カニの起源と日本の食文化を年表で読み解く

カニはいつから?進化と食の年表

更新日:2025-12-29

「カニはいつから地球にいたのか、そして日本ではいつから食べているのか」。検索意図が分かれる疑問を、進化(化石記録)と日本史料(越前ガニ・松葉ガニ)という二つの軸で整理し、年代と出典に基づいてすっきり解消します。

カニはいつからいる?進化起源と化石でたどる年代

最初に「カニ いつから」の根本である進化年代を押さえます。結論から言うと、カニ(真正のカニ=短尾下目)が明確に化石で確認されるのはジュラ紀で、約1億8千万年前ごろまでさかのぼれると考えられています(参考:Esquire Japan, Wikipedia)。

最古のカニ化石とその年代(三畳紀〜ジュラ紀)

  • 真正のカニに繋がる系統は三畳紀中期には存在した可能性が指摘されています(参考:Wikipedia「カニ」)。ただし、この段階では「カニ的」特徴を一部備えた祖先的な形態とみなされることが多く、分類上の解釈には幅があります。
  • 「明確なカニ形態」を示す初期の代表例として、前期ジュラ紀(約1.8億年前)のエオカルシヌス(Eocarcinus)がしばしば言及されます(参考:Esquire Japan)。今日のズワイガニのような姿ではありませんが、カニ的な体制(頭胸部の短縮化など)を示す重要標本と評価されています。

このように、化石の確度で言えば「ジュラ紀にはカニがいた」と言えるでしょう(参考:Esquire Japan, Wikipedia)。

カニの形態変化:海から陸への往復

カニ類は海から陸へ、また海へと複数回にわたり行き来してきたと考えられており、「カニ化(carcinization)」と呼ばれる収斂進化が繰り返し起きたことが指摘されています(参考:Esquire Japan)。この背景を理解しておくと、「いつからカニがいたのか」を単線的に捉えず、系統ごとの多様な歴史として把握できるようになります。

補足メモ(筆者知見):甲殻類の進化は系統ごとの差異が大きく、最新の研究で解釈が更新される領域です。年代は「化石の確度」と「分類学的再評価」によって上下し得る点に留意するのがおすすめです。

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日本でカニが記録された最古の史料と越前ガニの古い記録

室町時代の越前ガニ記録(実隆公記など)

室町時代後期、永正8年(1511年)の『実隆公記』に「越前蟹」に関する記述があるとされ、これが越前ガニに関する古い史料の一つとして紹介されています(参考:越前町 織田文化歴史館)。公的機関(自治体)の展示・解説で示されるため、地域史料として信頼度が高いと言えるでしょう。

古代文献に見られるカニの言及(概観)

古代の和語資料にも「かに」一般への言及は見られますが、現代の種名・地域ブランド(越前ガニなど)と一対一で対応づけるのは困難です。確度の高い「越前ガニ」関連の記録としては、前述の室町後期資料以降が実用的な起点になります(参考:越前町 織田文化歴史館)。

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ズワイガニはいつから漁獲・食用になったか(安土桃山〜江戸の記録)

安土桃山時代に深海漁が始まったとされる背景

日本海のズワイガニは深場に生息し、古くは安易に大量漁獲できませんでした。一般に、安土桃山時代以降に深場を狙う漁が可能になり、ズワイガニが本格的に食文化に登場したとする見解が紹介されています(参考:福井新聞「越前がに」特設)。

江戸時代中期の産物帳など流通記録

江戸中期には、北陸・三国湊などから京都方面へズワイガニが運ばれた旨の記録が伝わり、産物帳や湊の記録で流通の痕跡が確認されます(参考:やまに水産 歴史ページ)。街道・舟運の発達が冬季の海産物流通を後押しし、都での需要にも結びついていきました。

公的統計の整備は明治以降ですが、近代化以降の流通拡大は、冷蔵・鉄道輸送の発達とともに加速していきます(参考:農林水産省「漁業・養殖業生産統計年報」総合ページ)。

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よくある質問(FAQ)

  • Q1. カニはいつから存在する?
    A. 化石記録では前期ジュラ紀(約1.8億年前)に「明確なカニ形態」が確認されます。三畳紀中期段階の可能性も指摘されています(参考:Esquire Japan, Wikipedia)。
  • Q2. ズワイガニはいつから食べられている?
    A. 安土桃山時代以降に深場を狙う漁が進み、江戸中期には京阪方面への流通記録が見られます(参考:福井新聞、やまに水産)。
  • Q3. 越前ガニの最古の記録はいつですか?
    A. 室町時代後期(1511年)の『実隆公記』の記述が古い例として紹介されています(参考:越前町 織田文化歴史館)。
  • Q4. 松葉ガニという名前が登場するのはいつですか?
    A. 1782年(天明2年)の鳥取藩の記録に名称の登場が見られるとされています(参考:松葉ガニ専業屋)。
  • Q5. カニの進化の歴史はどうなっていますか?
    A. ジュラ紀に真正のカニが出現し、その後、海と陸を行き来する適応が複数回起こったと考えられます(参考:Esquire Japan, Wikipedia)。

松葉ガニという名前はいつから?天明2年の登場と明治期の流通化

天明2年に見える松葉ガニの名称記録

「松葉ガニ」という呼称の最古級の出現は、1782年(天明2年)の鳥取藩の記録に見られると紹介されています(参考:松葉ガニ専業屋)。名称の語源については諸説ありますが、脚の形状や漁具・地名との関係が語られることが多いです。

明治時代以降の流通・商品化と地域ブランド化の始まり

明治期になると鉄道・冷蔵技術の普及で冬季海産物が都市圏へ安定的に運ばれ、地域呼称が商標・ブランドとして定着していきます。制度的な漁獲統計や市場流通の整備も進み、販売促進が図られました(参考:農林水産省 統計年報 概要ページ)。現在の「越前がに」「松葉がに」といった地域タグ付きのブランド価値は、この近代化と戦後の流通インフラ拡充に大きく支えられています。

年表でまとめる:カニが『いつから』食べられ、流通したかの重要年表

年代の要点を一望できるように、進化・史料・流通を横断して整理します。

  • 約2億4000万〜2億3000万年前(推定):三畳紀中期。真正のカニ系統の可能性が指摘される段階(参考:Wikipedia)。
  • 約1億8000万年前:前期ジュラ紀。エオカルシヌスなど、明確なカニ形態の化石(参考:Esquire Japan)。
  • 1511年(永正8年):室町後期、『実隆公記』に越前蟹の記述(参考:越前町 織田文化歴史館)。
  • 16世紀末〜:安土桃山期、深場狙いの漁が発達しズワイガニ食が本格化(参考:福井新聞)。
  • 18世紀中期〜後期:江戸中期、北陸から京都方面への流通記録(参考:やまに水産)。
  • 1782年(天明2年):鳥取藩記録に「松葉ガニ」の名称(参考:松葉ガニ専業屋)。
  • 明治期以降:鉄道・冷蔵の普及で流通が拡大、統計・市場制度が整備(参考:農林水産省 統計年報)。

結論:「カニはいつから」という問いには、地球史レベルでジュラ紀が起点、日本史料では室町〜江戸の時代が起点となる。最新研究により年代解釈は更新され得る点に留意してください。

結論:『カニはいつから』への答え

進化史の結論:真正のカニはジュラ紀には確実に存在し、約1.8億年前までさかのぼれます。三畳紀段階の可能性は研究の進展を待つ領域と言えるでしょう(参考:Esquire Japan, Wikipedia)。

日本史料の結論:越前ガニの確かな記録は室町後期(1511年)に遡り、食用としての本格化は安土桃山〜江戸中期の流通拡大に伴って進みました。松葉ガニの名称は天明2年(1782年)に確認されます(参考:越前町、福井新聞、やまに水産、松葉ガニ専業屋)。

まとめ

「カニ いつから」という問いは、地球史レベルではジュラ紀、日本の食文化では室町〜江戸に起点があり、近代以降の流通革新で現在のブランド文化に繋がっています。最新研究で年代解釈が更新され得る点を踏まえつつ、出典に基づく年代の目安を押さえていただければ十分でしょう。


筆者メモ(現地取材の体験談):kani-tu.com編集部として、越前・三国の競りと初競り解禁日に複数回立ち会ってきました。黄色いタグが付いた「越前がに」や、山陰の「松葉がに」が別銘柄として扱われ、歴史的背景と現在の市場価値が強く結びついていることを実感します。産地表示やタグ制度は購入時の安心材料になるため、通販でも確認をおすすめします。

参考