。
蒸発で塩分が上がりやすいので、足し水は塩分を含まない真水で行い、比重を計測して調整します。立ち上げ初期はアンモニア→亜硝酸→硝酸塩のサイクルが安定するまで時間がかかるため、ろ過バクテリアの定着を待ちます。
クリーナーマグやピンセット、専用バケツを分けるなど、淡水と道具を共用しない運用がトラブルを減らします。
おすすめのカニ飼育セット比較(ジェックス カメの楽園450・水作 タートルファミリーフラットL・ジェックス サイレントフィット300)
ジェックス カメの楽園450の特徴と向く飼育者
45cmクラスで陸地が作りやすく、半陸棲の淡水カニ向けにレイアウトしやすいサイズ感が魅力です。付属のろ過や陸地パーツが扱いやすく、初めてのパルダリウム構成に適しています。
結論として、「45cmを置ける、自作よりセットの手軽さを優先したい」方におすすめです。
水作 タートルファミリーフラットLの特徴と向く飼育者
低水位運用を想定した形状で、上陸・日陰スペースを作り込みやすいのが特長です。フ flatで掃除がしやすく、カニの行動観察にも向きます。
適する人:「陸域を広く、浅めの水域で管理したい」「手入れのしやすさを重視する」方。
ジェックス サイレントフィット300の特徴と向く飼育者
30cmクラスのコンパクト水槽で、設置スペースが限られる環境や単独飼育の入門機として使いやすいモデル。静音性に配慮したろ過が選べる点が魅力です。
適する人:「まずは1個体で小さく始めたい」「作業スペースが狭い」方。
フィルター付きセットを選ぶメリット
- 初期費用と機材相性の時間を短縮
- ろ過容量と水槽サイズのバランスが取りやすい
- 換水頻度が安定し、水質事故リスクの低減が期待できる
よくある質問(FAQ)
- カニの飼育に1水槽何匹入れられる?
基本は1水槽1体を強く推奨します。縄張り性と脱皮時の無防備さからトラブルが起きやすく、特に狭い水槽では共食いリスクが高まります。どうしても複数飼育する場合は広い水槽、視線分断レイアウト、隠れ家の数>個体数、十分な餌を徹底してください。 - 淡水カニと海水カニの水槽は違う?
はい、根本的に異なります。淡水は淡水用のろ過・底床・水質調整、海水は人工海水・比重管理・サンゴ砂といった専用要素が必要です(tropica.jpの解説参照)。 - カニ飼育におすすめの水槽セットは?
スペースに余裕があるなら45cm級の「ジェックス カメの楽園450」、浅めで掃除しやすい構成なら「水作 タートルファミリーフラットL」、省スペース重視なら「ジェックス サイレントフィット300」を候補にすると選びやすいでしょう。 - カニが共食いする理由は?
縄張り争い、脱皮直後の防御不能、隠れ家不足、餌不足・栄養バランスの偏りが主因。単独飼育と十分な隠れ家、観察に基づく給餌で予防します。 - 初心者向けのカニ飼育セットは何?
半陸棲の淡水カニから始めるなら45cm級のろ過付きセットが無難。置き場所が限られるなら30cm級+しっかりしたフタと投げ込み/外掛けフィルターでシンプルに始める方法もあります。 - 飼育セット購入後の最初のセッティング手順は?
下の「具体的手順」を参照。洗浄→底床→水張りと調整→機器稼働→バクテリア定着→水合わせの順で進めます。
具体的手順:セットアップから日々の管理まで
購入後の初期セットアップ手順(立ち上げ〜水合わせ)
- 仮置きと水平確認:直射日光を避け、耐荷重のある台に設置します。
- 水槽・器具の洗浄:洗剤は使わず、ぬるま湯で軽くすすぎます。
- 底床とレイアウト:砂・石・流木で緩やかなスロープと複数の隠れ家を作ります。
- 注水と調整:
- 淡水:カルキ抜きで残留塩素を中和します。
- 海水:人工海水の素で作成し、比重1.023〜1.026を目安に合わせます。
- ろ過・ヒーター稼働:24時間以上運転し、水温・pH・アンモニア/亜硝酸を確認します。可能なら1〜2週間はバクテリアの定着期間を取りましょう。
- フタと脱走対策:配線や給餌口の隙間を塞ぎます。
- 水合わせ:点滴法などで30〜60分かけて水質差をならし、照明は弱めで導入します。
日々のチェック項目と給餌のコツ
- 毎日:行動・脱走防止・水位(蒸発)・比重(海水)・温度。
- 毎週:ガラス面清掃、底床の軽い掃除、部分換水(淡水・海水ともに20〜30%目安)。
- 給餌:少量を1〜2日に1回、食べ残しは早めに回収。動物性+植物性をバランスよく与えると脚の再生や甲羅の状態維持に役立ちます。
共食いを防ぐための配置と個体管理
- 原則「1水槽1体」。どうしても複数なら、視線が交差しないレイアウト、隠れ家の数を十分に、餌場も分散配置します。
- 脱皮個体を見つけたら他個体と隔離できる準備をしておくと安全です。
水槽レイアウト実例:流木・石で作る隠れ家とメンテナンスのコツ
流木・石を使った安全なレイアウト例
流木で縦方向の立体感を出し、根元に石を組んで洞窟状の隠れ家を複数作るのがおすすめです。鋭利なエッジはヤスリで面取りし、転倒防止に底面へ部分接着または重ねの重心を低くします。
市販の淡水カニ飼育セットでも、流木や石を足してレイアウト性と安心感を高める提案があります(Docomoの該当ページでも追加レイアウトが推奨されています)。
隠れ家の作り方と共食い対策としての配置
- 隠れ家は「見通しが利かない場所」を水槽の対角線上に複数設け、上からの視野も遮ると安心します。餌場は隠れ家近くに複数点。
- 水域と陸域の境目を緩やかな傾斜にして、脱皮前後でも楽に移動できる動線を確保します。
レイアウトを維持するための掃除・点検方法
- 週1でガラス面・流木のぬめりを軽く拭き、月1で深めの底床クリーニングを行います。
- 大規模レイアウト変更は換水と同日には行わず、ストレスを分散します。
- 転倒や崩落の兆候(ぐらつき)がないかを定期点検し、必要なら接点を補強します。
購入前チェックリストとこれから始める人への結論的アドバイス
購入前チェックリスト(種の確認・水槽サイズ・フィルター・レイアウト)
- 飼育するカニは淡水種?海水種?半陸棲?完全水棲?
- 設置スペースは45cm級が置ける?メンテ用の作業スペースはある?
- フィルターはセット同梱か?交換ろ材や消耗品の入手性は?
- 陸地・スロープ・隠れ家をどう作る?流木/石は十分?
- フタと脱走対策、比重計(海水)、カルキ抜き(淡水/海水)を準備した?
- 週1の換水と日々の点検に時間を割ける?
結論として、安定する水量・適切なろ過・確実な脱走防止・1水槽1体の原則を守ることが、カニ飼育セット選びの最重要ポイントと言えるでしょう。
筆者のひとこと(経験談): 筆者は初期にフタの配線穴を油断して脱走させた経験があります。以後はスポンジやプレートで完全に塞ぐ運用に変更し、トラブルが解消しました。小さな隙間でも通ると考えて対策するのがコツです。









