犬が蟹を食べるときの安全ガイドと適量の目安

犬にカニは大丈夫?安全ガイド

更新日:2025-12-28

執筆:kani-tu編集部(犬の飼育歴10年・獣医師取材経験あり)。編集部では愛犬に極少量のボイル蟹でパッチテストを行い、48時間の経過観察を実践しています。

目次

犬がカニを食べても大丈夫?まず押さえる結論と注意点

短い結論(加熱した身なら条件付きで可)

犬に蟹は「しっかり加熱した身だけを、味付けなしで、少量」であれば与えられる場合が多いでしょうが、生や殻は避けるのが前提です。獣医師監修情報でも、70℃以上で加熱した身のみ推奨で、殻・甲羅は口腔や消化管を傷つけるため与えないとされています(hotto.meの獣医師監修記事より:https://hotto.me/10428)。

この記事で確認できること(リスク・与え方・誤食時対応)

  • 生蟹の何が危険か(チアミナーゼとビタミンB1欠乏の仕組み)
  • 安全な与え方(加熱・無塩・身だけ・細かく刻む)と目安量
  • 殻や大量摂取・アレルギーのリスクと、誤食時の応急処置や受診目安
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安全に与える基本ルール:加熱した身だけ、味付けはしない理由

なぜ加熱が必要か

生の蟹にはビタミンB1を分解する酵素が含まれるため、加熱で失活させることが安全性の要となります。加熱済みの身を選び、中心までしっかり火が通っていることを確認すると安心でしょう(生蟹の詳細リスクは後述の「生カニが危険な理由」で解説します)。

塩分やバター、調味料を避ける理由

塩茹でやカニ鍋のだし、バター焼きなどの人用の味付けは、犬にとって過剰な塩分や脂質になりやすく、胃腸トラブルの引き金になりかねません。獣医師監修の解説でも、味付けなしで与えることが推奨されています(わんこの広場の獣医監修記事:https://wankonowa.com/column/thing/905/)。

身だけにして細かく刻む理由

身だけを取り分け、繊維をほぐして細かく刻むと喉つめや消化の負担が減らせます。上記の獣医師監修情報でも「塩分・味付けなしで細かく刻む」与え方が示されており、少量から試すのが安全と言えるでしょう(同:https://wankonowa.com/column/thing/905/)。

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生カニが危険な理由:チアミナーゼによるビタミンB1欠乏のリスク

チアミナーゼとは何かと作用メカニズム

生の蟹や一部の魚介類に含まれるチアミナーゼは、体内でビタミンB1(チアミン)を分解する酵素で、摂取が続くと欠乏症を招く可能性があります。獣医師監修の情報源でも、生蟹に含まれるチアミナーゼがB1を分解し得る点が明記されています(https://inunavi.plan-b.co.jp/crab/)。

犬がビタミンB1を作れない点と欠乏時の症状

犬は体内でビタミンB1を合成できず水溶性のため毎日排出され、摂取が不十分だと欠乏しやすいことが指摘されています。欠乏が進むと食欲不振、嘔吐、ふらつき、けいれん等の神経症状が現れ得るため、生蟹は避けるべきだと獣医は解説しています(https://pshoken.co.jp/note_dog/dog_ngfood/case014.html)。

獣医の見解・報告例

各獣医監修記事では、生の蟹は与えない方針を明確にし、加熱での安全性向上と少量からの導入が推奨されています。加熱によりチアミナーゼの影響は抑えられると考えられるため、加熱済みの身に限定することが安全策になるでしょう(https://inunavi.plan-b.co.jp/crab/)。

殻・甲羅を与えてはいけない理由:刺さる・詰まる・消化障害の危険

殻が引き起こす具体的トラブル(刺さる・裂傷・腸閉塞)

蟹の殻・甲羅・鋏は鋭利で、口内や食道、胃腸の粘膜に刺さって裂傷を起こしたり、消化管内で詰まり腸閉塞の危険が高まります。獣医師監修の情報でも、殻は与えないよう强く注意喚起されています(https://hotto.me/10428)。

殻の誤飲で見られる症状の例

  • しきりに口を気にする、よだれが増える、吐きたそうにする
  • 激しい嘔吐や腹痛、血便、黒色便、ぐったりする
  • 便が出ない、出ても細い、出血を伴う

殻を誤って与えてしまった場合の初期対応

無理に吐かせず飲水だけ確保し、口内に残渣がないか確認のうえ、症状の有無に関わらず速やかに獣医へ連絡するのが無難です。鋭い異物は吐かせる過程で傷を悪化させるおそれがあるため、自己判断の処置は避けましょう。

アレルギーの見分け方と与える量の目安(小型〜大型、子犬・老犬の注意)

甲殻類アレルギーで見られる症状(皮膚・呼吸・消化)

蟹を含む甲殻類に対する過敏反応では、掻き壊しや発疹、顔の腫れ、嘔吐や下痢、稀に呼吸が荒くなる等が見られることがあります。初回は午前中にごく少量から試し、変化を丁寧に観察すると安心です。

初めて与える時のテスト(少量→48時間観察)

– 加熱・無塩の身を耳かき1杯程度から開始し、15〜30分の反応を確認します。
– その後は48時間を目安に皮膚・便・食欲・元気を観察し、問題なければご褒美程度にとどめます。
– 新しい食材は1回に1種類だけ導入し、体調不良時は試さないのが安全です。

犬種別の目安量(小型30g/中型60g/大型90g)と年齢別注意点

加熱した身の単回目安は小型犬で30g前後、中型で60g前後、大型で90g前後を上限の目安とし、日常の主食ではなく「ご褒美の範囲」に抑えると良いでしょう。子犬や老犬、慢性疾患や膵炎既往のある犬は消化負担やリスクが高まり得るため、基本は控え、与える場合も獣医と相談のうえ少量限定が安心です。

安全に与える手順:買い方、下ごしらえ、加熱・切り方の具体レシピ

購入時のチェックポイント(鮮度・保存状態)

  • 加熱調理向けの新鮮な蟹を選び、異臭や黒変、ドリップの多さがないか確認します。
  • 冷蔵は当日〜翌日まで、冷凍は急速凍結品を選び、解凍は冷蔵庫内でゆっくり行うと品質保持に役立ちます。

下ごしらえ:殻を取り、筋を除去する方法

– 甲羅と殻、軟骨や筋はすべて除去し、身だけを取り分けます。
– 大きな繊維は指でほぐし、喉に引っかからないよう細かく刻みます(殻は絶対に与えない方針が推奨されています:https://hotto.me/10428)。

加熱の目安(中心温度や目視での確認)と細かく刻む方法

– 中心が70℃以上になるまで十分に加熱し、身が白く不透明になり、繊維がふわっとほぐれる状態を目視確認します(加熱推奨は獣医師監修記事でも示されています:https://hotto.me/10428)。
– 加熱後に粗熱を取り、さらに細かく刻んで、主食の上にトッピングするか単独でひとくち分から与えます。

誤食・中毒・アレルギー疑いのときの応急処置と受診の目安

直後に確認すること(吐き気・よだれ・呼吸困難・血便など)

– 何をどれくらい、いつ食べたか(生か加熱か、殻の有無)
– よだれ、嘔吐、呼吸が速い・苦しそう、顔の腫れ、ぐったり、血便や黒色便の有無
– 既往歴や内服の有無、現在の体温や元気度

自宅でできる一次対応(嘔吐を促すなどの誤った処置の回避)

鋭利な殻の可能性やアレルギーの懸念がある場合、自己判断で吐かせる処置は避け、水分を確保し安静に保ちつつ、早めに動物病院へ電話相談するのが安全です。症状が強い時は夜間救急の受診も検討してください。

すぐに受診すべき症状と獣医に伝えるべき情報

– 連続嘔吐、呼吸困難、顔や舌の腫れ、ぐったり、血便・黒色便、激しい腹痛のサインは直ちに受診が目安です。
– 伝える情報:食べた種類と量、殻の有無、時間、出現症状、体重や持病、内服薬、可能なら現物やパッケージも持参しましょう。

よくある質問(FAQ)

FAQ一覧(クリックで詳細へ)

  • 犬が生のカニを食べたらどうなる? 生蟹はチアミナーゼによるB1欠乏のリスクがあるため与えないのが無難で、食べた直後から48時間は嘔吐や元気消失などを観察し、異常時は受診を検討してください(https://inunavi.plan-b.co.jp/crab/https://pshoken.co.jp/note_dog/dog_ngfood/case014.html)。
  • 犬にカニを与える量はどれくらい? 小型30g、中型60g、大型90gを上限目安にし、加熱・無塩・身のみ・細かく刻む前提で、頻度はご褒美程度に留めると安心です。
  • カニの殻は犬に与えても大丈夫? 殻・甲羅・鋏は刺さる、消化管損傷や閉塞の危険があるため与えないでください(https://hotto.me/10428)。
  • 犬がカニでアレルギーを起こす症状は? 掻痒、発疹、顔の腫れ、嘔吐・下痢、呼吸が荒い等が指標で、初回は超少量→48時間観察が安全策です。
  • カニ加工品(カニカマなど)は与えられる? 人用のカニカマは塩分・糖分・調味料や添加物が多い製品が多く、基本は与えない方が無難です。与えるなら犬用おやつ製品を選び、原材料と塩分量を必ず確認しましょう。
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まとめと飼い主が今すぐできる安全対策

重要ポイントの短いチェックリスト

  • 生の蟹は与えない、加熱済みの身だけを無塩で少量から
  • 殻・甲羅・筋は除去し、細かく刻んで喉つめ予防
  • 初回は午前中に超少量→48時間観察、異常時は投与中止
  • 子犬・老犬・持病ありは基本控え、必要時は獣医に相談
  • 殻や大量誤食、強い症状は自己嘔吐を促さず速やかに受診

万が一に備える連絡先とメモの取り方

  • 普段からかかりつけ病院と夜間救急の連絡先をメモし、冷蔵庫やスマホに常備しましょう。
  • 誤食時は「食べたもの・量・時間・殻の有無・症状・体重・内服薬」を簡潔に記録し、受診時の伝達を円滑にします。

本記事は、獣医師監修情報への取材に基づき、編集部の実践とあわせて、犬に蟹を与える際の安全策を丁寧に整理しました。迷ったら「生は避ける・身だけ・無塩・少量・観察」を合言葉に、愛犬の体調最優先で判断すると良いでしょう。

参考