カニは何類?分類・見分け方の完全ガイド
目次
「カニは何類?」という疑問 — この記事でまず知れること
検索意図の整理:何を知りたいか
「カニは何類?」や検索キーワード「カニ は 何 類」で調べた方の多くは、ズワイガニやタラバガニの“仲間分け”を正しく理解したい、写真や現物から“本物のカニ”かどうか見分けたい、さらに世界・日本でどのくらいの種類がいるのかを把握したい、といった疑問をお持ちでしょう。
この記事の構成と重要ポイントの先読み
本記事では、カニの分類学的位置(節足動物門→短尾下目)を明確化し、外見的特徴と生息環境、種数の目安、そして実物や写真での見分け方までを、信頼できる資料に基づき要点整理します。最短結論は「食用で“カニ”と呼ばれても、タラバガニは“ヤドカリの仲間”で、真正の“カニ”は短尾下目(Brachyura)です」ということです。
\お得に旬のカニを手に入れたいあなたへ/
カニの分類学的位置:節足動物から短尾下目(Brachyura)まで
節足動物門 → 甲殻亜門 → 軟甲綱 → 十脚目の系統
カニ類は一般に、節足動物門 Arthropoda/甲殻亜門 Crustacea/軟甲綱 Malacostraca/十脚目 Decapoda/抱卵亜目 Pleocyemata/短尾下目 Brachyura に属すると整理されます。この系統位置づけによって、“真正のカニ”がどのグループかを学術的に明確化できます。
短尾下目(Brachyura)の定義とヤドカリ類との関係
短尾下目は、腹部(尾部)が短く折りたたまれて甲の下に収まる形態が特徴で、同じ抱卵亜目内のヤドカリ下目(Anomura)と姉妹関係にあると説明されます。つまり、見た目が似ていても短尾下目(真正のカニ)と、タラバガニに代表されるヤドカリ下目(異尾類)は系統的に別物だと理解できます。
外見でわかるカニの特徴:甲羅・10本の脚・短い尾
堅い甲羅(外骨格)とその役割
カニは硬い外骨格(甲羅)で体を守り、脱皮を繰り返しながら成長します。甲羅は捕食者からの防御や水分保持に役立ち、形状は種の同定にもヒントを与えます。
脚は5対(計10本)であること
十脚目という名の通り、基本は5対10本の脚をもち、前方の1対は鉗脚(はさみ)として発達します。真正のカニでは、鉗脚の後ろに4対の歩脚がはっきり見えることが多いのが現場の目安です。
尾が短く、メスが腹部で卵を抱える習性
短尾下目の名の通り腹部(尾)が短く、甲の下に折り込まれます。抱卵亜目の特徴として、メスが腹肢に卵を抱えて保護する習性が広く見られます。
世界のカニの種数と分類の多様性:研究による差はなぜ生じるか
全世界の推定種数(研究ごとの違い:約6560種〜約6800種)
世界の“カニ(短尾下目)”の既知種数は文献により幅があり、おおむね約6,560〜約6,800種程度と見積もられます。数値が揺れる主因は、新種記載の継続と系統解析の進展に伴う分類改訂(統合・分割)が続いているためだと解釈できます。
上科・科の主要グループと分類上の論点(分類が定まらない例)
Portunoidea(ワタリガニ上科)、Grapsoidea/Eriphioidea(岸辺性のカニを多く含む群)、Ocypodoidea(スナガニ・シオマネキ類)など主要上科に分かれますが、分子系統学の進展で再編が起きやすく、上科・科の境界が見直されることがあります。研究途上のため、最新の総説やカタログに当たる姿勢が大切です。
生息環境別に見るカニの暮らし方:水生・半陸生・陸生の違い
完全水生のカニの例と特徴
外洋・沿岸・河口・淡水域など、水域を中心に生活する種が多数派で、泳脚をもつワタリガニ類のように游泳性に適応したタイプもいます。
半陸生(潮間帯や陸縁を利用する種)の生活様式
干潟や岩礁の潮間帯では、満潮・干潮に合わせて巣穴や石下を利用し、水際と陸を行き来する半陸生の暮らしが見られます。行動は潮汐や気温・湿度に強く影響されます。
陸生カニの呼吸と環境適応(鰓呼吸の限界)
多くのカニは鰓呼吸で、陸上生活に適応した種でも鰓室を湿らせてガス交換できる環境が必要です。乾燥は致命的になり得るため、夜間活動や巣穴での待機など、水分保持に有利な行動をとる傾向があります。
日本で見られる身近なカニの例:代表的な科と観察記録
日本産の代表的な科とよく目にする種
- ワタリガニ科(Portunidae):ガザミなど、遊泳に適した後脚を持ち、食用としても身近です。
- スナガニ科(Ocypodidae):スナガニやシオマネキ類が潮間帯の砂浜や干潟で見られます。
- サワガニ科・近縁(Potamidae ほか):サワガニのように淡水域に適応した陸水性の種。
- Varunidae など:モクズガニ(上海ガニの近縁)など河口・汽水域で目立つグループ。
都市域や沿岸での観察記録
都市圏でも意外に多様性が確認され、名古屋市のまとめでは、市内で12科43種のカニ類が記録されています。都市近郊でも潮間帯や河口域の保全が多様性維持に重要だとわかります。
よくある質問(FAQ)
Q1. カニは何の仲間?
A. 節足動物門の甲殻類で、真正の“カニ”は十脚目・抱卵亜目・短尾下目に属します。ヤドカリは同じ十脚目でもヤドカリ下目で、姉妹群と考えられています。
Q2. タラバガニは本物のカニ?
A. いわゆる“タラバガニ”はヤドカリ下目(異尾類)に属し、真正のカニ(短尾下目)ではありません。食卓では“カニ”として扱われますが、系統学上はヤドカリの仲間です。
Q3. カニの種類は何種いる?
A. 文献により幅があり、おおむね約6,560〜約6,800種と見積もられます。新種記載や分類改訂が続くため、数値は更新されやすいと考えられます。
Q4. カニは陸上で生きられる?
A. 鰓呼吸のため湿り気が必要で、完全な乾燥環境は苦手です。陸生・半陸生の種は鰓室を湿らせる工夫や行動で適応しています。
Q5. カニとヤドカリの違いは?
A. 真正のカニは腹部が短く甲の下に畳まれ、歩脚が4対はっきり見えます。ヤドカリは腹部が柔らかく非対称で貝殻などを利用し、末端の脚が小さく見えにくい種が多いのが実地の相違点です。
進化の話:なぜ何度も「カニ化(カーシニゼーション)」が起きるのか
カニ化(カーシニゼーション)の定義と代表例
“カニ化”とは、系統的に離れた甲殻類の複数系統で、甲が横に広い“カニのような体型”が独立して何度も進化する現象を指します。タラバガニ(ヤドカリ下目・異尾類)やカニダマシ類など、真正のカニではないのに“カニっぽい”形に収斂する例が知られています。
進化的・形態的要因と分類上の扱い
横に広く低い体と発達した鉗脚は、岩礁や潮間帯での隙間利用・防御・採餌に有利だと考えられ、環境圧のもとで似た最適解に収束すると解釈されます。見た目の収斂があるため、“名前や見た目”だけで分類する危うさに注意が必要です。
写真や観察で判断する方法:タラバガニやヤドカリは本当に『カニ』か見分ける手順
外見チェックリスト:甲羅・脚の数・尾の形を順に確認する
– ステップ1(脚の見え方):鉗脚のほかに歩脚が左右4対(計8本)しっかり見えるかを確認します。4対が明瞭なら“真正のカニ”の可能性が高まります。
– ステップ2(腹部/尾):腹部が短く甲の下に畳まれているか、雌では腹部が幅広く卵を抱えられる形かを確認します。
– ステップ3(甲羅の形):横長で扁平、前方に鋸歯状の突起(トゲ)があるかなど、属・科の特徴をチェックします。
– ステップ4(生活様式):貝殻を背負う、末端の脚が極端に小さく甲の下に隠れる、といった“ヤドカリ的”特徴の有無を見ます。
注意点として、十脚類はいずれも“10本”の脚を持ちますが、ヤドカリ下目では後ろの脚が小さく甲の下に隠れやすく、写真では“8本しかないように見える”ことがあります。見え方に惑わされず、“後肢が縮小・隠蔽されやすいか”という観点で確認すると失敗が減ります。
タラバガニ(ヤドカリ寄りの種類)とヤドカリの見分け方の実例
– タラバガニ類(ヤドカリ下目・異尾類):末端の脚が小さく、甲の下に隠れて見えにくいことが多い点が実地の識別ポイントです。腹部は非対称的で、真正のカニほど“短く一様に畳まれた”印象ではありません。
– 真正のカニ(短尾下目):歩脚4対が明瞭に外側へ張り出し、腹部は短く確実に甲の下へ収まります。貝殻を背負う習性はありません。
覚えておきたい結論:カニは何類に属し、どこを見ればわかるか
要点の短いまとめ(分類・特徴・生息環境・種数)
分類:真正の“カニ”は十脚目・抱卵亜目・短尾下目(Brachyura)。ヤドカリ類はヤドカリ下目で姉妹群。
特徴:硬い甲羅、鉗脚+歩脚4対の外見、短く畳まれた腹部、メスの抱卵。
生息:海・河口・淡水・陸上まで多様だが、鰓呼吸のため湿り気が不可欠。
種数:世界でおおむね約6,560〜約6,800種と見積もられ、研究更新で変動します。
見分け:歩脚の“見え方”と腹部の形・貝殻利用の有無を確認すると実用的です。
筆者:かに通 編集部(甲殻類取材歴15年・沿岸観察と市場取材を継続、学術資料と現場の両面から“食としてのカニ”と“生きものとしてのカニ”を解説します)
参考











