海のカニの飼い方 基本と始め方

目次

海で採ったカニの持ち帰り方と自宅到着後にまずすること

カニの飼育は基本的に単独飼育です。 海のカニの飼育を始める際の第一のつまずきは「持ち帰り時の死亡や脱走」です。採取時点から到着直後の対応までを手順で押さえ、温度はおおむね 5〜28℃ の範囲を目安にしましょう。

この段階では、飼育環境を整える前に全体の流れを把握することが重要です。適切な準備を整えれば、後の水質安定とストレス軽減に大きく寄与します。

採取時の注意

  • 採取場所の規制や保護区域・禁漁の確認を事前に行い、持ち帰る数は最小限にとどめます。
  • 種類の同定は安全面と飼育条件の把握に直結します。甲羅の形やはさみの特徴、棲息帯をメモし、後で同定できるよう写真を残しましょう。
  • 混泳予定なら、同じ採集場所・同サイズであってもなるべく避け、基本は単独持ち帰りが無難です。

持ち帰り用の容器と酸素確保の方法

  • 容器は広口のフタ付きクーラーボックスやフタ付きバケツが扱いやすく、脱走防止に有効です。
  • 移動中は「水を入れすぎない」のがコツです。水量を少なめにして空気層を確保すると、揺れによる酸欠を抑えやすくなります。
  • 空気供給は電池式エアポンプがあると安心です。なければ数十分おきに静かに水面を揺らして酸素を取り込みます。直射日光は避け、保冷剤で適温を保ちます。
  • 海水は現地海水を清潔な容器に分けて持ち帰るか、帰宅後に人工海水へ切り替えます。 食塩水の使用は不可で、海生カニは人工海水が基本です。

(出典に関しては参考セクションへ統合します。)

到着後の隔離・観察と応急処置(脱水・外傷)

  • 到着したらすぐに隔離容器へ移し、フタをして脱走を防ぎつつ落ち着かせます。
  • 点検ポイントは呼吸・歩行の安定甲羅や脚の欠損・出血脱皮直後の柔らかさの3点です。
  • 温度合わせ→水合わせの順でならします。袋浮かせで15〜20分温度を合わせ、次に隔離容器の水へ少量ずつ新しい人工海水を混ぜて30〜60分かけて水合わせします。
  • 脱水が疑われるときは、浅くて自力で頭部を出せる水深にし、酸素を十分に供給します。外傷時は攻撃を避けるため単独で静置し、水質を清浄に保つのが基本です。
  • 到着初日は給餌を控え、隠れ家を用意してストレスを下げます。複数なら物陰を多めに配置し、喧嘩や共食いを防ぎましょう。

(出典は参考セクションに整理します。)

海のカニの飼育は、単独飼育推奨・水温5〜28℃の安定・水質管理が軸となります。到着後は隔離・観察・水合わせを丁寧に行い、ストレスを最小限に抑えることが成功の鍵です。

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自宅で作る人工海水の選び方と具体的な作り方(塩分濃度の目安)

海のカニの飼い方で最重要が「人工海水」です。食卓塩を溶かした塩水では微量元素や緩衝能が不足し、飼育水として不適とされています。海生カニは人工海水を使用し、汽水性の種は薄めの人工海水を使い分けましょう。

このセクションでは、人工海水の選択肢と作成手順を解説します。

人工海水を買うか粉末を使うかの選び方

  • 即日立ち上げ重視: 調整済みの天然海水・人工海水(比重1.023前後)を購入すると早いです。
  • 継続運用重視: 粉末型の人工海水を常備し、RO水や浄水器水で溶いて作るのがコスパと再現性に優れます。
  • 水道水を使う場合は必ずカルキ抜きし、可能なら活性炭やROで不純物を除去します。

人工海水を作る手順(計量→溶解→エアレーション→温度合わせ)

  1. 計量: 目標比重1.022〜1.026(35‰相当)を目安に、製品指示量を厳守します。
  2. 溶解: 強い攪拌で完全に溶かし、白濁が取れるまで回します。
  3. エアレーション: 1〜数時間エアレーションしてpHと溶存酸素を安定させます。
  4. 温度合わせ: 飼育水温に一致させ、比重計で再確認してから使用します。

汽水性のカニに対する薄め海水の扱い方

  • 汽水種は比重を1.005〜1.015程度に設定し、季節や採集環境に合わせて徐々に調整します。
  • 「薄め方」は真水ではなく、人工海水で作った原水を真水で希釈して比重を下げます。
  • 食塩水の利用は避けましょう。

出典については参考セクションにまとめます。

カニが落ち着く水槽レイアウト:底砂・隠れ家・ライブロックの配置例

底面の素材と隠れ場所はストレスの軽減に直結します。ベアタンクでも運用可能ですが、底砂やライブロックで隠れ家を作ると落ち着きやすいとされています。

底砂の種類と敷き方

  • サンゴ砂はpHの安定に寄与します。粒径は中粒〜粗目が掃除性と安定性のバランスが良いでしょう。
  • 厚さの目安」は1〜3cm。深すぎると有機物が溜まりやすく、浅すぎると隠れづらいので中庸にします。

隠れ家・ライブロックの配置

  • 逆さカップ、塩ビ管、割れた素焼き鉢、ライブロックを組み合わせ、複数の出入口があるシェルターを作ります。
  • 各隠れ家の間に見切りが生まれるようレイアウトして、視界を遮って小競り合いを減らします。

ベアタンクのメリットとデメリット

  • ベアタンクは掃除が容易でトリートメント向きですが、足場が滑りやすく落ち着きにくい場合があります。
  • 底砂やライブロックは隠れ家と足場を提供し、ストレス軽減に役立つとされています。

出典の整理は参考セクションをご参照ください。

水温と水質管理の具体例:5〜28℃の管理と水換え頻度の目安

水温は大きく外さないことが最優先で、一般的な目安は 5〜28℃ の範囲内です。アンモニア管理と塩分濃度の維持が飼育安定の鍵になります。

カニに適した水温の目安と季節ごとの温度管理

  • 多くの沿岸性の海生カニは低温に強い一方、急変に弱い傾向があります。
  • 夏はクーラーや強制換気で28℃超えを防ぎ、冬は急な底冷えを避けて緩やかに下げます。
  • 新規導入や輸送直後は、日較差を1〜2℃以内に抑えると安定しやすいでしょう。
  • 参考レンジ: 5〜28℃

チェックすべき水質項目と測定方法

  • 塩分/比重: 目安 1.022〜1.026(海生)、汽水種は 1.005〜1.015。比重計で毎回確認します。
  • アンモニア/亜硝酸: 0mg/Lを維持。試薬で週1チェック、立ち上げ初期は頻度を上げます。
  • pH: 8.0〜8.3を目安に、人工海水とエアレーションで安定化させます。

水換えのやり方と頻度の目安

  1. 新しい人工海水を同温・同比重で準備。
  2. 底の残渣をサイフォンで吸い出す。
  3. ゆっくり注水し、攪乱と比重の急変を避ける。
  4. 脱皮前後や弱っている個体は、より小刻みな換水で変化を緩やかにします。

カニの餌と給餌方法:種類・頻度・脱皮期の与え方

雑食性の海生カニは動物質・植物質の双方を受け入れます。鮮度を管理し、与えすぎないことが水質悪化防止の要点です。

市販餌/アサリやエビなどの生餌、人工飼料のメリット

  • 冷凍アサリ・エビ・イカの切り身は嗜好性が高く、摂取を促しやすいです。
  • 海水魚用の沈下性ペレットや甲殻類用フードは栄養バランスと保存性に優れます。
  • 乾燥海藻や野菜片(少量)は繊維源になり、食性に幅を持たせられます。

餌の与え方と量の目安(頻度・観察ポイント)

  • 頻度は 1日おき〜毎日少量。5〜10分で食べ切る量を基準にし、残餌は必ず回収します。
  • 夜行性が強い個体には消灯後に与えると摂食が安定します。
  • 喧嘩を避けるため、複数箇所に分散して置きます。

脱皮期の給餌と食べないときの対処

  • 脱皮前後は食欲が落ちることが多く、無理に与えず静穏環境を保ちます。
  • 脱皮殻はカルシウム源として食べるため、数日は残して構いません。
  • 長期の拒食時は水質と隠れ家、温度を点検し、ストレス要因の除去を優先します。

よくある質問(FAQ)

海のカニに水道水は使えますか?

そのままは不可です。塩素や不純物があり、甲殻類にダメージになります。カルキ抜きやRO水を用い、人工海水の粉末で比重を合わせて作った海水のみを使いましょう。

カニの水槽に底砂は必要ですか?

必須ではありません。ベアタンクでも飼育は可能ですが、サンゴ砂やライブロックなどで隠れ家を作ると落ち着きやすいとされています。

複数匹のカニを一緒に飼えますか?

基本は単独飼育が推奨です。複数の場合は隠れ家を多めに配置し、給餌は分散、脱皮個体は隔離が安全です。

カニの餌は何がいいですか?

冷凍アサリ・エビ・イカ、沈下性の甲殻類用フード、乾燥海藻などを少量ずつが扱いやすいでしょう。残餌は必ず回収して水質悪化を防ぎます。

カニの持ち帰り方は?

フタ付き容器で脱走を防ぎ、水は少なめで空気層を確保、直射日光と高温を避けます。到着後は隔離・観察し、人工海水で温度と水合わせを行いましょう。

初心者におすすめの海のカニの種類は何ですか?

潮だまりの一般的なイソガニ類など丈夫な沿岸性の種が入門向きと言われます。地域の保護規制や在来種の扱いを確認し、種類同定と飼育条件の把握を優先してください。攻撃性が強い種や大型化する種は避け、まずは単独飼育を徹底しましょう。

複数飼いを検討するときのトラブル回避法:縄張り対応と隠れ家の工夫

複数飼育は喧嘩・捕食リスクが高く、初心者には推奨されません。やむを得ず複数にする場合のリスク低減策を挙げます。

単独飼育が推奨される理由(縄張り・攻撃行動)

  • 甲羅類は脱皮直後の個体が最も弱く、同居者の攻撃対象になりやすい。
  • 隠れ家や餌をめぐる競合が起きやすく、負傷や脚欠けの原因になります。

複数飼育時の設備工夫(隠れ家・エサ分散)

  • 個体数+2〜3個の隠れ家を用意し、相互に見えにくい配置にします。
  • 給餌は水槽の離れた複数地点へ同時に投入し、争いを分散します。
  • 逃げ道となる立体構造を多めに。

負傷・脱皮後のケアと隔離の判断基準

  • 甲羅が柔らかい間は隔離容器で単独にし、酸素と清浄な水質を保ちます。
  • 出血や自切が見られる場合は、攻撃個体と分け、換水頻度を上げて回復を待ちます。
  • 再合流は十分に硬化してから、照明消灯時に観察下で行います。

はじめての海のカニ飼育チェックリストと日常メンテナンス表

採取・購入前の必須チェックリスト

  • 地域の採取規制・保護区域・数量制限の確認
  • 種の同定の目処(採集環境・大きさ・攻撃性)
  • 人工海水と比重計、エアレーション、フタ付き水槽の準備
  • 底砂・隠れ家素材の用意(サンゴ砂・ライブロック等)
  • 単独飼育の前提、予備の隔離容器の確保

日次・週次・月次の点検項目一覧

  • 毎日: 温度・比重・溶存酸素の確認、摂餌と行動観察、残餌回収、フタの施錠
  • 週1: 20〜30%部分換水、底の残渣掃除、アンモニア/亜硝酸/硝酸塩の試薬チェック
  • 月1: 器具の分解洗浄、底砂の一部入れ替え、隠れ家の配置見直し
  • 随時: 脱皮個体の隔離、負傷時の単独管理と換水増、比重・pHの再調整

参考情報と記事の更新日・筆者情報

  • 更新日: 2026-01-01
  • 執筆者: KANI-TU編集部 ライター/海水甲殻類飼育歴10年。
  • 主な参考: 公立水族館の発表抄録、飼育解説メディア、飼育プログラムの公開情報

まとめ

  • 海のカニの飼い方は「人工海水の再現性」「単独飼育」「水温5〜28℃と水質安定」が軸です。
  • 持ち帰りは酸素確保と温度管理、到着後は隔離・観察・丁寧な水合わせが成功率を高めます。
  • レイアウトはベアタンクでも可ですが、底砂と隠れ家でストレスを下げると安定します。
  • 給餌は少量高頻度、残餌回収と部分換水で水質を保ちましょう。
  • 複数飼育は原則避け、必要時は隠れ家増設と隔離運用でリスクを抑えます。

参考