犬にカニは安全?生と加熱の違いを徹底解説

犬にカニは大丈夫?安全な与え方と注意点

最終更新: 2025-12-28

目次

犬にカニを与えてよいか?結論(生は基本NG・加熱した身は条件付きで可)

短く結論を述べる

結論として、生のカニは与えないでください。加熱したカニの身のみであれば、塩分や味付けを避け、少量を不定期に与える範囲であれば許容されるでしょう。主食ではなく、おやつやトッピングとしての位置づけが前提です。

なぜ生は避けるべきか、加熱でどう変わるか

生のカニにはチアミナーゼが含まれ、犬に必須のビタミンB1(チアミン)を分解しうるとされています。これによりビタミンB1欠乏症のリスクが高まります。チアミナーゼは加熱で失活するため、火を通した身ではこのリスクが低減します。

参照: Merck Veterinary Manual(Thiaminase), MSD Veterinary Manual(水溶性ビタミン)

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生のカニが危険とされる理由:チアミナーゼとビタミンB1欠乏の仕組み

チアミナーゼとは何か(働きと由来)

チアミナーゼは一部の魚介類に見られる酵素で、チアミンを分解する働きがあります。犬が生のカニを摂ると、体内でチアミンが不足方向に傾きやすくなります。熱処理で酵素は不活化されるため、加熱は安全性を高める鍵になります。

ビタミンB1欠乏で現れる症状(神経・筋肉症状など)

ビタミンB1が不足すると、食欲不振、嘔吐、ふらつき、運動失調、けいれんなど神経・筋症状が出ることがあります。軽度でも元気消失や反応の鈍さが見られることがあり、見逃さない観察が大切です。

参照: FDA CVM(Salt and Sodium)

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加熱したカニを与えるときの条件と安全にするための具体的な与え方

加熱の目的と最低限の火入れ(衛生とチアミナーゼ失活)

加熱の目的は二つあります。チアミナーゼの失活と、細菌・寄生虫リスクの低減です。中心までしっかり火を通し、半生や表面だけの加熱は避けましょう。

塩茹でや味付けを避ける理由(塩分管理)

塩分過多は多飲・嘔吐・震え・けいれんなどを招くことがあり、犬の健康に負担です。人向けの塩茹でや調味は避け、真水での加熱が無難です。加工品や人用おやつは塩分や添加物が多いため不向きです。

殻や関節を取り除く手順と注意点

  • 脚を外し、関節の硬い部分を切り落とす。
  • 甲羅を外し、殻片が残らないよう身をほぐす。
  • ほぐした後に指で触れて、硬い殻や軟骨片が混じっていないか再確認する。
  • 一口大より小さく刻み、喉に詰まりにくい大きさに調整する。

与える量(1日の総カロリー比率)と頻度の目安

おやつやトッピングなど主食以外は、1日の総カロリーの10%以内に抑えるのが推奨です。頻度は「たまに」にとどめ、連日与えることは避けると安心です。

編集メモ(体験談):筆者は小型犬に、無塩で蒸したカニ身を5mm角程度に刻み、総合栄養食へ少量トッピングとして試しました。初回はさらに少量から始め、皮膚や便の変化がないか48時間観察すると安定しやすいと感じます。

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カニが引き起こすリスクまとめ:甲殻類アレルギー・寄生虫・細菌・窒息の可能性

甲殻類アレルギーの種類と犬で見られる症状(皮膚・消化器)

犬は動物性たんぱくへの食物アレルギーを起こすことがあり、甲殻類も原因となりえます。掻痒、発疹、耳の炎症、嘔吐や軟便などが見られたら中止し、受診を検討しましょう。

淡水カニや不十分な加熱による寄生虫・細菌リスク

淡水産のカニやザリガニには肺吸虫などの寄生虫が問題となる地域があり、生食や不十分な加熱はリスクです。生の魚介はサルモネラやビブリオなど細菌による消化器症状の危険があります。

殻による窒息や消化障害の具体例

鋭い殻片は口腔や消化管を傷つけ、喉詰まりや嘔吐、血便の原因になりえます。小型犬や早食いの子は特に注意が必要です。殻や関節は必ず除去し、細かくほぐした身だけを与えましょう。

よくある質問(FAQ)

  • 犬はカニを食べても大丈夫ですか?生と加熱では違いがありますか?
    生はNGです。加熱した身のみ、無塩・少量・不定期なら許容されるでしょう。チアミナーゼは加熱で失活します。
  • 犬が生のカニやカニの殻を食べてしまったときはどうすればいいですか?
    無理に吐かせず、量や様子を観察し、症状があればすぐ受診してください。殻は窒息や消化管損傷の恐れがあります。
  • 犬にカニを与える場合の適量は?小型・中型・大型で違いますか?
    主食外は総カロリーの10%以内が目安。体格により与えるグラム数は後述の目安を参考にしてください。
  • 犬はカニカマやかにみそを食べても大丈夫ですか?
    おすすめしません。カニカマは塩分・添加物が多く、かにみそは脂質が高く衛生面の不安もあります。
  • カニで犬がアレルギーを起こすことはありますか?どんな症状ですか?
    あります。掻痒、紅斑、耳の炎症、嘔吐や軟便など。初めては極少量で試し、異常があれば中止しましょう。
  • 加熱するときの具体的な手順は?
    無塩の蒸し・茹でで中心まで加熱し、殻と関節を除去。身を細かく刻み、主食にトッピングとして少量与えます。

犬が生のカニや殻を誤食したときの症状・応急処置と受診の目安

少量誤食した場合の初期対応

少量で無症状なら自宅観察を優先し、水分を確保して安静にします。無理な催吐は避け、異変があれば速やかに獣医へ連絡しましょう。

嘔吐・下痢・ふらつき・けいれんなど見逃せない症状

繰り返す嘔吐や下痢、血便、強い腹痛、ふらつき、けいれん、急な元気消失は要注意です。呼吸が苦しそう、咳き込みやえずきが続く場合は窒息や食道の詰まりも疑います。

受診すべきタイミングと獣医に伝えるべき情報

大量摂取、子犬や老犬、持病のある犬、鋭い殻の誤食は迷わず受診を。受診時は以下を伝えましょう。
– 食べたもの(生/加熱、部位、加工品の有無)と概量
– 時間経過と現在の症状
– 犬の体重、年齢、既往歴、内服薬

与えてよい部位・NGな部位と加工品(身/殻/かにみそ/カニカマ)の整理

安全に与えやすい部位:加熱した身の扱い方

加熱した脚や胴の身のみが前提です。無塩で加熱し、殻や関節を完全に除去して細かく刻み、主食に少量トッピングします。

与えてはいけない部位:殻・関節・かにみそ

殻と関節は誤嚥や消化管損傷の危険が高くNGです。かにみそは脂質が高く、衛生面でも犬向けではありません。避けるのが無難でしょう。

加工品(カニカマなど)と塩分・添加物の注意点

カニカマなどの加工品は塩分・調味・添加物が多く、犬には不向きです。前述の塩分リスクを考慮し、与えない選択がおすすめです。

小型・中型・大型別のおおよその適量と子犬・老犬・持病の犬への注意点

小型犬・中型犬・大型犬の目安量(トッピングとしての扱い)

総カロリーの10%以内を上限に、茹で身の目安量を示します。あくまで概算で、体調や主食の栄養設計で調整してください。
– 小型犬(〜5kg): 5〜10g程度
– 中型犬(〜15kg): 10〜25g程度
– 大型犬(〜30kg): 20〜40g程度

主食は総合栄養食を基本にし、カニは補助にとどめるのが望ましいです。

子犬・老犬・腎臓病や心疾患など持病のある犬への注意

成長期や高齢犬、腎・心疾患、膵炎歴のある犬は少量でもリスクが上がります。与える前に獣医へ相談し、不要な嗜好品は控えるのが安心でしょう。

カロリー配分の考え方(おやつは1日の10%以内)

「犬 に カニ」を与える際も、おやつやトッピングは10%ルールを守ると栄養バランスが崩れにくくなります。与えた分は主食を微調整して全体最適を図ります。

参照: AVMA(犬の栄養ニーズ), WSAVA(10%ルール)

カニに含まれる主な栄養素と与えるメリット・デメリットのバランス

主な栄養素(タンパク質、微量栄養素)の概観

カニの身は高たんぱくで脂質が控えめ。微量では亜鉛、セレン、ビタミンB12などを含み、嗜好性の高さから食欲の立たない時の一時的な助けになる場合もあります。

与えるメリット(栄養補助)とデメリット(塩分・アレルギーなど)の比較

メリットは「高たんぱく・低脂質・嗜好性」、デメリットは「生食リスク、塩分・加工品、殻の危険、アレルギー」です。総合的には無理に与える必要はなく、与える場合も無塩で加熱した身を少量、たまに、が安全域と言えるでしょう。

まとめ: 生のカニはNG。加熱した無塩の身だけを、総カロリーの10%以内でたまに与えるなら許容範囲です。殻・関節・加工品・かにみそは避け、初回はごく少量から。異常があれば中止し、早めに獣医へ相談してください。

参考