カニの脚の本数と部位を徹底解説

カニの脚は何本?構造と役割を解説

カニの脚は何本?見た目と基本数から知る特徴

  • 多くのカニは胸部に5対=合計10本の脚をもち、最前部の1対は鉗脚(ハサミ)で、残り4対が歩脚として主に移動に使われます(神奈川県立生命の星・地球博物館の解説およびWikipediaの総説を参照)。これが「カニの脚の基本形」と考えられます(神奈川県立生命の星・地球博物館/Wikipedia)。
  • 見た目のポイントは「ハサミが1対あるか」「後方の脚に特徴があるか」で、捕食や防御は鉗脚、移動や姿勢安定は歩脚が担い、種類によっては最後脚がパドル状になるなど明瞭な適応が見られます。
  • ショップや検索で用いられる「カニ の 脚」という表記では、可食部としての脚を指すことも多く、流通現場では「脚8本+爪2本(例:タラバガニ)」のように料理的な数え方で案内される点にも留意すると良いでしょう。

一般的な脚の本数(5対=10本)とは

甲殻類のうちカニ類は、胸脚が5対そろう「十脚類」の一群で、第一脚が鉗脚、その後方の4対が歩脚という配列が標準的です(神奈川県立生命の星・地球博物館/Wikipedia)。

例外的に外見上の本数が少なく見える種類もありますが、進化的には「5対」という設計が基本にあります。

外見で分かる脚の役割と配置

  • 太く発達した鉗脚は餌をつかむ・砕く・争いや防御に有利で、歩脚は体側に広がるように付き、横方向の推進と姿勢の安定性に寄与します。
  • 最後脚が扁平なパドル状なら遊泳適応、剛毛が密生していれば潜砂適応の可能性が高いなど、形から生活様式が読み解けます。
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カニの脚はどう構成されている?7つの節の名称と働き

カニの各脚は一般に7節で構成され、近位側から「基節(coxa)」「底節(basis)」「座節(ischium)」「腕節(merus)」「肘節(carpus)」「手節(propodus)」「指節(dactylus)」と呼ばれることが多いです。文献により「底節=亜基節」「座節=坐節」「肘節=前腕節」など表記揺れがある点は理解しておきましょう。

可動性は関節の組み合わせで決まり、肘節〜指節側は屈伸に適し、歩脚では手節・指節が接地や砂を掻く役を担い、鉗脚では手節と指節がハサミの刃を構成して把持・剪断力を生み出します。

脚を構成する7つの節(底節・基節・座節など)

代表的な並び: 基節 → 底節 → 座節 → 腕節 → 肘節 → 手節 → 指節

呼称は分野や翻訳で差が出るため、図示と対で確認すると理解が進みます。

各節の構造と可動性の違い

近位節は強固で可動域は小さめ、遠位節は軽く可動域が広いという傾向があり、歩脚では遠位側で微調整、鉗脚では遠位側で高い把持精度を発揮します。

鉗脚(ハサミ)と歩脚の違い:捕食・移動・隠蔽での使い分け

  • 鉗脚は発達した手節・指節で強力な把持・切断を行い、貝殻を割る、餌をつまむ、ライバルを威嚇するなど多用途に活躍します。一方、歩脚は細長い節構成で推進力と機動性を重視し、接地面を確保しながら横方向に効率よく動けるのが特徴です。
  • 多くのカニでは関節の向きと脚列の配置により、横歩きが最も効率的になります。
  • 隠蔽や巣作りでは、歩脚で砂や泥を掻き、鉗脚で素材を運ぶ・整えるといった役割分担が見られ、種類によっては藻や海綿を装飾してカモフラージュする行動も知られています。

鉗脚の構造と捕食・防御での役割

太い手節と可動式の指節が噛み合い、剪断と圧砕の両立を可能にします。大型化した片方の鉗脚を武器化する種もいます。

歩脚の形状と移動に適した特徴

節が横方向に屈伸しやすい配置で、左右同時に出す「カニ歩き」の安定性と加速性能を高めます。

脚を使った隠蔽や巣作りの例

砂泥底では歩脚の剛毛で砂を掻き、巣穴を補強する、胴体を素早く覆うなどの行動が観察されます。

遊泳脚を持つワタリガニ類の適応例

最後脚のパドルで水を掻き、短距離のダッシュと旋回が得意です。

歩脚が減るムツアシガニ科などの特徴

歩脚の一部が縮小・退化し、砂底での潜行や静的な隠蔽に適した体制を取ります。外見の脚数は少なく見えても、進化的な基本設計は十脚類に準じます。

タラバガニ等の脚数や形態の例外

タラバガニは第一脚が鉗脚、歩脚は外見上4対に見え、最末端の小型脚は甲羅下で鰓掃除などに使われます。流通では「脚8本+爪2本」と表現されることが多い点を覚えておくと便利です。

観察・調理で脚を見分けるコツと食用部位ごとの特徴

  • 野外観察や購入時、調理時に脚を確実に見分けるには、節の数と形、鉗脚の有無、最後脚の形状(パドル状か、剛毛の有無)をチェックします。甲羅との接続部を覗くと、縮小した末端脚の有無も確認しやすくなります。
  • 食用としての「脚」は、可食部の太さ・繊維感・甘みが種で異なります。ズワイガニはみずみずしい甘みと繊細な繊維、タラバガニは太い繊維で弾力ある食感が特徴と言われ、爪や爪下は旨味が濃く、棒肉は食べやすさに優れます。

観察時のチェックリスト(節の数、鉗脚の有無、遊泳脚の確認)

  • 鉗脚が左右対称に1対あるか
  • 最後脚が扁平(パドル)か、剛毛が密生しているか
  • 甲羅内側に小型の末端脚が隠れていないか(ライトで陰影を付けると見つけやすい)
  • 末端の手節・指節の形で「掴む型」か「掻く型」かを見分ける

ズワイガニ・タラバガニなどの脚の部位名と食感の違い

  • 爪・爪下:繊維が締まり、旨味が濃い部位です。天ぷらやバター焼きで存在感が際立ちます。
  • 棒肉(脚中央):ズワイは甘みが出やすく、しゃぶ用や刺しで人気、タラバはプリッと噛みごたえがあり焼き物に向きます。
  • 肩肉(付け根):筋膜がありほぐしやすく、サラダや蟹飯の具に重宝します。

脚数が分かりにくい場合の確認方法(甲羅との接続部など)

甲羅の縁を指でなぞり、脚の付け根の「間隔」を辿ると欠損や縮小脚の有無が分かります。水気を拭き取り、斜め上から光を当てると関節の凹凸が見えやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q: カニの脚は何本ある?
A: 基本は5対=10本で、第一脚が鉗脚、他が歩脚です(神奈川県立生命の星・地球博物館/Wikipedia)。
Q: カニはなぜ横歩きする?
A: 関節の向きと脚列の配置が横方向の推進を効率化するためです(生態学会ポスター要旨)。
Q: タラバガニの脚は何本?
A: 進化的には5対ありますが、末端の小型脚が隠れるため外見上は歩脚が4対に見え、「脚8本+爪2本」と案内されることが多いです。
Q: カニの脚の部位名と特徴は?
A: 爪・爪下は旨味濃い、棒肉は食べやすい、肩肉はほぐし用途に向きます。ズワイは甘み、タラバは弾力が持ち味です。
Q: 食用で美味しい部位は?
A: 生食・しゃぶならズワイの棒肉、焼き・バターソテーならタラバの棒肉、濃厚さ重視なら爪・爪下がおすすめです。

カニの脚の重要ポイント総括と参考文献(更新日・筆者情報)

この記事の要点を1分で確認

  • 基本形は5対=10本で、第一脚が鉗脚、他は歩脚です(公的資料と総説で一致)。
  • 脚は7節構造で、遠位側ほど可動性が高く、用途に応じて形が最適化されています。
  • 横歩きは関節の向きと脚列配置が生む合理的な結果で、移動効率に優れます。
  • ワタリガニの遊泳脚、ムツアシガニ科の縮小脚、タラバガニの隠れた末端脚など、生活様式に応じた多様な適応が見られます。
  • 観察や調理では、鉗脚の有無、最後脚の形、付け根の数と間隔をチェックし、食用では部位ごとの食感を活かす料理法を選ぶと満足度が高まります。

参考文献・出典(更新日と筆者)

更新日: 2025-12-26

筆者: 小西 亮(kani-tu.com コンテンツライター/甲殻類の調理・選別歴7年。毎冬の通販向け選別と自宅調理の経験に基づき、実用的な見分け方と食べ方のコツを解説します)

参考

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