カニと甲殻類の基礎知識と選び方

カニは甲殻類?種類・栄養・扱い方完全ガイド

最終更新日:2025-12-28

筆者:kani-tu.com編集部(海産物バイヤー歴8年)

ひと言メモ:市場での選別・通販仕入れ・自宅調理まで、毎冬数十種のカニを扱ってきた実体験に基づき、科学的根拠と実務のコツを両立させて解説します。

目次

カニはどんな甲殻類?食用としてよく見る種類と特徴

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カニと甲殻類の関係(分類の基本)

カニは節足動物門・甲殻類に属し、硬い外骨格と関節のある脚を持つことが基本的な特徴です(一般的解説としてWikipedia)。甲殻類の中でも、いわゆる「本来のカニ(短尾下目)」と、見た目はカニでも分類上はヤドカリに近い「異尾下目(例:タラバガニ)」がある点は知っておくと選び方の理解が深まります(Wikipediaの基礎情報を参照)。

代表的な食用カニの種類と見分け方(ズワイ、タラバ、毛ガニなど)

世界と日本の流通でよく目にするのは、ズワイガニタラバガニ毛ガニで、それぞれ漁法や旬、身質が異なります(FAOのカニ漁業解説、農林水産省の資源情報)。

  • ズワイガニ:脚が長く上品な甘みが特徴で、地域名(松葉・越前など)で呼ばれることがあります。甲羅背面が滑らかで細長い脚が目印です。
  • タラバガニ:分類上はヤドカリに近い甲殻類ですが、食用カニとして人気です。太い脚と迫力あるサイズが特徴で、殻のトゲが目立ちます(タラバガニの分類はWikipedia)。
  • 毛ガニ:濃厚な内臓(かにみそ)と繊細な身が魅力で、甲羅や脚に細かな毛が密生しています。小ぶりでも身詰まり重視で選ぶのがコツです。

漁期や禁漁期は地域・種で異なり、結果として「旬」や入荷時期もずれてきます(FAO、農林水産省)。

カニの体の構造と生活環(生息域、生態)

カニは成長に伴い脱皮を繰り返し、殻の硬化とともに身入りが変化します。生息域や繁殖期は種によって異なるため、市場での身詰まりや味わいの差にも直結します(農林水産省の資源解説)。硬い外骨格と関節脚という甲殻類の基本形質は、食味や扱い方を理解するうえでも重要です(Wikipediaの一般解説)。

カニの栄養価と健康リスク:たんぱく質・プリン体・アレルギーのポイント

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主な栄養成分(タンパク質、ビタミン、ミネラル)

カニは高たんぱく・低脂肪で、ビタミンB群や亜鉛・銅などのミネラルを含む食材です。脂質が少ない一方でうま味成分に富み、ヘルシー志向の食卓とも相性がよいでしょう(日本食品標準成分表の概要)。

プリン体含有量と痛風リスクの目安

カニにはプリン体が含まれるため、高尿酸血症や痛風の既往がある方は量と頻度に配慮が必要です。一般的な指導では、プリン体摂取量を1日あたり400mg以下に抑える目安が示されることが多く、アルコールや内臓類との組み合わせにも注意が促されています(関連学会・啓発情報)。体質や治療状況で適量は変わるため、主治医の指示に従って調整するのが安全です。

甲殻類アレルギー・重金属(メチル水銀など)の注意点

甲殻類アレルギーは重篤な症状を引き起こす場合があり、既往のある方は原材料表示の確認や少量での試験など慎重な対応が求められます(食品安全委員会)。また甲殻類の内臓部位は金属類が蓄積しやすいとされ、妊産婦や小児など感受性の高い方は過度の摂取を避け、信頼できる流通や適切な加熱を心がけると安心です(食品安全委員会の食品安全一般情報を参照)。

市場で失敗しないカニの選び方と家庭での保存方法

生ガニ・茹でガニそれぞれの鮮度の見分け方

  • 活ガニ(生):脚の力強い動き、甲羅のツヤ、持ち上げたときの重量感が目安です。弱々しい動きや異臭は避けましょう(農林水産省の鮮度ガイド)。
  • 茹でガニ:殻に自然なツヤがあり、酸化臭やアンモニア臭がないものを選びます。脚先まで身が詰まっていると重みが違います(農林水産省の消費者向け情報)。

産地表示・漁獲時期(旬)で選ぶポイント

産地や漁獲時期の表示は基本のチェックポイントです。禁漁・解禁のサイクルは種と海域で異なり、身入りの良い時期を狙うと満足度が高まります。信頼できる表示とトレーサビリティのある店舗・通販を選ぶとよいでしょう(農林水産省、FAOの資源情報の考え方)。

買ってからの冷蔵保存・冷凍で長持ちさせる方法

  • 冷蔵(短期):茹でガニは新聞紙やキッチンペーパーで包み、密閉してチルド帯で1〜2日を目安に早めに食べ切ります。ドリップを吸わせると風味が保たれます。
  • 冷凍(長期):可能なら内臓を外し、水分を拭いてラップ+二重の冷凍袋で急速冷凍します。殻付きのまま空気を抜くと乾燥を防げます(農林水産省・食品の保存方法)。
  • 解凍:低温でのゆっくり解凍(冷蔵庫)または流水の短時間解凍が基本で、再凍結は品質を損ねやすいため避けましょう(公的ガイドライン)。

注記:本文内の「FAO・農林水産省・Wikipedia等」の情報は該当の出典へリンク・参照されます。適量・適温・衛生管理は地域の最新ガイドラインに従ってください。

家庭でできるカニの下処理とさばき方:安全で簡単な手順

必要な道具と衛生・安全上の注意(手袋、まな板、加熱の注意)

厚手のキッチン手袋、滑り止め付きまな板、キッチンばさみ、出刃包丁または貝割り、ピンセットを準備します。生食を避け、中心部まで十分に加熱することが食品衛生上重要です。一般的な加熱の目安として、中心温度の十分な上昇(例:75℃で1分相当)が推奨される場面があり、加熱不十分を避けましょう(食品安全委員会の衛生情報)。刃物の扱いとやけど防止の基本も徹底してください(民間の調理安全ガイド参照)。

茹でガニの下処理手順:殻の割り方・内臓の取り方・身の取り出し方

下準備:甲羅表面を流水で軽く洗い、作業台を清潔に整えます。

  • 殻割り:脚の関節ごとにキッチンばさみで切り分け、甲羅はへら状の器具で少しずつこじ開けます。手を切らないよう手袋を活用します(民間の調理安全ガイド)。
  • 内臓処理:甲羅を外し、えら(ガニ)を除去。内臓は用途に応じて取り分け、異臭がある場合は廃棄します。
  • 身出し:脚は殻の両辺を縦にハサミで開き、棒肉を崩さないように取り出します。胴肉はスプーンで優しくかき出すと形を保ちやすいです。
  • 仕上げ:必要なら氷水で短時間冷やして水気を切り、風味を整えます(食品安全委員会の加熱・冷却の一般的考え方)。

活きガニ(生)の扱い方:締め方と衛生的な処理の流れ

  • 締め方:氷水で一時的に動きを弱め、安全に作業できる状態にします。必要に応じて下処理前に加熱してからさばく方法が家庭では安全です(食品安全委員会のリスク低減の考え方)。
  • 洗浄:泥や汚れをブラシで落とし、えら周りを特に清潔にします。
  • 加熱:沸騰した塩湯でサイズに応じて適切に加熱し、中心までしっかり火を通します。
  • 清潔区分:生の処理区画と加熱後の区画や器具を分け、二次汚染を防ぐのがポイントです(食品安全委員会、民間調理安全ガイド)。

カニ資源の現状と選ぶときの環境配慮(MSC認証など)

主要カニ資源の漁獲状況と管理(国内外の例)

カニ漁業は国・海域ごとに資源評価と管理が行われ、禁漁期やサイズ制限、漁獲枠などのルールで持続性を確保しています。世界的な動向や各漁業の枠組みを把握するうえで、国際機関や各国当局の情報は有用です(FAOのカニ漁業、農林水産省の資源情報)。

MSCなどの漁業認証とは何か、認証の見方

MSC(Marine Stewardship Council)は、持続可能な漁業かどうかを第三者が評価する国際的なエコラベルで、資源状態・生態系影響・管理体制の三本柱で審査されます。製品やメニューのロゴ表示を確認すると、環境配慮の判断材料になります(MSC公式サイト)。

消費者としてできる持続可能な選び方

  • 認証製品(MSCなど)を優先する。
  • 解禁期・サイズ規制の順守を掲示する信頼できる事業者を選ぶ。
  • 必要量を適量購入し、食品ロスを減らす。

よくある質問(FAQ):カニの保存・アレルギー・調理の疑問に答えます

  • カニは甲殻類ですが、他の甲殻類(エビなど)と同じアレルギー反応が出ますか?
    甲殻類アレルギーは交差反応が起こる場合があり、個人差も大きいとされています。既往がある方は医師に相談し、初回はごく少量から慎重に試すのが安全です(食品安全委員会)。
  • カニはプリン体が高いと聞きますが、どのくらいまでなら食べても大丈夫ですか?
    体質や治療状況で適量は異なります。一般的な目安として、プリン体摂取量を1日400mg以下に抑える指導が用いられることがありますが、主治医の方針を最優先してください(関連学会)。
  • 活きカニを自宅で調理する際の安全な締め方や下処理の基本は何ですか?
    氷水で動きを弱めてから、十分な加热を前提に下処理するのが家庭では安全です。生肉と加熱後の区画・器具を分け、中心までしっかり加熱してください(食品安全委員会)。
  • 冷凍カニの正しい解凍方法と保存期間の目安を教えてください。
    冷蔵庫での低温解凍または短時間の流水解凍が基本で、再凍結は避けます。保存は急速冷凍・密閉が鍵で、家庭では1カ月程度を目安に早めの消費をおすすめします(農林水産省の保存ガイド)。

実践チェックリスト:カニを安全に美味しく楽しむための結論

買う前のチェック(鮮度・産地・旬)
1) 産地と漁獲時期の表示を確認する。
2) 活ガニは脚の力強さとツヤ、茹でガニはツヤと無臭を重視。
3) 身詰まりと重量感を手掛かりに選ぶ(MAFF)。

家庭での保存・下処理の手順要約(即実践できる項目)
1) 短期は冷蔵で早めに消費、長期は内臓を外し急速冷凍・二重包装。
2) 解凍は冷蔵庫で低温に。
3) 下処理は手袋・区分け・中心まで加熱の三原則(FSC)。

栄養と健康リスクの押さえどころ
高たんぱく低脂肪でミネラル豊富(成分表)。プリン体は量と頻度を管理し、アレルギー既往がある場合は慎重に(学会・食品安全委員会)。

環境配慮の選び方
MSCなどの認証やトレーサビリティの確かな事業者を選ぶ。必要量だけ買い、食品ロスを減らす(MSC)。

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最後に:カニや甲殻類を安全に楽しむ要は「正しい選び方」「適切な保存」「中心までの加熱」です。上のチェックを手元に、旬の一杯を安心して味わってください。

参考